テスの木/ジェス・M・ビロウヤー・文 ピーター・H・レイノルズ・絵 なかがわ ちひろ・訳/主婦の友社/2010年
六歳のテスがブランコしたり、木陰にテントを張ってキャンプしたり、落ち葉のふとんにもぐったりした大好きだった木が、嵐の夜に太い枝も細い枝も折れ、倒れると危険なので切り倒されてしまいました。
大好きな木と別れ、怒ったり、八つ当たりしたり、切り株によりかかって泣いたテスは、木のお葬式をすることにしました。みんなに案内状を書いたのです。
お葬式の日、切り株のまわりに人々があつまってきました。
おむかいの家のおじさんが、はじまりのあいさつをしてくれました。
テスの先生は、ブランコの詩を よんでくれました。
木の幹にタイラーとマックスと 名前をほったご夫婦は、両側からキスをしました。
おとなりのおばあさんは、70年以上もまえに木に登った写真をテスにくれました。
樹齢170年以上の木は、いまはもう亡くなったここで暮らした人のたくさんの思い出も刻まれていたのでした。
みんなの思い出を聞いたテスは、木がテスだけのものだったのではないことを知り、もう泣きませんでした。切り株のそばには小さな芽が出ていて、次の思い出を刻みはじめています。
テスの気持ちを理解し、サポートしてくれるやさしい大人も素敵です。