どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

石のスープ・・ボリビア アイマラ族

2020年12月17日 | 昔話(南アメリカ)

    世界むかし話6 ペルー・ボリビアのむかし話/加藤隆浩:編訳/ほるぷ出版/1991年

 

 「石のスープ」というと、詐欺ですが、じぶんたちがだまされた話が、伝承されてきたというのはいましめでしょうか。

 あるインディヘナの家に白人がやってきて、お金を払うから食事を用意してほしいと頼みますが、インディヘナたちは「だんなさま。わたしたちは、なにももっていないのです。」と、ことわります。まずしいこの村に、余分な食べ物などなかったのです。

 いくらお金を出すといわれても、じぶんたちで動物を飼い、畑を耕し、布を織って暮らしているインディヘナたちにとっては、お金など必要なかったのです。

 しかたなく白人たちは、つぎの村へむかおうとしました。そのとき、白人たちのなかで、インディヘナのことをよく知っている男が、鍋を一つ貸してくれと頼み、あたりに落ちている石を、いくつか拾っていれました。インディヘナたちは、おどろいてなにをしてるかたずねると、「石を料理しているのさ。とてもおいしくなるんだよ」と、男はこたえました。そして白い粉を鍋にほうりこんでみせました。それは、ただのふくらし粉でしたが、何も知らないインディヘナたちは、じぶんたちの食事と、石の料理を交換してくれるようたのみます。もちろん白人たちはよろこんで、ねがいをかなえてあげます。人を疑うことを知らないインディヘナたちは、石のスープをのんで、このめずらしい、やすあがりの食事に、すっかり満足します。

 

 白人が現地の人を騙すのは、この時代の反映でしょうか。

 

 マーシャ・ブラウンの「せかいいちおいいしいスープ」(こみや ゆう・訳/岩波書店/2010年)も、石からスープができると村人を騙す話ですが、これはフランスの昔話がもとになっています。

 集団が、催眠状態になるというのも、考えてみれば怖い話です。