どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

だらじむことあま酒・・島根

2022年12月03日 | 昔話(中国・四国)

      島根のむかし話/島根県小中学校国語教育研究会編/日本標準/1976年

 

 あるだらじげな若いもんが、むこ入りすることになって、よめさんの家にいって あま酒を飲んだ。

 晩に あま酒が飲みたくなって、よめさんに持ってくるようにいったが、もうねているよめさんは面倒だと、自分で戸棚のなかのはんど(甕)にあるから飲むようにいうと、そのまま寝てしまう。むこさんが、戸棚を開けると、おおきなはんどに、あま酒がいっぱい。むこさんは、はじめは すくって飲んでいたが、そのうち、面倒になって頭を突っ込んでぐうぐう飲むと、頭がはんどから抜けなくなってしまった。横着なむこさんは、はんどかぶって、寝てしまう。

 朝になって、よめごのおかかが、「むこさん、むこさん。起きて飯食うてくださいな」というと、

 はんど こわそうか 首切らあか

 はんど こわそうか、首切らあか

 といって 寝てしまう。

 つぎによめさんが、「はんどこわせば なくなるし、首切りゃ、むこさん死なさあし、どうげすうがえだあか」と、こまって、となりのじいさんに 相談すると 「首切りや、むこさんが死なさあし。大けなだらずむこもあったもんだ。よめさんも、わかれてしまえば ええわの」といったげな。そげしたら、はんどかぶったむこさんが、「そらえけん。よめさんがえのうとえけん。」といって、頭をふったひょうしに、スポンとはんどがぬけたと。

 むかし こっぱし。

 

 昔話に、馬鹿息子がでてくるものがあり、その一つですが、馬鹿が”だらじ”といわれると、馬鹿に聞こえなくなるのも不思議。少しわかりにくいところもありますが、この若者むこ入りしたかったので、少しは反省したかどうか。


わらってよ ピッコ

2022年12月02日 | 絵本(外国)

    わらってよ ピッコ/ルイス・ストロボドキン こみやゆう・訳/福音館書店/2022年

 

 イタリアの小さな公園で3頭のロバと1頭のポニーが、子どもを カートにのせ公園を散歩していました。

 カートには お金をはらってのるのですが、子どもたちは みなロバのほうに のりたがっていました。ロバは いつも半分目を閉じて、ゆっくり歩くので、長い時間カートに乗れますが、ピッコというポニーは、駆け足なので、あっというまに公園をまわってしまいます。

 兄アルフレッドと妹のジーナも、できるだけロバのカートにのっていましたが、いちどピッコのカートに乗ったとき、ピッコがとても かなしげに カートを ひいていたので なんだか きのどくになってしまいました。

 兄弟がカートの順番をまっているとき、どうして ピッコが かなしそうにしているか話し合いました。なにかほしいものがあるのかな? と思った兄弟は、はじめに新鮮なニンジン、つぎにリンゴ、キャンディとココナツケーキを もっていきましたが、ピッコはたべおわると やっぱり かなしそうなままでした。花も絵本でも同じでした。誕生日パーティで、すこしのおかねをもらった兄弟は、公園にでかけ、居眠りしていたピッコの飼い主にポニーのカートで、公園を三周したいといいます。ちょうど三周分のお金があったのです。

 ふたりがとった行動は、飼い主のおじさんも びっくり。ピッコをカートに乗せて、いきおいよく走り出したのです。おじさんは 「カートは ポニーを のせるもんじゃない」と、どなりましたが ダメだというなら、お金を返してくださいといわれ、しぶしぶ 承知しました。ピッコは 目を ぱっちり ひらいて、キラキラと 輝かせていました。だれよりも うれしそうでした。

 

 なんとか ピッコに元気になってもらおうと懸命なふたり。思いやりにあふれています。ポニーに絵本を読んであげるのは、子どもの発想でしょうか。

 原著は1961年60年前の絵本。カートで散歩は、すこし古めかしい。人も動物も あっさりした色あいで、塗りつぶしが特徴です。


しかくいのの じかん

2022年12月01日 | 絵本(外国)

    しかくいのの じかん/パメラ・ボール・文 ベッキー・キャメロン・絵 ギョウ・ヤマグチ/イマジネーション・プラス/2022年

 

さあ、しかくいののじかんです。

全ページにネコと、男の子。

赤ちゃんのときはお父さんと、おおきくなったらひとりで読んでいるのは「しかくいの」、本です。

ネコと男の子の成長が重なっていきます。

ネコは、ほっぺたが かゆいときは、「しかくいの」の かどで ゴシゴシ。

おなかをナデナデされるのが すき。

ゴロゴロ ゴロゴロ ぼくの こえは おんがくみたい。

男の子がひとりでいるときは、ボクが いっしょに いないと!

ボクがそばにいくと 男の子が 本をもちながら 距離をおくのは、わざとじゃないって わかっているけれどね!

ふたりきりのときは もっとそばへ。

 

表紙と裏表紙の見返しに、男の子(赤ちゃんから少年まで)とネコの何枚もの写真がのっていますが、これだけでも よかったのかも。

作者は三匹のネコ、絵を描かれている方もネコと暮らしているというので、絵本の誕生について納得でした。