就寝前のひと時、テレビのチャネルを回していたら、
バラエティー番組で学校給食が話題になっていた。
「某居酒屋のメニューにある『チリコンカン』は、
学校給食で食べた懐かしい味だ」と言う。
急に興味がわいた。
「チリコンカン・・・?」
私の記憶にはない献立名だった。
どうやら豆料理のようで、
牛肉、大豆、玉ねぎなどをトマトと一緒に煮込んだものらしかった。
番組では、それを美味しそうに食べる居酒屋の場面が
紹介されていた。
少しお酒がまわったお客さんが、
チリコンカンを前に言う。
「これ、給食でしか出たことがなかったけど、
昔、よく学校で食べました。
人気がありましたよ。
あの頃も美味しかったし、今も時々食べたくなります!」。
さて、私の給食体験だが、小学校4年から始まった。
当時は、いつもコッペパンと牛乳(脱脂粉乳だったかも)、
それにおかずが1品ついた。
給食が美味しかったイメージはない。
でも、いつもみんなと同じ物を食べることができた。
それがすごく嬉しかった。
教職についてからは、ずっと給食のお世話になってきた。
ふと、テレビ番組のあの彼のように、
「給食でしか食べたことがなかったものってあっただろうか?
今も食べたくなる給食ってあるだろうか?」
現職の頃に想いを巡らせてみた。
① 給食でしか食べたことがなかったもの
まず上げたいのは、『ミネストローネ』だ。
最初に食べたのは、ベテラン教員になってからだ。
「ミネストローネ」と献立表にあっても、
どんな物か想像できなかった。
気さくな栄養士さんだったので、前の日に訊いてみた。
すると、イタリア料理で綺麗な色のスープだと言った。
その日の朝、同じ説明を子ども達にし、
「楽しみだね」と言った。
本当は、私が一番楽しみにしていた。
トマトの色だとも知らずに、
具だくさんの赤いスープの美味しさに驚いた。
今は、たまたま入ったレストランで、
本日のスープが「ミネストローネ」だったりすると、
宝くじにでも当たったような気分になる。
次は、デザートとして出てきた果物、『ビワ』である。
長野県や千葉県が主な生産地らしいが、
それまで見たことのないフルーツだった。
きっと知識として、名前は知っていたと思うが、
ビワとの初対面は、担任をしていた教室でだった。
どうやって食べるのか、知らなかった。
子ども達が、手で器用に皮をむくのを見て、
真似してむいた。
その後も盗み見て、食べ方を知った。
食べ慣れずに、果汁がこぼれ落ちそうになり、
子ども達に気づかれないようにと緊張して食べた。
真ん中に予想外に大きな種があった。
慌てて、私のだけだろうかと子ども達の種を見回した。
そんなことがあったけど、上品な甘さが一度で好きになった。
今は、当地でも春にスーパーのフルーツコーナーに、
箱入りのものが並ぶ。
高価な値が付いている。
「これじゃ、この辺りの学校では、
給食に出ることはないだろう」
と思いつつ、私も素通りしている。
最後は、冷凍みかんだ。
冬を迎える頃から春まで、よく普通のみかんが出た。
時季的には珍しいことではなかった。
しかし、いつからだろうか。
みかんの前に、冷凍みかんの日が時々あった。
給食の配膳をしている間に、冷凍が徐々に解けだした。
給食のお盆が濡れ、パンにその水が浸みることがあり厄介だった。
皮は柔らかくてむきやすい。
一房一房も食べやすかった。
でも、どうして冷凍みかんが出るのか不思議だった。
時折、思い出してスーパーで探してみたが、
冷凍みかんが人気商品だとは思えなかった。
今も、やっぱり不思議なまま冷凍食品のケースを覗くことがある。
② 今も食べたくなる給食
ネットに、こんな触れ込みのアンケート調査があった。
『ときどきふと思い出して、無性に食べたくなる給食ってありますよね。
なかでも特に好きだったメニューが人それぞれあるかと思うので、
みんなの “推し” をアンケートで調査してみました』。
そのベスト3は、1位『揚げパン』、2位『わかめごはん』、
3位『カレーライス』であった。
どれも、十分に納得できた。
その1つ1つは、私にとっても『今も無性に食べたくなる給食』である。
他にも食べたくなる給食がある。
その中から、2つを記す
1つ目は、『煮込みうどん』である。
特に低学年の場合だが、
給食の配膳を子どもだけに任せることができないメニューであった。
煮込みうどんは、担任が給仕しても大変だった。
苦労してやっと全員に取り分けて、食べ始めるのだが、
いつ食べても、このうどんは本当に美味しかった。
学校によって、またその時々によって、
煮込みの具材も味付けも違った。
それでも、具だくさんでその味がよくうどんにしみ込んでいた。
給食でしか食べられないうどんだった。
ある時、あまりにも美味しかったので、
栄養士さんに、どこの製麺所のものか尋ねた。
返ってきた答えは、
「普通の業務用冷凍うどんです」。
これには、ビックリした。
2つ目は、『おでん』だ。
これも、配膳が難しかった。
何種類もの具を均等に取り分けるのだが、うまくいかない。
だから、「だいたい同じにするけど、全部は同じにならないよ」
と、納得させてから給仕した。
高学年になると、みんなが何度も当番を経験していたので、
その苦労がわかっていた。
不満を言う子などいなくなった。
このおでんだが、煮込みうどんと同様で、
色々な具の旨みがしみて、実に美味しいのだ。
特に、大根は思い出すだけで、唾液がでてしまう。
どこのおでん屋にも負けない美味しさだった。
もう一品、忘れられないのが昆布だ。
固く結んだ昆布だがすごく柔らかく、
普段は好まない具材だが、喜んで食べた。
ご飯まで、いつも以上に美味しかった。
牧草ロール 着々と冬支度
バラエティー番組で学校給食が話題になっていた。
「某居酒屋のメニューにある『チリコンカン』は、
学校給食で食べた懐かしい味だ」と言う。
急に興味がわいた。
「チリコンカン・・・?」
私の記憶にはない献立名だった。
どうやら豆料理のようで、
牛肉、大豆、玉ねぎなどをトマトと一緒に煮込んだものらしかった。
番組では、それを美味しそうに食べる居酒屋の場面が
紹介されていた。
少しお酒がまわったお客さんが、
チリコンカンを前に言う。
「これ、給食でしか出たことがなかったけど、
昔、よく学校で食べました。
人気がありましたよ。
あの頃も美味しかったし、今も時々食べたくなります!」。
さて、私の給食体験だが、小学校4年から始まった。
当時は、いつもコッペパンと牛乳(脱脂粉乳だったかも)、
それにおかずが1品ついた。
給食が美味しかったイメージはない。
でも、いつもみんなと同じ物を食べることができた。
それがすごく嬉しかった。
教職についてからは、ずっと給食のお世話になってきた。
ふと、テレビ番組のあの彼のように、
「給食でしか食べたことがなかったものってあっただろうか?
今も食べたくなる給食ってあるだろうか?」
現職の頃に想いを巡らせてみた。
① 給食でしか食べたことがなかったもの
まず上げたいのは、『ミネストローネ』だ。
最初に食べたのは、ベテラン教員になってからだ。
「ミネストローネ」と献立表にあっても、
どんな物か想像できなかった。
気さくな栄養士さんだったので、前の日に訊いてみた。
すると、イタリア料理で綺麗な色のスープだと言った。
その日の朝、同じ説明を子ども達にし、
「楽しみだね」と言った。
本当は、私が一番楽しみにしていた。
トマトの色だとも知らずに、
具だくさんの赤いスープの美味しさに驚いた。
今は、たまたま入ったレストランで、
本日のスープが「ミネストローネ」だったりすると、
宝くじにでも当たったような気分になる。
次は、デザートとして出てきた果物、『ビワ』である。
長野県や千葉県が主な生産地らしいが、
それまで見たことのないフルーツだった。
きっと知識として、名前は知っていたと思うが、
ビワとの初対面は、担任をしていた教室でだった。
どうやって食べるのか、知らなかった。
子ども達が、手で器用に皮をむくのを見て、
真似してむいた。
その後も盗み見て、食べ方を知った。
食べ慣れずに、果汁がこぼれ落ちそうになり、
子ども達に気づかれないようにと緊張して食べた。
真ん中に予想外に大きな種があった。
慌てて、私のだけだろうかと子ども達の種を見回した。
そんなことがあったけど、上品な甘さが一度で好きになった。
今は、当地でも春にスーパーのフルーツコーナーに、
箱入りのものが並ぶ。
高価な値が付いている。
「これじゃ、この辺りの学校では、
給食に出ることはないだろう」
と思いつつ、私も素通りしている。
最後は、冷凍みかんだ。
冬を迎える頃から春まで、よく普通のみかんが出た。
時季的には珍しいことではなかった。
しかし、いつからだろうか。
みかんの前に、冷凍みかんの日が時々あった。
給食の配膳をしている間に、冷凍が徐々に解けだした。
給食のお盆が濡れ、パンにその水が浸みることがあり厄介だった。
皮は柔らかくてむきやすい。
一房一房も食べやすかった。
でも、どうして冷凍みかんが出るのか不思議だった。
時折、思い出してスーパーで探してみたが、
冷凍みかんが人気商品だとは思えなかった。
今も、やっぱり不思議なまま冷凍食品のケースを覗くことがある。
② 今も食べたくなる給食
ネットに、こんな触れ込みのアンケート調査があった。
『ときどきふと思い出して、無性に食べたくなる給食ってありますよね。
なかでも特に好きだったメニューが人それぞれあるかと思うので、
みんなの “推し” をアンケートで調査してみました』。
そのベスト3は、1位『揚げパン』、2位『わかめごはん』、
3位『カレーライス』であった。
どれも、十分に納得できた。
その1つ1つは、私にとっても『今も無性に食べたくなる給食』である。
他にも食べたくなる給食がある。
その中から、2つを記す
1つ目は、『煮込みうどん』である。
特に低学年の場合だが、
給食の配膳を子どもだけに任せることができないメニューであった。
煮込みうどんは、担任が給仕しても大変だった。
苦労してやっと全員に取り分けて、食べ始めるのだが、
いつ食べても、このうどんは本当に美味しかった。
学校によって、またその時々によって、
煮込みの具材も味付けも違った。
それでも、具だくさんでその味がよくうどんにしみ込んでいた。
給食でしか食べられないうどんだった。
ある時、あまりにも美味しかったので、
栄養士さんに、どこの製麺所のものか尋ねた。
返ってきた答えは、
「普通の業務用冷凍うどんです」。
これには、ビックリした。
2つ目は、『おでん』だ。
これも、配膳が難しかった。
何種類もの具を均等に取り分けるのだが、うまくいかない。
だから、「だいたい同じにするけど、全部は同じにならないよ」
と、納得させてから給仕した。
高学年になると、みんなが何度も当番を経験していたので、
その苦労がわかっていた。
不満を言う子などいなくなった。
このおでんだが、煮込みうどんと同様で、
色々な具の旨みがしみて、実に美味しいのだ。
特に、大根は思い出すだけで、唾液がでてしまう。
どこのおでん屋にも負けない美味しさだった。
もう一品、忘れられないのが昆布だ。
固く結んだ昆布だがすごく柔らかく、
普段は好まない具材だが、喜んで食べた。
ご飯まで、いつも以上に美味しかった。
牧草ロール 着々と冬支度