どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

麦わらと炭と豆

2024年12月03日 | グリム

    ねえねえ、きょうのおはなしは・・/大塚勇三:再話・訳/福音館書店/2024年

 

 ある貧しいおばあさんが、豆を一皿煮ようと、かまどに火をおこす用意をし、火がはやく燃えだすようにと、麦わらを一つかみいれて、火をつけました。おばさんが豆を鍋にあけたとき、しらないうちに豆がひとつぶ、ぽんと床に落ちて、一本の麦わらのわきにころげていきました。まもなく、真っ赤におこった炭が一つ、かまどからポーンととびだして、これも、ふたりのわきにおちました。

 みんなが災難にあいそうだったことを話し合うと、いっしょに旅をして、よその国へいくことにしました。まもなく小さな川の岸にきてみると、そこには橋がかかっていませんでした。そこで麦わらが、こっちの岸から向こう岸へと、長々と寝ころび、炭と豆をわたそうとしました。炭ができたばかりの橋の上をちょこちょこかけだしました。けれど、まんなかまでいきついて、下の川がザアザアいっているのを聞くと、もう炭はとまってしまい、どうしてもさきに進むきになれません。ところが、そのため、藁のほうは、ぱっと燃え上がり、まっぷたつに切れて、川におっこちました。といっしょに、炭もつるっとすべり、水におっこちてジュッといい、命をなくくしてしまいました。
 豆のほうは、用心深く、こっちの岸にのこっていたのですが、このできごとがおかしくて、おもわず笑い出しました。ところが、笑いだしたらやめられず、あんまり笑いすぎたので、とうとう、パチンとはじけてしまいました。

 ところが、豆は運よく、旅まわりの情け深い仕立て屋が、さけている豆をぬいあわてくれたので、いのちだけは助かりました。けれど、仕立て屋が使った糸が黒い糸だったの、それから、どんな豆にも、黒いぬい目があるんですよ。

 

 小さな子の お話し会の定番です。


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