蛙のお嫁さん/アジアの民話④ 語りおじさんのベトナム民話/坂入正生 編・語り 小島祥子・絵/星の環会/2001年初版
子どもに恵まれない夫婦が神様にお願いして蛙の女の子が生まれます。蛙の女の子はすくすく育ち、やがてある青年と結婚します。青年がいっている学校の仲間がいたずらしてみようとして、蛙の嫁さんに料理をつくってくれるようたのんだり、着物を縫ってくれよう頼みますが、いずれも見事にこなします。
仲間は、青年を困らせようと夫婦同伴で新年のあいさつのため先生の所に集まろうともちかけます。すると蛙の嫁さんは一人で森の中にいき、かぶっていた蛙の皮をペロリとぬぎます。
青年はその皮をやぶって捨ててしまいます。皮が無くなった蛙は「もう蛙には戻れない。あなたが優しい人なので神様が人間に戻してくれた」と話します。
青年と人間になった蛙をみて、仲間の学生は「似合いの夫婦だ」と二人を祝福します。
昔話らしいベトナムのお話。
今、読むことのできる日本の昔話は研究者の方が地域の語り部の方から採話したものや、地域の歴史を大事にする人々、さらには高校生が採録したものなども見られます。
外国の昔話では、重訳も見られますが、現地語で採録されたものなど先人が苦労して集めたものを手軽にふれることはありがたいところ。
ところで、この「蛙のお嫁さん」は、日本にいるベトナム難民の協力で「語りおこされた」ものといいます。
小島さんの絵はベトナム現地での写生旅行をもとにかかれていて、お話(5話が収録)の雰囲気がとてもよく伝わってくるものとなっています。