お盆を過ぎると、夏の気配が薄れるのが北国の常だ。
国連の偉い方が
「地球温暖化ではない。沸騰化だ」
と言ったが、
当地の今週の暑さは、その台詞が大げさではない。
12年前、伊達に新居を構える時、
エアコンをどうするか、建築業者から訊かれた。
当地の暑さを知らない私らは、業者の考えに従うことにした。
ところが、業者の意見が分かれた。
私と同世代の方は、
「内地の暑さとは違うから、なくてもいい」と言い、
若い方は真逆、
「年々暑さが厳しくなっていますので、
これから先を思うとあった方がいいかと」。
困った私らは、同世代の考えに従った。
設計段階では設置になっていたエアコンを採用しなかったのだ。
だから今年に限らず、夏は扇風機に涼を求めるだけで過ごしている。
さて、熱中症警戒アラートが続いている。
外出を控え、エアコンのない引きこもり生活だ。
これでは、食欲もなくなる。
「何か食べなくては」と思いつくのは、
麺類ばかり。
ブログも、麺類で「そば」にした。
① まずは最近の「そば」から
以前より行きたいと思っていた所があった。
夕張の『幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば』である。
あの山田洋二監督の名作。
そのラストシーンのロケ地が残っていると言う。
つい先日、この暑さの中、
高速道で約2時間のドライブ。
ロケ地の夕張へ向かった。
夕張に着くと、お昼時だった。
「まずは昼食を」と、道の駅に駐車した。
ここも暑かった。
館内に売店と軽食はあったが、
思っていたような食事処はなかった。
炎天下、暖簾のかかった店を探すことにした。
夕張は斜陽の町だ。
期待しないまま、数分歩いた。
すると、営業中の赤いのぼり旗があった。
店の前には車が3,4台止まっていた。
とにかく何か食べようと暖簾をくぐり、店に入った。
予想外だった。
店内は、外の閑散さとは大違い。
空席はカウンターの2つだけだった。
家内と並んで座った。
カウンターの中には、
高齢夫婦と30代と見られる女性が1人いた。
見上げたメニューの張り紙には、
一際大きく『名物・カレーそば』とあった。
店主と思われる男性が、
「注文は?」と言う強い視線で私を見た。
急いで、カウンターの左右を見た。
そして、後ろのテーブル席も見た。
この暑さの中、全員が「カレーそば」だった。
家内に確認しないまま私は、
「カレーそば」と人差し指と中指を立て、店主に見せた。
コクリと店主はうなずいた。
期待が膨らむのに十分な店主の振る舞いだった。
先客3人の後、私たち2人に「カレーそば」が来た。
カレーうどんの美味しさは記憶にあった。
しかし、美味いカレーそばは知らなかった。
そばとカレーのマッチングにビックリした。
この美味しさの食レポはできないが、
周りで食べていた人たちの美味そうな顔。
私も同じ顔をしながら食べていたと思う。
珍しく家内が食べながら「美味しいね」と私に同意を求めた。
食べ終えた器を、カウンターの縁に乗せながら、
店主に「美味しかった」と言った。
注文を尋ねたのと同じ目をして店主は私を見た。
「期待どおりだったろう」。
そう言いたかったのかも・・。
外に出ると、どっと汗が噴き出した。
カレーそばだからだ。
でも、きっとまたこの店に来る。
そしてまた同じ注文をするだろうと思った。
② グループ旅行の「そば」から
まだ現職だった頃の夏休みだ。
8人乗りのワンボックスカーで、一泊旅行に行った。
私は、計画されたスケジュールに従うだけの気軽な旅だった。
最初の計画は、そば打ち体験だった。
観光地によくある大きな民家風のそば屋だった。
その裏手に体験教室があった。
そこへ通されたが、
早く着いたらしくしばらく待たされた。
やがて、気むずかしそうな男性が現れた。
そして、そば打ちの体験教室が始まった。
8人はワイワイガヤガヤと、
楽しい雰囲気でそば打ち体験がしたかった。
ところが、
「これでいいのかな」なんて声を出すと、
すかさず「黙ってやる」と強い口調で言われた。
「師匠、こんな感じですけど・・」。
女性が不安げに尋ねても、
「ダメなときは、わかります。
黙ってやればいいんです」。
無愛想な答えが返ってきた。
全然楽しい時間ではなくなった。
それでも、最後のそばを切るところまで、
全員無言でやり終えた。
「店に席を用意してあるので、
このそばはそこで食べて終了。
店でゆで上がるのを待っててください」。
言われるまま店の席で待った。
待ちくたびれて、2度3度と催促した。
なかなか茹で上げって来ないのだ。
ついに遅い理由を訊いた。
「そば打ち体験より店のお客さんを優先しています。
同じ釜で茹でるわけにはいきませんから」。
待つこと1時間。
やっと私たちが打ったそばがきた。
「黙って食べる」。
そんなことを言う人がいなくても、
誰も何も言わずに食べ、無言で店を後にした。
③ 1年前、湘南台の「そば」から
昨年の春、二男は神奈川県藤沢市に転居した。
夏の暑い盛りを避けて、初めて訪ねてみた。
最寄りの湘南台駅で、二男家族3人と待ち合わせた。
まだ昼食には早かったが、
開店を待って行列ができる店だからと、
駅近くそば屋へ案内された。
どこの町にでもありそうな店構えだった。
「この店に行列ができるなんて・・」。
やや信じがたい思いで、店名の看板を見上げた。
そこには、『元祖 鴨南ばん 本家』とあった。
ビックリした。
最近の私は、どこのそば屋へ行っても注文は、
「鴨せいろ」だった。
きっと、この店の「鴨せいろ」も美味いと直感した。
ママに訊いた。
元祖は鴨南ばんだけでなく、鴨せいろも元祖だと言う。
そんな店が、藤沢にあるとは、
驚きと一緒に期待が膨らんだ。
気づくと、私たちの後ろには行列ができていた。
やや細めのそばに本格的な鴨の汁がいい。
湘南台に来る楽しみが倍加した。
ミ ズ ヒ キ ~歴史の杜公園・野草園
国連の偉い方が
「地球温暖化ではない。沸騰化だ」
と言ったが、
当地の今週の暑さは、その台詞が大げさではない。
12年前、伊達に新居を構える時、
エアコンをどうするか、建築業者から訊かれた。
当地の暑さを知らない私らは、業者の考えに従うことにした。
ところが、業者の意見が分かれた。
私と同世代の方は、
「内地の暑さとは違うから、なくてもいい」と言い、
若い方は真逆、
「年々暑さが厳しくなっていますので、
これから先を思うとあった方がいいかと」。
困った私らは、同世代の考えに従った。
設計段階では設置になっていたエアコンを採用しなかったのだ。
だから今年に限らず、夏は扇風機に涼を求めるだけで過ごしている。
さて、熱中症警戒アラートが続いている。
外出を控え、エアコンのない引きこもり生活だ。
これでは、食欲もなくなる。
「何か食べなくては」と思いつくのは、
麺類ばかり。
ブログも、麺類で「そば」にした。
① まずは最近の「そば」から
以前より行きたいと思っていた所があった。
夕張の『幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば』である。
あの山田洋二監督の名作。
そのラストシーンのロケ地が残っていると言う。
つい先日、この暑さの中、
高速道で約2時間のドライブ。
ロケ地の夕張へ向かった。
夕張に着くと、お昼時だった。
「まずは昼食を」と、道の駅に駐車した。
ここも暑かった。
館内に売店と軽食はあったが、
思っていたような食事処はなかった。
炎天下、暖簾のかかった店を探すことにした。
夕張は斜陽の町だ。
期待しないまま、数分歩いた。
すると、営業中の赤いのぼり旗があった。
店の前には車が3,4台止まっていた。
とにかく何か食べようと暖簾をくぐり、店に入った。
予想外だった。
店内は、外の閑散さとは大違い。
空席はカウンターの2つだけだった。
家内と並んで座った。
カウンターの中には、
高齢夫婦と30代と見られる女性が1人いた。
見上げたメニューの張り紙には、
一際大きく『名物・カレーそば』とあった。
店主と思われる男性が、
「注文は?」と言う強い視線で私を見た。
急いで、カウンターの左右を見た。
そして、後ろのテーブル席も見た。
この暑さの中、全員が「カレーそば」だった。
家内に確認しないまま私は、
「カレーそば」と人差し指と中指を立て、店主に見せた。
コクリと店主はうなずいた。
期待が膨らむのに十分な店主の振る舞いだった。
先客3人の後、私たち2人に「カレーそば」が来た。
カレーうどんの美味しさは記憶にあった。
しかし、美味いカレーそばは知らなかった。
そばとカレーのマッチングにビックリした。
この美味しさの食レポはできないが、
周りで食べていた人たちの美味そうな顔。
私も同じ顔をしながら食べていたと思う。
珍しく家内が食べながら「美味しいね」と私に同意を求めた。
食べ終えた器を、カウンターの縁に乗せながら、
店主に「美味しかった」と言った。
注文を尋ねたのと同じ目をして店主は私を見た。
「期待どおりだったろう」。
そう言いたかったのかも・・。
外に出ると、どっと汗が噴き出した。
カレーそばだからだ。
でも、きっとまたこの店に来る。
そしてまた同じ注文をするだろうと思った。
② グループ旅行の「そば」から
まだ現職だった頃の夏休みだ。
8人乗りのワンボックスカーで、一泊旅行に行った。
私は、計画されたスケジュールに従うだけの気軽な旅だった。
最初の計画は、そば打ち体験だった。
観光地によくある大きな民家風のそば屋だった。
その裏手に体験教室があった。
そこへ通されたが、
早く着いたらしくしばらく待たされた。
やがて、気むずかしそうな男性が現れた。
そして、そば打ちの体験教室が始まった。
8人はワイワイガヤガヤと、
楽しい雰囲気でそば打ち体験がしたかった。
ところが、
「これでいいのかな」なんて声を出すと、
すかさず「黙ってやる」と強い口調で言われた。
「師匠、こんな感じですけど・・」。
女性が不安げに尋ねても、
「ダメなときは、わかります。
黙ってやればいいんです」。
無愛想な答えが返ってきた。
全然楽しい時間ではなくなった。
それでも、最後のそばを切るところまで、
全員無言でやり終えた。
「店に席を用意してあるので、
このそばはそこで食べて終了。
店でゆで上がるのを待っててください」。
言われるまま店の席で待った。
待ちくたびれて、2度3度と催促した。
なかなか茹で上げって来ないのだ。
ついに遅い理由を訊いた。
「そば打ち体験より店のお客さんを優先しています。
同じ釜で茹でるわけにはいきませんから」。
待つこと1時間。
やっと私たちが打ったそばがきた。
「黙って食べる」。
そんなことを言う人がいなくても、
誰も何も言わずに食べ、無言で店を後にした。
③ 1年前、湘南台の「そば」から
昨年の春、二男は神奈川県藤沢市に転居した。
夏の暑い盛りを避けて、初めて訪ねてみた。
最寄りの湘南台駅で、二男家族3人と待ち合わせた。
まだ昼食には早かったが、
開店を待って行列ができる店だからと、
駅近くそば屋へ案内された。
どこの町にでもありそうな店構えだった。
「この店に行列ができるなんて・・」。
やや信じがたい思いで、店名の看板を見上げた。
そこには、『元祖 鴨南ばん 本家』とあった。
ビックリした。
最近の私は、どこのそば屋へ行っても注文は、
「鴨せいろ」だった。
きっと、この店の「鴨せいろ」も美味いと直感した。
ママに訊いた。
元祖は鴨南ばんだけでなく、鴨せいろも元祖だと言う。
そんな店が、藤沢にあるとは、
驚きと一緒に期待が膨らんだ。
気づくと、私たちの後ろには行列ができていた。
やや細めのそばに本格的な鴨の汁がいい。
湘南台に来る楽しみが倍加した。
ミ ズ ヒ キ ~歴史の杜公園・野草園