世界の昔ばなし3 オーストリア いちばん美しい花嫁/飯豊道男・編訳/小峰書店/1983年
父親と三人の息子。末っ子はおろか者。
父親は、年をとって財産を分けるのに、一番金持ちのよめさんをつれてきた者に、財産をそっくりあげることにします。
こうした展開だと、まずは上の二人がでかけていくのがパターンですが、ここではすぐに末っ子の出番です。
大きな森の中で、赤いずきんに長い上着をきたこびととあって、食べものをわけてあげると、すぐに、あの道をいけば、いままでいちどもお目にかかったことのないような娘にあえると教えてくれます。
すぐに二人は結婚することに。結婚式の参加者には<死神><死神夫人>も。ただ死神の出番はここだけ。
ところが奥さんが一週間ごとに暗い部屋に閉じこもるのを不思議に思った若者が、けっして部屋を覗かないように言われていたにもかかわらず、かぎ穴から部屋をのぞくと、奥さんの足はひからびたヤギの足をしていて、ももからつま先までびっしり毛でおおわれています。
秘密を知られた奥さんの姿は一瞬に消えてしまいます。奥さんの居所は金の屋根のあるお城。
もういちど、こびとがあらわれ、太陽のところへ行けと教えてくれます。
太陽はすみずみを照らしますが金の屋根の城はみつかりません。
太陽は赤むらさき色の絹のスカートをはき、足には炭ような黒いくつをはいています。
若者は次には月のところへ。月は銀ボタンの灰色の上着を着て、とめがねが銀の灰色のくつをはいています。
月は風のところへいくようにいいます。
風はかかとまでとどく緑色のマントを着て、緑色の帽子をかぶっています。
風の仲間に助けられ、金の屋根の城をみつけた若者が城に行ってみると、たしかに人間の姿になっている奥さんがいました。
「あなたの愛としんぼうで、またよくなったの」という奥さん。
二人は父親から全財産をそっくりあげるといわれますが、これを断り、二人の兄にあげるようにいいます。
三人が出てくると上の二人はたいていが悪役ですが、この話では、特別に仲たがいするわけでなく、きわめてさっぱりしています。
昔話では兄弟がいがみあう展開が多く、ときには首をひねりますが、こうした展開は安心します。
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