りゅうぐうのおよめさん/文・松谷みよ子 絵・朝倉摂/ポプラ社/1967年
母親と二人暮らしの若者は、山の花をとってきては売りにいって暮らしを立てていましたが、その花も売れない日の方がおおかった。
ある日、海辺をとおりかかったとき、残った花を、竜神様へさしあげようと、海に投げ入れると、海があわだち、うずまいて そこからいっぴきの亀が顔をだしました。
そのまま竜宮にいった若者は、竜神様からもてなしをうけ、三日間すごしますが、母親が心配しているだろうと 帰ることに。すると 竜神様から「好きなものを みやげにあげよう。なにがほしいか」といわれ、亀の助言通り、竜神様の娘を およめさんにもらい、はるばると 帰ってきました。
帰ってみれば、三年の月日がたっていて、母親が食べるものもなくなって、石に倒れて死んでいました。しかし、およめさんが竜宮からもってきた宝物”いきむち”で、ひとなですると、母親は生き返ります。そして、”うっちんこづち”で、家、倉、米をだし、親子三人仲良く暮らしました。
ところが、うつくしいおよめさんの評判をききつけた殿さまが、我が妻にしたいものだと、若者をお城に呼び出し、「千石の米を用意できないときは、おまえの妻をとりあげるぞ」といいます。これだけではありません。千石のお米を用意した若者に、”ちひろの なわ”を差し出せといいます。お米も”ちひろのなわ”も、およめさんが、海辺にむかって、たんたんと手をたたいて手に入れます。
さらに、「こんどの正月に、699人の家来を連れて、お前の妻を見にいく。酒を99壺用意して、ごちそうを つくって まっておれ」といわれ、そのとおりにします。
踊り子の舞を見た殿さまは、こんどは こまかなところをみせるように いいますが、およめさんは すわりなおして こまかい芸は あぶないと いますが、とのさまが どうしてもだせ というので、小さい箱をとりだし、さっとふたをとると、でてきたのは・・・。
テンポよくすすんでいきますが、若者の存在感が希薄です。およめさんが、殿さまの無理難題を簡単に解決する痛快さが持ち味でしょうが、あっけなさすぎて、ものたりなさがのこります。
奄美群島喜界島の話をもとにしたとあります。