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ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

あの子らのようでありたい!

2022-06-18 12:17:37 | 思い
 「コロナ禍で活動ができなかったけれど、
再開できそう・・。
 久しぶりの集まりなので、楽しい時間にしたい。
そこで、以前お話を聞いた方から、
塚原さんの名前があがり、お願いしたいのですが・・。」

 昨夏のことだった。
ご近所さんが、自宅へ来て、こう切り出した。
 地元老人クラブでの講演依頼だった。
突然のことだが、快諾した。

 しかし、その後コロナが再度猛威を振るい、
講演は、立ち消えとなった。

 ところが、今年度からクラブは活動を再開。
そして、6月の定例会で私の話を聞く会が行われることに・・。

 「1時間半程度で、何か楽しい話をして・・」
そんな要望だった。
 参加者は多くて30人とのこと。

 話すネタは全てこのブログから探した。
そして、前半を『「3つ子の魂・・」みたいな話題』、
後半を『「人生100年時代・・」みたいな話題』とし、
話を構成した。

 話し始めにこんな大見得を切った

「2年も前から毎日毎日、コロナ感染者数に振り回されてきました。
それに加え、今はウクライナの戦争で、素敵な町が破壊され、
戦車が残骸になった映像を、繰り返し繰り返し見る日が続いています。

 誰が敵でも誰が味方でも、命の重みに違いはないのに、
ウクライナの人の死には心を痛め、
ロシア兵の死へは何の感情も湧かない自分に気づき、
ぞっとすることもしばしばあります。

 多少の違いはあるでしょうが、
そんな今に、みんなザラザラした日を送っています。
 大それた言い方で恥ずかしいのですが、
『お茶を一杯入れますから、まあゆっくり』。

 これからの私の話が、お茶の一杯でも口にする、
そんな時間になればと願いながら、始めたいと思います。」

 さて、約1時間半を話し終え、結果はどうだったのか、それは知らない。
でも、「またお願いします」の声が、幾つも寄せられたのは事実。
 まあ、よかったことにしようと勝手に決めた。

 講演後半『「人生100年時代・・」みたいな話題』の一部を再現する。

   *     *     *     *     *

 最近よく耳にしますが「人生100年時代」と言われています。 
好きな言い方ではありませんが、
昔に比べ「職場から墓場までが長く」なりました。
 墓場までの長い日々を、私も今生きているわけです。

 叶うなら、これからまだまだ続く、
長い人生が充実したものであってほしい。
 そう願うのは私だけではないはずです。

 実は、伊達に移り住んでからランニングを始めました。
ランニング中に、登下校の子供らに出会います。
 挨拶を交わし、すれ違ったり追い越したりの、
ほんのわずかな時間に、ちょっとしたふれ合いがあります。

 その時に子ども達から、
充実した今を生きる大切な刺激を受けています。
 3つほど紹介します。

 ただし、ここ2年は、子どもの登下校を避けて走っています。
全ては、コロナ禍以前のことです。

 めすらしく3時頃に、10キロを走ることにした日でした。
コースの後半、小学校の脇を通ることにしました。
 丁度、下校する高学年の子ども達に出会いました。

 学校が近づくにつれ、行く交う子どもが増え、
私は、その1人1人に「おかりなさい」と声をかけました。
 朝とは違い、多くの子どもは、その返事に困り、
軽く頭を下げたり、私をちょっと見るだけだったり、
中には、あわてて「ただいま」と、応じる子もいたりして、
やけに明るい気持ちになっていました。

 しばらく進むと、前方から楽しそうに会話しながら、
2人の男の子が肩を並べて、近づいてきました。
 私は2人の邪魔にならないように、
ちょっとだけ車道に出ました。

 すれ違う、その時、その1人が私に向かって、
「オジサン、がんばって!」。
 元気な声で言ってくれました。

 嬉しかったので、「ありがとう」と、言おうとしたその瞬間、
もう1人の子が、「エッ、ちがうよ! オジサンじゃないよ!」。
 小さな声でしたが、私の耳にはっきり届きました。
私は「ありがとう。」を飲み込み、その場をかけぬけました。

 曲がり角まで走って、ふり返ると、
2人は私を見ながら言い合いをしてました。
 何を言っていたか、私には想像ができました。

 「あの人、オジイサンだよ!」。
「でも、オジサンでいいんだよ」。
 そんなやりとりだと思います。

 なんて子どもらしいのでしょう。
これが本当の子どもの姿です。
 どんなことも、曖昧にしない。
白黒をつけようとするのが子どもです。
 だから、トラブルも多い。
それが子どもなんです。

 次は、こんな子です。
連休明け、洞爺湖マラソンに向け、
朝のランニングを再開しました。
 5月の風に誘われながら、一斉に花咲く野草に心寄せながら、
ゆっくり走っていました。

 中学校近くの道まで来ると、
まだ真新しい制服の男子3人が、横一列でやって来ました。
 楽しげに会話する姿が、青空によくにあっていました。

 すれ違い際に、声が聞こえました。
「いくつ、ぐらいだ?」。
 同時に、そう言った子と目が合ってしまいました。
応じる必要などないのに、春の陽気がとっさに誘導したのでしょう。
 「七十二!」。

 「余計なことを口走った」。
少し悔いたその時、すれ違った背中から言葉が飛んできました。
 「すげーえ、ぼくのおじいちゃんより上だ!」。
「俺のじっちゃんよりもだ。すげーえ、すげー!」。

 私は急に恥ずかしくなって、
それまでより少し早足に走って、照れを隠しました。
 
 私の年齢に対し、感動を真っ直ぐに表現する中学生、
なんて素敵なんでしょうか。
 理屈も価値も何も追加しない言い方に、胸が熱くなりました。

 もう1人、こんな子にも出会いました。
雪解けが進んだ3月、久しぶりに朝ランニングに出ました。
 10分も走れば、住宅地は畑の景色に変わります。

 その人通りのない道で、ランドセル姿の少年によく出会います。
いつも、棒きれを振り回したり、鼻歌に石蹴りだったりと、
のんびりゆったりのマイペース登校です。

 ところが、その日は珍しく、私の姿を見るなり、
「おはようございます」と一緒に、「今ね、リスが横切ったの」
の声が飛んできました。
 そして、走り寄る私に、
「車にひかれない?」「大丈夫?」
と矢継ぎ早に訊くのです。

 「心配なんだね」
「ねえ、誰に言ったらいいの」
 「あのね、リスは賢いから、きっと大丈夫だよ。
心配しないで、学校へ行きな」

 その子は、不満げな顔をしながらもうなずき歩きだしました。
私は、その横を走り抜けながら、
もう一度「リスは賢いから、大丈夫」と、念を押しました。

 しばらくして、後ろから「ありがとう」。
少年の声が届きました。

 リス出現に驚き、その後の不安、困惑、
そして私の回答を聞いた後の安堵感が、手に取るように分かります。
 その透明感がいい。 
子どもならではの姿ですね。

 さて、ここまでランニング中に出会った子どものエピソードでしたが、
先日、同世代の方からこんなことを聞きました。

 「昔は、仕事で毎日室蘭まで運転していた。
苫小牧や札幌までも、なんなく行っていた。
 なのに、最近は室蘭までの運転が億劫になってしまって・・」。

 確かに体力の衰えは致し方ないことです。
でも、億劫になったからと、
「なんでもいい、どうでもいい、後でいい、
明日でも来週でもいい」と、
どんどん「いい加減」になってしまっては、
一大事です。

 「人生100年時代」です。
出会った子らのようでありたいと思いませんか。
 どんなことも曖昧にせず、感動を真っ直ぐに表現し、
リスを見たあの子のように、透明感を持ち続けたいと、
私は思うのですが、いかがでしょうか。




    アカシアも 花盛りを迎え
                ※次回のブログ更新予定は 7月2日(土)です 
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ただただ恐い! ~ 脳 梗 塞

2022-06-11 16:32:16 | 思い
 ▼ 冬のこと。
昼過ぎに、総合体育館のランニングコースへ行った。
 1年以上、お会いしていなかった方が、
その周回コースを、以前と同じように、
モクモクとウオーキングしていた。

 ずっと姿を見なかったので、
「健康を害したのでは・・」と推測していた。
 だが、久しぶりに元気そうな様子を見て、
嬉しくなった。

 挨拶もそこそこに、
「お変わりありませんでしたか?」。
 尋ねてみた。
「それが、大変だったんだ。
脳梗塞でさ、ようやくこうして歩けるようになった」。

 体育館で出会うだけの人で、
住まいもお名前も知らない。
 ただの顔見知りなだけ。
なのに、彼はその時のことを淡々と話してくれた。

 昼過ぎまでいつものように、自宅でくつろいでいた。
朝から、口が渇くが、さほど気にかけなかった。
 体育館へと行こうと、外出の用意をしていると、
平衡感覚がおかしい。
 いやな予感がした。
「もしも」と、かかりつけのS医院へ急いだ。

 運よく昼休憩の直前だった。
待ち時間もなく診察を受けることができた。
 
 そして、私もお世話になった医師は、
マイカーを自ら運転し、
片道30分の道を、脳外科専門病院へ彼を運んだ。
 そして、病状を専門医に直接伝え、緊急手術となった。

 「S医院の先生が、迅速な判断でわざわざ運んでくれた。
あの先生に、命を救ってもらったのさ」。

 長いリハビリで、運動機能はほぼ回復したが、
まだまだ思い通りに言葉がでないと彼はなげいた。
 全く気にならなかったが、
安易に気休めを言ってはいけないと思い、
「そうですか」と答えるだけにした。

 ▼ 朝食の食パンを片手にテレビの報道番組を見てると、
スマホに電話がきた。
 着信を確認すると、
親しくしているNさんの携帯からだった。

 電話にでると、男性のはずが女性の声だ。
「Nの長女です。深夜に父が脳梗塞で運ばれました。
 O病院のICUにいます。
父から、塚原さんには連絡しておけと言われましたので、
お電話しました」。
 娘さんの声からは、尋常ではない事態が伝わっていた。

 「わかりました。
ご心配ですね。
 お大事になさってください」。
私がそう応じる間もなく、
娘さんはお礼もそこそこに電話を切った。

 胸騒ぎが大きいまま、2日が過ぎた。
2人とも留守をしている間に、自宅に電話があった。
 着信履歴を見ると、Nさんの携帯からだった。
いやな予感がした。
 気持ちを落ち着かせて、折り返しの電話をした。

 呼び出し音が繰り返し鳴った。
ジッと身構えた。
 
 「あ、ツカハラさん! Nです」。
いつものNさんの声が返ってきた。
 急に胸が熱くなった。
返答に声が詰まった。

 「さっき、ICUを出て、普通の病室に移ったばっかり。
何日か様子を見て、しばらくリハビリだと思うけど、
今のところ後遺症もないみたい。 
 助かったよ」。
「それはよかった!」。
 何回も、「それはよかった」を繰り返すことしかできなかった。

 看護士をされていた方によると、
脳梗塞発症から数時間の短い時間内に処置すると、
画期的に回復する薬があるそうだ。
 「きっと、それが功を奏したと思う」と教えてくれた。

 それを裏付けるように、元気になったNさんは言う。
深夜に体の異常に気づき、目が覚めたNさんは、奥さんをおこし、
救急車を要請した。
 駆けつけた救急隊員が、
大柄のNさんを寝たまま担架で、
2階から下ろすのに難儀した。
 乱暴な扱いでもいいからとNさんは言った。
隊員も一刻を争った。
 彼を大型荷物ように、救急車へ運び入れた。

 そして、少しでも早くと、
伊達と室蘭間は高速道路を使い、
脳外科専門病院へ搬送した。

 今、Nさんは毎日のウオーキングに取り組み、
すっかりスリムになった。

 ▼ 伊達には映画館がない。
なので、年に何回か、映画会がある。
 11月の寒さを感じる日曜日に、
駐車場の狭い会場で、ドキュメンタリー映画の上映会があった。
 
 見終わって、自宅まで20分程の道を歩き始めた。
しばらくして、前を歩いている男性の後ろ姿が気になった。
 歩き方がゆっくりで、やや蛇行気味に見えた。

 近づくとご近所のご主人だと分かった。
追い越しながら挨拶をし、様子をうかがった。
 いつもと変わりない表情で、挨拶を返してくれた。

 気になった歩き方も、「年齢的なものか」と理解した。
その後は、寒さもあって振り返りもしないまま帰宅を急いだ。

 それから数日後、そのご主人が、
日曜日に脳梗塞で、脳外科病院に緊急入院したと聞いた。

 あの時の歩き方はその症状の現れだったのではと思った。
「もっとよく見てあげればよかった」。
 気づかなかったことを悔いた。

 さほど重篤ではなかったのか、数週間で退院した。
その直後、ご自宅を訪ねる用件があった。

 奥さんでも済むような内容だったが、
わざわざ玄関までご主人が顔を出してくれた。
 「歩くのが少し不自由になった」。
「滑舌も悪い」とのことだったが、元気そうに見えた。

 だが、案の定だった。
映画を見ての帰り道では、歩き方のおかしさに気がついた。
 帰宅し、奥さんにそれを言うと、
早々看護師の娘さんに電話した。

 すぐ脳外科病院へ行くように言われ、
奥さんが車を運転し、脳外科病院へ駆け込んだ。

 幸い、処置が早かった。
「そのまましばらく放置していたら、
脳内の場所が場所なだけに命だって危うかった」
と、言われたとか・・・。

 「娘が看護師だったことが、こんなに役立つとは」
安堵した表情で奥さんは言った。

 ▼ 身近で脳梗塞に見まわれた方を記した。
いずれも命を奪われずに済んだ。
 人ごとだから言えるが、
3人とも幸運に恵まれた。

 そんな方ばかりではない。
定年退職まで数年を残し、単身赴任先で倒れた。
 緊急手術を受け、回復の兆候に安堵した矢先、
容体が急変、帰らぬ人となった。
 
 真冬の吹雪の日が、通夜だった。
それでも、仕事関係の方などが次々と弔問に訪れた。
 夫の突然の死にも、
気丈に頭をさげ続ける奥さんの姿に、目元が緩んだ。

 多くの発症は、突然の異変・・。
そして、一刻を争う病気・・。
 我が身に置き換えると、背筋が凍る。
ただただ恐い。



 
   水辺に咲いていた! カキツバタ?
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