社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

居宅高齢者の生活支援~生活場面面接のプロセスと技法の明確化のために~ 小嶋章吾・蔦末憲子

2008-11-08 16:00:36 | 社会福祉学
『分野別実践編 グラウンデッド・セオリー・アプローチ』弘文堂 2005年(第2章に表題あり)

社会福祉の領域において、「実践を科学化」するグラウンデット・セオリー・アプローチが数年前から注目されてきている。
ここではその中でも、ヘルパーさんが行う「生活場面面接」に焦点をあて、その体系化を試みている。
ヘルパーさんが実際の場面で行っている「声掛け」をまとめ、その「声掛け」がどのような意識のもとでなされ、そして結果として利用者はどのような行動を取ったか…を分析している。

引用
生活場面面接生活場面面接とは…「利用者の日常生活場面において、援助目標に沿い利用者の多様な側面と必要に応じて環境(生活環境、出来事、他者との関係)を活用した意図的なコミュニケーション、すなわち面接である」


筆者も指摘しているように、ヘルパーさんは医師や看護師よりも、訪問は頻回に組まれ、身体的な援助をしている。それゆえに、利用者の「気持ち」や「動作」にもより近い存在で関わっている。
無意識で放った言葉でも、利用者には「後押しをしてくれた言葉」になることもあり、本論ではそれを具体的に分析・例示している。
より近い存在であるがゆえに、互いに、構えることなく過ごせる空間が存在し、その空間こそが、「言葉」を後押しし良い力を生み出しているのだとも思う。

自分が何のためにそこに行き、そして「話」をしているのか…ふと見失ってしまうことがあった。そして、自分がそこに行くことで何を生み出すことができるのだろうと感じることもあった。
ソーシャルワーカーはヘルパーさんと違って、援助をプラン化されておらず、それゆえに、より一層、家庭訪問の意義を自問自答しなくてはならない。
その答えを見つけ出す方法の一つとして、「意図的な言葉の活用」があるのではないかと思う。
言葉を放つ意味、返ってきた言葉の意味、そしてその言葉がもたらしたものは何か…それらを丁寧に考えることこそが援助の専門家…なんだと思う。
コメント (1)
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