どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

りこうな子ども・・インドネシア

2025年01月08日 | 昔話(東南アジア)

  アジアの昔話6/ユネスコ・アジア文化センター・編 松岡享子・訳/福音館書店/1981年

 

 人さらいにつれさられた男の子が、腹が痛くて痛くて動けないと人さらいに訴え、おんぶされて森の中を歩いていきました。男の子は、お話ししてくれたら腹が痛いのが忘れられるからと頼みました。人さらいが話したのは

 ・わしのでかい木は、世界中の木という木を全部合わせたより まだでかい

 ・ばかでかい斧があり、一方のはしは、東のおてんとうさまののぼるところ、もう一方は西のおひさまがしずむところ

 ・ばかでかい水牛がいて、世界中全部合わせたより大きい。こいつがピックとでも動こうもんなら、地面はガタガタ、大揺れさ。地震ってのは、このことよ

 ・ながいシュロがあった。七つの島と、七つの海をぐるっと ひとまきにできるぐらいの長さ

 ・大きな家があって、その家の屋根の上から卵を落としたら、途中でそれがえってヒヨコになって、それがまた地面につく頃には、メンドリになってしまう

 

 お腹が少し良くなったといって、こんどは、男の子が話しはじめました。それは、大きな大きな太鼓の話でした。

 「もしそれをたたいたら、世界中の人間じゃなくて、天にいる神さまの耳にも、音が聞こえたんだよ。」
 人さらいが、そんな太鼓をつくれるほどの木はないだろうというと、人さらいがいう木を使ったと、かえします。どうやって木を切り倒すかとわれると、人さらいのいう斧を使ったといいます。
 皮はでかい水牛、皮をはるシュロ、置く場所は、大きな家につるしたと、かえした男の子。

 

 人さらいが、急に話をかえ、「おまえには兄弟がいるのか?」ときくと、男の子はこたえました。

 「ぼくの兄さんには弟がふたりいるし、弟には兄さんがふたりいるんだ。ってことは、ぼくたちは何人兄弟で、ぼくが何人目か、わかる?」

 この問いに、人さらいはこたえることができませんでした。人さらいは、知恵にかけてはこの子の方がうわてだとさとりました。この子をつれていっては、どんな難題をふきかけられるかもしれない、こんな子は、親のところにかえすにかぎると思った人さらいは、おおいそぎで、今来た道をもどって、この子を家まで連れて帰りました。

 

 ほら話がおおい昔話ですが、ほら話にほら話でかえすという楽しさがあります。


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