どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おばあちゃんのはこぶね

2020年12月26日 | 絵本(外国)

      おばあちゃんのはこぶね/M.B.ゴフスタイン:作絵 谷川俊太郎・訳/現代企画室/2018年

 

 見たのは2018年のものですが、1996年にすえもりブックスから発行されていました。

 ページの真ん中にある四角い線のなかに、いたってシンプルに小さめの絵、モノクロで地味な感じ。原著は1978年の発行です。

 

 90年前、わたしが子どもだったころ、父が、方舟をつくってくれた。

 「ながさは三百キューピット」という元気な父の声。作るのが楽しそうだった。

 ノアには、片手に金づち、もういっぽうにモップをもった男の人と、のこぎりを持ったおくさん、それにヒョウやヒツジ、はいいろのうまなどの動物も。

 大きくなるにつけ、父は、動物をふやしてくれた。遊ぶのは、本当に楽しかった!。

 結婚した時、夫は、からかいながらも、方舟を大切に新しい家に運んでくれた。

 子どもが生まれると、わたしはノアの話をおしえた。「ながさは三百キューピット」という大声も。

 みんないなくなったいま、方舟は思い出でいっぱい。

 「よろこびとかなしみは にじのよう それがわたしをあたためてくれる おひさまのように。」

 

 具体的なことはほとんど語られていませんが、方舟には、90年間のたくさんの喜びや悲しみものっています。子どもたちも旅立ち ひとりになって、静かに人生を振り返っているのでしょうか。