どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

したきりすずめ

2021年06月14日 | 絵本(昔話・日本)

 じいさまがつれかえったすずめが、せんたくようの のりをたべてしまい、おこったばさまが、すずめの舌をきりとってしまいます。

 すずめをさがしにいったじさまは、すずめの歓待をうけ、かえりに ちいさなつづらをもちかえると、なかには、たからものが。

 ばさまも すずめのところにでかけ、おみやげにもらった大きなつづらには、とんでもないものが はいっていました。

 「したきりすずめ」の絵本は、10冊以上。そのなかからいくつか比べてみました。

    したきりすずめ/長谷川摂子・文 ましませつこ・絵/岩波書店/2004年

 すずめが等身大ほどでえがかれています。

・すずめとのであい

 山の畑仕事をしていたじいさまが、飯にしようとすると、弁当箱ですずめが寝ています。

・すずめのところへでかける場面

 すーずめどん すーずめどん したきり すーずめどんの

 おやどは どーこで ごーざるか ちょんちょん

・すずめの歓待

 たくさんのすずめが でてきて うたったり おどったり

 ただ ばさまのときは いちわだけ

・つづらからでてくるもの

 じいさま きんぎん さんご あやにしき

 ばさま  ひとつめこぞう かさおばけ ろくろっくび だいじゃ むかで どくまむし

・おわり

 これで すんだり ぺったりこ

 

    したきりすずめ/松谷みよ子・文 瀬川康男・絵/フレーベル館/2003年

 松谷さんの「したきりすずめ」は、童心社から片山健さんの絵(2006年)でも出版されています。

・すずめとのであい

 じいさまがしばかりしていると、すずめが なきながら やってきます。

・すずめのところへでかける場面

 したきりすずめの おやどは どこらでござるか ちょっちょっ

 ちょんちょんすずめの おやどは どこらでござるか ちょっちょっ

・すずめの歓待

 すずめだけ

・つづらからでてくるもの

 じいさま きんぎん さんご あやにしき

 ばさま  ばけもの へび むかで

・おわり

 はい おしまい 

 ばさまは欲張りに見えますが、じいさまが、すずめをかわいがるのをみて、やきもちやく ほほえましいところもあります。

 すずめのいるところをさがすため、じさまもばさまも、馬の洗汁、牛の洗汁を七桶!飲むのは、たどり着くため いかに大変だったかを示しているのかも知れません。

 

    したきりすずめ/石井桃子・再話 赤羽末吉・画/福音館書店/1982年

・すずめとのであい

 じいさが すずめを かっています。

・すずめのところへでかける場面

 すずめや すずめ すずめのおやどは どこじゃいな ちゅんちゅうん

・すずめの歓待

 ごちそう すずめのおどり

・つづらからでてくるもの

 じいさま 大判 小判 さんごに宝珠 金銀財宝

 ばさま  へび ひきがえる

・おわり

 とくにありません

 ほかの方の再話では、じさまもばさまも、馬の洗汁、牛の洗汁を七桶!飲むところがでてきますが、石井再話では、馬や牛を洗うのを手伝うとすずめの居場所を教えてくれます。

 もうひとつは、民話の方言というべきものがないというのも特徴でしょうか。このあたりは、個人的には、物足りません。

 

    したきりすずめ/岩崎京子・作 井上洋介・絵/にっけん教育/2003年

・すずめとのであい

 山でしばかりしていたじいさまが、飯にしようとすると、弁当箱ですずめが寝ています。

・すずめのところへでかける場面

 したを きられた すずめよう おちょんは どこに いったのか おちょん よーい

・すずめの歓待

 ごちそう すずめのおどり

 ばあさまは おどりをことわり すぐに つづらを

・つづらからでてくるもの

 じいさま おおばん こばん

 ばさま  ひとつめこぞう かさおばけ ろくろっくび

・おわり

 ありません

 

 じいさまが飲むのは 馬の洗汁、牛の洗汁、菜っ葉の洗汁 なんと十三ばい!

 ばさまは のまずに すぐに すずめのおやどへ。

 作者はあとがきで、”舌きり”ではなく ”舌きられ”ではないかと疑問を持ったとありました。

 

舌きり雀(おはなしのろうそく28/東京子ども図書館/2011年)

 絵本ではありませんが、下澤いづみさんの再話

・すずめとのであい

 すずめが、じいさんの 包みのなかのにぎりめしを食べて昼寝をしています。

・すずめのところへでかける場面

 舌きり雀 どっちへいった おちょん(じさんがつけた名前)雀 どっちへいった

 やあれ かわいや かわいやの

・すずめの歓待

 うたったり おどったり

・つづらからでてくるもの

 じいさま 大判 小判 ぴかぴかひかる宝物

 ばさま  へび むかで とかげ かえる

・おわり

 どっとはらい


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