おばあちゃんのはこぶね/M.B.ゴフスタイン:作絵 谷川俊太郎・訳/現代企画室/2018年
見たのは2018年のものですが、1996年にすえもりブックスから発行されていました。
ページの真ん中にある四角い線のなかに、いたってシンプルに小さめの絵、モノクロで地味な感じ。原著は1978年の発行です。
90年前、わたしが子どもだったころ、父が、方舟をつくってくれた。
「ながさは三百キューピット」という元気な父の声。作るのが楽しそうだった。
ノアには、片手に金づち、もういっぽうにモップをもった男の人と、のこぎりを持ったおくさん、それにヒョウやヒツジ、はいいろのうまなどの動物も。
大きくなるにつけ、父は、動物をふやしてくれた。遊ぶのは、本当に楽しかった!。
結婚した時、夫は、からかいながらも、方舟を大切に新しい家に運んでくれた。
子どもが生まれると、わたしはノアの話をおしえた。「ながさは三百キューピット」という大声も。
みんないなくなったいま、方舟は思い出でいっぱい。
「よろこびとかなしみは にじのよう それがわたしをあたためてくれる おひさまのように。」
具体的なことはほとんど語られていませんが、方舟には、90年間のたくさんの喜びや悲しみものっています。子どもたちも旅立ち ひとりになって、静かに人生を振り返っているのでしょうか。