どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

わたしがテピンギー

2022年04月16日 | 絵本(昔話・外国)

     わたしがテピンギー/中脇初枝・再話 あずみ虫・絵/偕成社/2022年

 

 ハイチの昔話の再話です。ハイチは世界で初めて、アフリカから連れてこられた奴隷が独立を果たした国であることを はじめて知りました。

 人、家、草木などが絵が浮き上がっているように見えます。金属板を切って絵具で着彩する技法とあって、納得しました。

 

 テピンギーは、継母とくらしている女の子。

 ある朝、いじわるな継母が市場で売る飴をつくっていると、薪がなくなって、鍋の火が消えてしまいました。いつもなら、薪をあつめるのはテピンギーですが、テピンギーが がっこうにいっていて、いませんでした。しかたなく森で薪を集めた継母ですが、重くて頭の上にもちあげることができません。

 「だれか、薪を運ぶのを てつだっておくれ」とさけぶと、ひとりのおじいさんがあらわれ、なにかくれたら手伝うといいました。

 継母は、明日の昼に、赤い服を着せて、水汲みにいかせるから、テピンギーとよんで、つれていくようにいいます。ところがこれを聞いていたテピンギーは、友だちの家にいって、赤い服を着て来てくれとたのみました。

 つぎの日、井戸にいったおじいさんの前には、赤い服を着た女の子が何人もいて、名前を聞くとみんなテピンギーとこたえました。

 おじいさんが騙されたと継母のところにいくと、継母は、明日は黒い服を 着せるよといいます。これを聞いていたテピンギーは、また友だちのところへ行って、あすは黒い服を着てくれと頼みます。こんども前と同じに。そして三度目も同じことに。

 怒ったおじいさんは、テビンギーのかわりに、継母をつれていったので、いじわるな継母はいなくなりました。それからテピンギーは・・・。



 「わたしがテピンギー」「わたしもテピンギー」「わたしたちもテピンギー!」と叫ぶ女の子たちは楽しそう。おやおやトカゲも蝶も、歌っています。


 「女の子の昔話えほん」とあり、シリーズになっているのは、昔話の主人公が男が多く、女性がわき役にとどまっているので、女性を主人公とした絵本をということでしょうが、わざわざ「女の子」とうたうことがあるのでしょうか。

 この副題だと、男の子が手に取るのを躊躇するかも。性別を問わず、「女の子」が知恵を働かせ、自分の行く道を切り開いていく多くの昔話を楽しんでほしいもの。


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