どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

がわっぱとお竹どん・・熊本

2023年07月28日 | 昔話(九州・沖縄)

       熊本のむかし話/熊本県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1973年

 

 熊本では、かっぱのことを がわっぱといった。 

 ある夏の日の昼下がり、川の中にある大石の上で、がわっぱが 五六匹並んで、甲をほしていた。

 かっぱは、魚を釣りにきた男に、魚のいる場所を教え、男が釣った魚を、全部横取りしてしまった。男は、つぎからつぎへとつれる魚にきをよくしていたが、びくをみて、一匹も入っていないのを見て、がわっぱに、思い知らせようと、横目で、びくをのほうを見ていた。そして、水の中からすうっと黒い手がのびてくると、その手をおさえ、がわっぱの頭をたたいて、さらの中の水を落としてしまった。

 男は、「もうけっして悪さはせんから許してはいよ。」という、かっぱを、馬小屋の柱にしばりつけ、自分は、フナの料理で一杯飲みながら、夕涼みをしていたが、いつのまにかねむってしまった。

 この家のお竹どんが、馬に水やりにいったら、がわっぱが泣いて仕方がない。「ああ、やかましか。」と、お竹どんが、馬の飲み水をがわっぱの頭にあびせた。すると、がわっぱは、泣くのをやめ、笑い出した。がわっぱは、さらに水がたまると、何十倍もの力が出て、縄を引きちぎって、お竹どんに、お辞儀をしながら逃げていってしまった。それからは、お竹どんがいるあいだは、がわっぱのいたずらがなかったそうな。

 

 「かっぱ」は、「かわ(川)」に「わらは(童)」の変化形「わっぱ」が複合した「かわわっぱ」が変化したもので、その呼び名や形状は各地方によって異なる存在といいます。