Somebody kills me
“存在しないで”
10階の窓から
樹海の中に (Deathparade)
やっぱり、人生って毎度毎回「こんなもんか。」の繰り返しで
満たされる事もないままに、本当の喜びも知り得ないままに進んでいくじゃないですか?
頑張ろうにも、繋がらない努力と
頑張ろうにも、小さ過ぎる器量と
頑張ろうにも、極少数派な自分と・・・
だから、自死を選ぶ人に何の疑問も批判的な想いもなくて
ぶっちゃけると「そりゃそうだ。」って思うんですよね
ただ義務的に機械的に流れ作業的に進んで行く「だけ」の日々に価値があるとは到底思えない。
どんだけ大げさな気分で自分を盛り立てても、
無理矢理前向きになろうとして本音を誤魔化しても、
結局目の前に転がってるものは“満たされてない現実”だけじゃん。って思うんですよね
それを変えられない自分と
だからこそ変わらない世界と・・・
「so many death」って歌詞はずっと聴いてると「聡明にdeath(死)」って風にも聴こえる
そんなただただいたたまれない、やり切れない「だけ」の気持ちを圧倒的に吐き出してくれる、
そんなsyrup16gの音楽が俺には未だに必要で愛おしく想う、って話なんです。
向き合おうって
言われたって
全滅だから
もう焼け野原 (Deathparade)
太陽の船
いずれ海原へ
吐きそうだ 御免 (Find the answer)
「諦めない」「足掻いてやる」「報われる」「それでも」
そんな幾つもの感情はただのその場しのぎの一過性的な想いに過ぎず、
結局は「ダメだった」「通じない」「パッとしない」「どう仕様もない」
それが圧倒的に現実じゃないですか
そんなものは、正直下らない
本当は、何もかもが足りなくて、雰囲気だけはいけそうで、でも結果的に俯いてるのが本当の自分なら
そもそもただただ慣性のままに過ごしてる「生」だったり「今」に疑問を抱いて当然だと思うんです
いけそう、でも、いけなかった
やれそう、でも、やれなかった
頑張ろう、でも、頑張れなかった
通じそう、でも、通じなかった
そういう・・・
何とも言えない心境をグッド・メロディに乗せてひたすら綴っているのが新譜「darc」だと言えます。
生き急いでるような景色を
選んでみせたかったけど
君が側にいないのを
誤魔化して来ただけなんだよ (I'll be there)
あぁ そっか
そうやってやればいいんだ
あぁ なんだ
考えたこともなかった (Murder you know)
とはいえ、全部が全部後ろ向きな感情だけ・・・っていうとそれもまた違う
それはただのキャラクター作りで、本当は誰にだって明るい前向きな気持ちだってある筈なんです
ある意味、その繰り返しを延々と作業的に行っている「だけ」で、だからこそ嫌になると思うんですけど
このアルバムにはそういう一面的な趣だけではなく、意味の無い様な、だけど、逆にそれがアクセントになるような言葉も沢山詰まっています
それが今の五十嵐さんの正直な心情であって、よりリアルになって来た、って事なんでしょうけど
だからこそある人によってはそこまで響かないかもしれないし、
逆にこれが心地良いんだよ。ってなる人もいるかもしれません
本当は辛いし、ダメだって思ってるのに
それでも自分を騙し騙し前に進む相様が描かれている3曲目の「I'll be there」、
生きて行く内の「案外いけるじゃん。」って風な気持ちを美しいメロディで歌った「Murder you know」など純粋に良い曲が多いです
本当の事ばかり言う人を信じない (Rookie Yankee)
今作は、バンド演奏も五十嵐さんの創るメロディもフレッシュでみずみずしいものが多い
全体的にメロディメーカーとしての沽券復活、といった感じのアルバムで
決して派手ではないけれど確かに良い曲が揃っています
淡々とした心情を意味深なフレーズで綴る「Father's Day」、
五十嵐さんの弾き語りに近いむき出しの叫びが聴ける「Rookie Yankee」も大好きな楽曲です
総じて、感じたことは
「思ってたよりも良い。」っていうのが本音で
前作がレビューすら書かなかった、多分書いてたら煮え切らない感想になってたのは100%間違いないんで(笑
そこから比べると大分復調して来た、普通に通勤の時とかに聴きたくなるアルバムだな。っていうのはありました
これを引っ提げての全国ツアーもいよいよ始まるんでその意味でも今後のsyrup16gが純粋に楽しみになりました
多分syrup16gを聴き始めた中学生の頃と比べて相当日常生活がシロップそのものになって来た感覚なんかもあったりしますが
重要なのは「なんだかんだで生きている」「まだ続いている」、そんな共闘関係に近い感触なんだと思います
また、今作はアートワークも良いんですよ
無駄にメンへラ臭くて嫌気が差した前作とは違って、
ジャケットがまずイイですし、中には楽曲ごとにイメージ画像が載せられていて
それがまた良い具合に雰囲気を作ってくれてる、楽曲に寄り添ってくれている感覚があったりして
是非歌詞カードを見ながらじっくり聴かれる事をおススメします。個人的に一番好きなのは「Find the answer」でした。
ライブで聴いたらまた変わるかもしれないですけど。12月が楽しみだ。