どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

モチモチの木

2013年09月07日 | 絵本(日本)
モチモチの木  

     モチモチの木/斎藤隆介・作 滝平二郎・絵/岩崎書店/1971年初版

 

 両親をなくし、じさまと峠の猟師小屋に一緒に暮らす5歳の豆太は、夜には、おもてにあるセッチンにひとりでいけない臆病。

 真夜中にしょんべんにいきたくなった豆太が「ジサマ」と小さな声をかけると、どんな真夜中でも目をさましてくれるじさま。

 ある真夜中、まくらもとでうなっていたじさまにびっくりして、豆太は暗い夜道をおいしゃのところへはしります。
 おいしゃをつれて雪のふりはじめた峠道をのぼってきたとき、豆太がモチモチの木とよんでいる木に ひがついていました。

 次の日、はらイタがなおって元気になったじさまはいう。
 「おまえは山のかみさまの まつりを みたんだ。
 モチモチの木には ひがついたんだ。
 おまえは ひとりで よみちを いしゃさまよびに いけるほど
 ゆうきのある こどもだったんだからな。
 じぶんで じぶんを よわむしだなんて おもうな
 にんげん、やさしささえあれば、やらなきゃならねえことは、
 きっと やるもんだ」

 切り絵が、木に火がつく幻想的な情景をうかびあがせ感動的です。

 「やさしさ」という言葉には、たんなるやさしさをこえて、強さがしめされているようです。
 ここにはなぜか、なつかしさをおぼえる風景がひろがっています。