ぼくは 川のように話す/ジューダン・スコット・文 シドニー・スミス・絵 原田勝・訳/偕成社/2021年
「話す」ことをあらためて考えさせてくれました。
話すことができない人、話しても「口の調子が悪い」人もいる。
「ぼくの口の中には。舌じゃなくて 松の木が はえている」
うまく言えないもどかしさ。
教室では、うしろのせきでちぢこまっている。あてられません、って思いながら。
学校で 毎朝ひとりずつ、世界でいちばん すきな場所について 話すことになっていた。きょうはぼくのばん。でも口が どうしてもうごかない。もううちにかえりたい。
放課後、お父さんの車がまっていた。「うまくしゃべれない日もあるさ。どこかしずかなところへいこう」
おとうさんと、きれいな色の石やアメンボをさがしながら、ならんで岸を歩いていく。
心が少しかるくなっても うまくしゃべれなかったことを かんがえずにはいられない。
目は雨でいっぱい。おとうさんが、ぼくの顔を見て、かたをだきよせ、川を指さした。
「ほら、川の水を見てみろ。 あれが、おまえの話し方だ」
吃音だったジョーダン・スコットの思い出をもとにしてつくられた絵本。
川は急流もあれば、ゆったり流れるところも、よどんでいるところも。川にたとえて あせらず、自分にむきあうよう 語りかける お父さんの 自然体に感銘です。
川を見つめる ぼくの 目をつむった表情から、川が話しているような印象をうけました。