ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

風船に特別な想い ふたつ

2019-01-05 19:54:26 | 思い
 新しい年が始まった。
新春を迎え、改まった気持ちになるのは私も同じだ。
 そして、平穏な1年であることを、せつに願う。

 そうは言っても、『人生は山あり谷あり』。
だからいいとも・・。

 その山や谷を「どう乗り越え、進むか」だ。
そのために知恵を絞り、新しいものを吸収し、それを生かす。
 成長や進歩、変身の原動力は、そこにあると思う。

 「山や谷を喜んで迎えよう。」
そんな気概だけは持ち続けたいと、常々胸にある。

 しかし、老兵ごときでは、手に負えないものもある。
そんな無理難題は、何とかご免こうむりたい。
 厚かましと思いいつつ、
そう平気で言える年齢だと、ご理解頂ければ・・。

 さて、今年も例年通り、年賀状に私の詩を添えた。
まずは、それを記す。


     色彩豊富

 赤や黄 青色の風船を膨らませたい
 その風船を誰かに届けたい
  だから
 八雲の放牧牛が見ているマラソン道を
 ひとり淡々と走っていた
  月数回だがキーボードと向き合い
  足あとに想いを載せて綴ってみた
 突然この街で出逢った人々との
 小さな物語を語る機会に恵まれた
  なので
 やがて来る衰えなど 無関心
 無理しないでの声など 完全無視
 まして老いの手解きなど 無礼千万
  そして今年も
 ピンクや黄緑 真っ白な風船を
 いっぱい膨らませ 空へ遠くへ


 『風船』に対しては、特別な想いが2つほどある。

その1つ目は、
2年前の2月7日朝日新聞の『折々のことば』だ。
 その記事は、以前にもこのブログに添付した。
私の心を捉えて離さないのだ。

 実は、12月初旬のことだが、
『伊達市長生大学』で1時間半の講演をさせてもらった。
 聴衆は、長生大学の学生、
つまり60歳代以上の市民約150名程だ。

 講演を終えた翌日、顔馴染みの方とランニング途中で、
偶然逢った。

 「昨日、ウチのが珍しく顔を輝かせて、
長生大学から帰ってきたんです。
 お話を聞いて、すごく楽しかったって、
すぐに言い出したんですよ。」

 予想を超える反響に、逃げ出したいやら、
照れるやらだったが、同時にすっと肩の力が抜けた。

 その話の最後に、今後の暮らし方について、
この『折々のことば』を、引用させて貰った。
 その時の要旨を復元し、1つ目の風船への想いとする。

 『今日の私の結びになります。
これは、哲学者の鷲田清一さんが書いている
新聞のコラムからなのですが、
そこで紹介されている言葉です。
 小説「不滅」の作者であるミラン・クンデラさんのものです。

 この小説家は、こんなことを書き残したんです。
「たぶんわれわれはある例外的な瞬間にしか
自分の年齢を意識していないし、
たいていの時間は無年齢者でいるのだ。」

 この言葉に鷲田先生は、こんなコメントをしています。
そのコメントが、すごくいいんです。

 「60代とおぼしき女性がプールで、
若い男性教師に水泳を習っている。
 レッスンが済んでプールから去るとき、ふとふり返り、
彼に色とりどりに塗りわけた風船を、
 恋人めがけて投げるかのような合図を送る。
ひとの存在もまた風船のよう。
 歳など知らず気ままに漂う。
きゅんとなる。」

 どこかのプールでもありそうな、そんな光景です。
「もう歳だから、私はそんなの・・」などと、
必要以上に自分の年令を意識せず、
たいていの時間は、無年齢者なのです。
 私は、クンデラさんの言葉に賛同しています。

 だから、色とりどりの風船を誰かに投げかけたり、
私自身がそんな風船で、気ままに漂ったり・・、
時には、きゅんとなって、これからも暮らしていけたら・・。
 そう思っています。
 
 みなさんも、ぜひ、いかがでしょうか。
色とりどりの風船と、気ままに漂っては・・・。
 長々と、失礼しました』。


 2つ目は、随分若い頃に聴いた、
さだまさしの歌・『天までとどけ』だ。
 まずは、その歌詞を添付する。


     天までとどけ

 出逢いはいつでも 偶然の風の中
 きらめく君 僕の前に
 ゆるやかに立ち止まる
 懐かしい風景に 再びめぐり逢えた
 そんな気がする 君の胸に
 はるかな故郷の風
 ※舞いあがれ 風船の憧れの様に
  二人の明日 天までとどけ
  ようこそ ようこそ
  ようこそ僕の街へ ようこそこの愛へ

 ふれあいのかけらが 人生を変えてゆく
 ことばでなく ものでもない
 ひとつの出会いから
 君さえ許せば 僕の愛する街が
 胸ときめかせ 君のふるさとに
 なりたがっている              
 ※舞いあがれ 風船の憧れの様に
  二人の明日 天までとどけ
 ※舞いあがれ 風船の憧れの様に
  二人の愛 天までとどけ
  ようこそ ありがとう
  ようこそ僕の街へ ようこそこの愛へ


 求愛ソングとでも言えそうだが、
この曲では、3回も『舞いあがれ 風船の憧れの様に』のフレーズが、
くり返されている。

 さだまさしは、あるコンサートで『風船の憧れ』について、
あるエピソードを語っていた。
 古い話だ。

 まだまだかけ出しの頃らしい。
ある高名な詩人宅に招かれた。
 そこでの歓談で、彼は詩人に問われた。

 「さだ君、風船の恋人を知っていますか。」
彼は、突然の問いに戸惑った。答えに困った。

 すると、詩人は、静かに言った。
「さだ君、風船の恋人は空だよ。
 風船を持っている手をぱっと放してごらん。
すると、風船は、大好きな空へ、
さっと一直線に舞いあがっていくだろう。」

 さだまさしは、詩人の言葉に感激した。
そこで、彼は、『きらめく君』への想いが、『天までとどけ』との願いを、
『風船の憧れの様に』としたのだとか・・。

 「風船の恋人は空」。
その話を知ってから、何10年になるだろうか。

 お祭り広場などのイベント会場で、
小さな子が買い求めた風船を、思わず手放す。
 すると風船が青空へ飛んでいく。
そんな場面に遭遇する。

 すると、落胆する親子をよそに、
私は、いつもその風船を見上げ、自問してしまう。

 「矢っ張りだ。風船は空へ一直線・・。
だけど、お前の憧れは、一体なに、どこ・・」。

 実は、いつまでたっても、憧れるものが多すぎる私だ。
これと決められないまま、ここまで来てしまった。
 風船のように、
迷わず『空』と言えるのは、いつ・・・。




  冬の有珠山 冷たい荒々しさ

        ※次回のブロク更新予定は1月19日

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1 コメント

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Unknown (kikilala_nyanko)
2019-01-05 21:06:56
講演ごくろうさまでした。

長生大学の学生は250名でございます

 訂正させていただきます。

当日は満員で 250名の学生それぞれがいろいろな

角度から

 お話を楽しんでおりました

 ありがとうございます。
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