どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

テツコ・プー ふうせんになった おんなのこ

2023年07月08日 | 絵本(日本)

    テツコ・プー ふうせんになった おんなのこ/児島なおみ/偕成社/2020年

 

 てっちゃんは、あさからプーッとした きもちでいっぱいでした。朝ごはんのときに、弟をつねったら、お母さんに怒られた。でも、てっちゃんは あやまるどころか もっとプーッとして、カーテンの中に かくれ、なんといわれても でてきませんでした。

 お母さんから、「いつまでも プーッとしていると、ふうせん みたいに ふくらんで、どっかに とんでっちゃいますよ」と、いわれ、「ふーんだ。ふうせんになんかに なるわけ ないもん」と、もっとプーッとしました。すると、あらふしぎ、てっちゃんのからだが どんどんふくらんで ふんわり うくと まどから 空高く とんでいってしまいました。

 はじめは 空を飛んでいるのも 悪くありませんでした。でも だんだん あきてきて おうちに かえりたくなっても  こんどは したに おりられませんでした。

 カラスがやってきて、「ふうせんさん、つついてあげるよ。」というと、「だめ!」というてっちゃん。風が笑い出し、カラスとてっちゃんは、吹き飛ばされ、木の枝を つかみました。枝を伝って降りようとしても、おりらりません。おうちにかえりたいと泣いていたてっちゃんのところに、風が戻ってきて「きみを さがしているひとが いるよ。そこに いっしょに いこう!」

 いってみると、ママでした。てっちゃんが おりれないと叫ぶと、ママは?

 

 絵本のなかでは、おんなのこは テツコ・プーと 表現されていますが、なぜ不機嫌なのか でてきません。でも原因がよくわからなくても、ブルーな気持ちになって、なにもかも なげだしたくなることも たびたびあって なにか てっちゃんの気持ちが 理解できます。

 お母さんにいわれ、てっちゃんが、笑うと プーッとした きもちが どんどんぬけて、したにおりることができました。肩の力を抜くと、見えてくるものがありそうです。