社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

高次脳機能障害のある人の地域生活支援 渡辺淳、淺沼太郎など(2007)

2008-11-18 22:07:51 | 社会福祉学
『ソーシャルワーク研究』Vol.33 No.3 2007

事故によって頭部外傷を負った当事者(Aさん)の語りに着眼。
その当事者が利用している福祉施設の職員が、インタビュアーのような立場をとり、対話を通して「思い」を聞き、ストーリー分析をしている。
ニーズについて、支援者からの評価ではなく、実際に支援を受けている(サービスを利用している)立場からの「見解」を導き出している。


Aさんは、受傷後おそらく1年近く入院し、リハビリ等を経て在宅生活を始めている。1年が経過し、サービスを利用し始めてもなお、現状を受け入れられず…というよりも、「治るものだ」と疑わない気持ちが、切々と語られている。

援助する側からすると、「受傷1年」ということで、「障害受容はできている」と考えがちではないだろうか。
そして現状をきちんと理解できていない様子をみて、「高次脳障害ゆえに、理解力も落ちている」と認識してしまうことも、あるのではないだろうか。

「障害者のことは障害者しか分からない」と、自立生活運動を活発に行っている障害者団体もいる。

その人の「思い」は、援助者の「経験知」では決してはかることはできない。
そのことを痛感させられた。
コメント
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