まっている。/村上康成/講談社/2020年
「まっている」 なにを?
男の子が、ウキを見つめて、魚がかかるのを待っている。
クモがていねいに巣をはって、トンボやバッタがかかるのを待っている。
花は、きれいな色と、とっておきの においで、ハチや蝶がとまってくれるのを、まっている。
サンショウウオは、しずかに アユがやってくるのを、まっている。
セミは、土の中で ずーっと、空を飛ぶ日を待っている。
オオミズナギドリは、なぎの海で、潮が 動き出すのを待っている。
シカの子も、茂みの中で おかあさんが もどてくるのを まっている。
あ! きた。「にげられちゃった」
待っている時間もそれぞれ。一瞬だったり、何年もだったり。
「まつ」のは、次の飛躍の準備。次には何が・・・。
はじめに、アカショウビンが キョロロロロロ キョロロロロロ とないて、まっているのは 何だったのかな。
ゆったりした時間が流れています。いつも追われるような生活の中で、かけがえのない時間を見つめなおします。