北海道では毎日のように熊出没が、
ニュースになっている。
特に、大都会である札幌での目撃情報には驚く。
家内の妹夫婦は、札幌市南区で暮らしている。
真駒内公園に近いところだ。
その公園も熊の目撃が相次ぎ、閉鎖になった。
その義妹から、家内にLINEメールがあった。
一部を読んでくれた。
「家から歩いて2分くらいの所でも、
熊が出たの。
朝、ゴミ出しに行って、
もしも熊が座っていたらどうするの」。
決して大げさじゃない。
現実味のあることだけに、私も家内も表情が曇った。
伊達は、札幌とは比べものにならない小さな町だが、
ここ数年、熊出没の情報はなかった。
ところが、ついに21日、熊らしいものを見たとの情報が流れた。
しかも、その場所は、私もご近所の方々もよく利用する
パークゴルフ場の近くなのだ。
『ゴミ出しに行って、
・・熊が座っていたら・・』が、
私の町でも現実味を帯びてきたようだ。
さて、4月に『カルルス温泉 高1の夏』と題し、
このブログで、キャンプでテントを張った場所が、
よく熊が出る所だと知り、慌てて撤退したエピソードを記した。
今回は、同じ年の同じ温泉地で、
同じ仲良し5人組での冬バージョンである。
今もカルルス温泉にはスキー場があるが、
当時は、新しくできたスキー場で賑わっていた。
私たち5人は、ほとんどスキー経験がなかった。
本格的なゲレンデに立つのは、初めてのことだった。
高校1年の男5人、何事にも無鉄砲な年頃だった。
突然、スキーが話題になると、
「スキー場に行ってみよう。滑ってみよう」と、
計画は即断即決、実行に移された。
家族はあきれ顔だった。
正月元日から2泊3日で、
室蘭から直行のバスでカルルスへ行った。
到着するとすぐに、宿を探した。
やや小高い所に木造の大きな旅館が見えた。
ここなら空き部屋があるだろうと訪ねた。
「一番安い部屋でいいです」とたのんだ。
案内されたのが、大宴会ができるような大部屋だった。
5人で泊まるには、あまりにも広すぎると思ったが、
高1の男子にはクレームをつけるだけの技量はなかった。
黙って、部屋の隅に荷物を置いた。
とにかく宿が決まった。
気分を変え、ゲレンデに行く身支度をして出発した。
スキー場に着くと、貸しスキーをかかえてゲレンデへ。
見る人見る人、スイスイと滑っていた。
簡単にできると思ったが、まずは練習をと、
小さな子に混じって、初心者コースで試した。
5人とも小さい頃に子供用スキーで、
坂道を滑り降りた経験があった。
スキーの長さは違っても、転ぶことはなかった。
やはり簡単なものだった。
2度3度滑り終えると、物足りなくなった。
リフト券を買い、勢い込んでリフトに乗った。
初めての体験だった。
ドンドン上がっていくリフトにつかまり、興奮していた。
眼下には、ゲレンデを滑る人々の姿があった。
遠くを見ると真っ白な山々が連なっていた。
気分は爽快だった。
ところがリフトを降りて、真顔になった。
先に見える急な斜面は、予想外だった。
見下ろすだけで、怖じ気づいた。
5人とも、滑り降りることをためらい、立ち尽くした。
後ろからリフトを降りた人たちが、次々と滑っていった。
スキーを履いたまま、ストックをしっかりと雪面に刺して、
滑り止めをし、その場にいつまでもいた。
5人を見て、スキー場の人らしい方が声をかけてくれた。
正直に言った。
「怖くて、滑って降りられません!」。
「そうですか。じゃ、こちらのコースからゆっくりと降りましょう。
私の後ろをついてきてください。
途中で何回も休みながら降りましょう」。
少し進んだところに、
見ていた斜面とは違うコースがあった。
やや斜面が緩やかだった。
私たちは一列になって、彼の後から斜面を、
斜めに横断するように滑っては向きを変え、
また滑っては向きを変えをくり返した。
ようやくリフト乗り場近くまで着いた。
お礼を言う私たちに彼は、
「しばらくこの辺りで練習したら、また挑戦してください。
今のように斜めにゆっくりと滑り降りるといいんです。
すぐに慣れますから」。
5人とも、最初の意気込みが消えていた。
暗くなるまで初心者コースを滑っては上り、
滑っては上りをくり返した。
でも、再びリフトに乗る気にはなれなかった。
スキーは面白いものではなかった。
旅館に戻って、夕食前に温泉に入った。
ポカポカとほてる体で、食堂で夕飯を食べ、
5人は広すぎる部屋に戻った。
驚いたことに部屋には、テレビも暖房もなかった。
布団が5組、隅の方に積んであった。
さすがにこれには黙ってられなかった。
「暖房だけでも」とそろって頼みに行った。
「寒かったら、いつでも温泉に入れるから温まって、
早く布団に入って寝てください」。
そんな返事だった。
広い部屋に戻ると、
布団を並べ、早々と潜り込んだ。
何も楽しくなかった。
翌朝、温泉の湯船につかりながら、相談した。
予定を変え、1泊にした。
でも、1日練習して、もう1回だけリフトに乗ろう。
そして5人で滑りおりてから、帰ろうと決めた。
楽しくないことと楽しくないことのままで、
終わるのは嫌だった。
前日、私たちを先導してくれた方の
「すぐに慣れますから」が背中を押した。
初心者コースで、昨日以上に黙々と滑った。
そして、午後、意を決してリフトに乗った。
ジャンケンに負けた私が先頭で、
前日と同じようなコース取りへ、
何度もターンをして無事滑り降りた。
5人で歓声を上げた。
楽しいと思った。
何度も、リフトに乗りたくなった。
もう1度、上から滑りたかった。
でも、あの大部屋に泊まるのは嫌だった。
「明日、天気が悪くなるみたいだから」。
家族には、そんな理由付けして帰宅した。
夏に続いて冬も2泊3日の計画が、
1泊2日になった。
ツルアジサイ ~水車アヤメ川自然公園
ニュースになっている。
特に、大都会である札幌での目撃情報には驚く。
家内の妹夫婦は、札幌市南区で暮らしている。
真駒内公園に近いところだ。
その公園も熊の目撃が相次ぎ、閉鎖になった。
その義妹から、家内にLINEメールがあった。
一部を読んでくれた。
「家から歩いて2分くらいの所でも、
熊が出たの。
朝、ゴミ出しに行って、
もしも熊が座っていたらどうするの」。
決して大げさじゃない。
現実味のあることだけに、私も家内も表情が曇った。
伊達は、札幌とは比べものにならない小さな町だが、
ここ数年、熊出没の情報はなかった。
ところが、ついに21日、熊らしいものを見たとの情報が流れた。
しかも、その場所は、私もご近所の方々もよく利用する
パークゴルフ場の近くなのだ。
『ゴミ出しに行って、
・・熊が座っていたら・・』が、
私の町でも現実味を帯びてきたようだ。
さて、4月に『カルルス温泉 高1の夏』と題し、
このブログで、キャンプでテントを張った場所が、
よく熊が出る所だと知り、慌てて撤退したエピソードを記した。
今回は、同じ年の同じ温泉地で、
同じ仲良し5人組での冬バージョンである。
今もカルルス温泉にはスキー場があるが、
当時は、新しくできたスキー場で賑わっていた。
私たち5人は、ほとんどスキー経験がなかった。
本格的なゲレンデに立つのは、初めてのことだった。
高校1年の男5人、何事にも無鉄砲な年頃だった。
突然、スキーが話題になると、
「スキー場に行ってみよう。滑ってみよう」と、
計画は即断即決、実行に移された。
家族はあきれ顔だった。
正月元日から2泊3日で、
室蘭から直行のバスでカルルスへ行った。
到着するとすぐに、宿を探した。
やや小高い所に木造の大きな旅館が見えた。
ここなら空き部屋があるだろうと訪ねた。
「一番安い部屋でいいです」とたのんだ。
案内されたのが、大宴会ができるような大部屋だった。
5人で泊まるには、あまりにも広すぎると思ったが、
高1の男子にはクレームをつけるだけの技量はなかった。
黙って、部屋の隅に荷物を置いた。
とにかく宿が決まった。
気分を変え、ゲレンデに行く身支度をして出発した。
スキー場に着くと、貸しスキーをかかえてゲレンデへ。
見る人見る人、スイスイと滑っていた。
簡単にできると思ったが、まずは練習をと、
小さな子に混じって、初心者コースで試した。
5人とも小さい頃に子供用スキーで、
坂道を滑り降りた経験があった。
スキーの長さは違っても、転ぶことはなかった。
やはり簡単なものだった。
2度3度滑り終えると、物足りなくなった。
リフト券を買い、勢い込んでリフトに乗った。
初めての体験だった。
ドンドン上がっていくリフトにつかまり、興奮していた。
眼下には、ゲレンデを滑る人々の姿があった。
遠くを見ると真っ白な山々が連なっていた。
気分は爽快だった。
ところがリフトを降りて、真顔になった。
先に見える急な斜面は、予想外だった。
見下ろすだけで、怖じ気づいた。
5人とも、滑り降りることをためらい、立ち尽くした。
後ろからリフトを降りた人たちが、次々と滑っていった。
スキーを履いたまま、ストックをしっかりと雪面に刺して、
滑り止めをし、その場にいつまでもいた。
5人を見て、スキー場の人らしい方が声をかけてくれた。
正直に言った。
「怖くて、滑って降りられません!」。
「そうですか。じゃ、こちらのコースからゆっくりと降りましょう。
私の後ろをついてきてください。
途中で何回も休みながら降りましょう」。
少し進んだところに、
見ていた斜面とは違うコースがあった。
やや斜面が緩やかだった。
私たちは一列になって、彼の後から斜面を、
斜めに横断するように滑っては向きを変え、
また滑っては向きを変えをくり返した。
ようやくリフト乗り場近くまで着いた。
お礼を言う私たちに彼は、
「しばらくこの辺りで練習したら、また挑戦してください。
今のように斜めにゆっくりと滑り降りるといいんです。
すぐに慣れますから」。
5人とも、最初の意気込みが消えていた。
暗くなるまで初心者コースを滑っては上り、
滑っては上りをくり返した。
でも、再びリフトに乗る気にはなれなかった。
スキーは面白いものではなかった。
旅館に戻って、夕食前に温泉に入った。
ポカポカとほてる体で、食堂で夕飯を食べ、
5人は広すぎる部屋に戻った。
驚いたことに部屋には、テレビも暖房もなかった。
布団が5組、隅の方に積んであった。
さすがにこれには黙ってられなかった。
「暖房だけでも」とそろって頼みに行った。
「寒かったら、いつでも温泉に入れるから温まって、
早く布団に入って寝てください」。
そんな返事だった。
広い部屋に戻ると、
布団を並べ、早々と潜り込んだ。
何も楽しくなかった。
翌朝、温泉の湯船につかりながら、相談した。
予定を変え、1泊にした。
でも、1日練習して、もう1回だけリフトに乗ろう。
そして5人で滑りおりてから、帰ろうと決めた。
楽しくないことと楽しくないことのままで、
終わるのは嫌だった。
前日、私たちを先導してくれた方の
「すぐに慣れますから」が背中を押した。
初心者コースで、昨日以上に黙々と滑った。
そして、午後、意を決してリフトに乗った。
ジャンケンに負けた私が先頭で、
前日と同じようなコース取りへ、
何度もターンをして無事滑り降りた。
5人で歓声を上げた。
楽しいと思った。
何度も、リフトに乗りたくなった。
もう1度、上から滑りたかった。
でも、あの大部屋に泊まるのは嫌だった。
「明日、天気が悪くなるみたいだから」。
家族には、そんな理由付けして帰宅した。
夏に続いて冬も2泊3日の計画が、
1泊2日になった。
ツルアジサイ ~水車アヤメ川自然公園