やきもち女の話/語りつぐ人びと*アフリカの民話/松下周二・訳/2004年初版
国が違えば昔話もだいぶちがってくるが、この話は他の国にはみられないものがある。この話の背景には一夫多妻制がある。
**ある亭主にしょっちゅうお客がたずねてきていたが、女房に向かってもうひとり女房をもらえばむかえお前の仕事がらくになるだろうともちかけるがが、女房はうんといわない。
亭主は何回も同じ話をするが、女房はがんとして取り合わない。
亭主があるお婆さんに相談して、ちょっと旅にでるというと、女房も一緒に行くとこたえ、二人で旅に出る。途中の荒れ野で、おおきな岩を見つけ、この岩を持って帰りたい。新しい嫁をとったら、お前とその嫁の二人で岩を持ち上げてこれを運んでくれといい、家に忘れ物をしたと理由をつけて一緒に家にもどってきてしまう。
女房は岩のあるとこにいって、通りがかりの男4人に頼んで岩を頭の上にのせてもらう。
ところが岩が重くて足がだんだん地面に沈んでいきます。そこを通った人が岩を下してあげようかと聞くが、うちの人が嫁をとったらわたしの手伝いをしてくれかしらと疑問をもちながら断ります。
いく人かの人がそこを通りかかって岩をおろしてあげようかと尋ねるがそのままにしておいてくれとことわるうち、むねまで地中に沈んでしまい、とうとう岩だけが地面に残ります。
それから亭主は何人も新しい嫁さんをもらいつづける。**
一夫多妻制といっても奥さん了解が必要で、必ずしも男の思う通りいかないというあたりが面白いが、子どもには話せそうにもないのが残念である。
ハウサの人びとは、主にナイジェリア北部とニジェールに住んでいるが、それだけでなく西アフリカのあらゆる町にも移り住んでいるという。