鳥見雑記帳

庭や近所の公園で観察した野鳥についての雑記帳

かいぼり27と池の鳥 カイツブリ編④

2016年09月19日 | カイツブリ類
 Cペアの場合

cペアの巣。5月24日


Cペアは、橋のたもとににある小島の縁に巣を作った。
この場所は、かいぼりをする前からカイツブリがたびたび営巣していた場所だ。
巣が作りやすいのだと思うが、問題は小島にアオダイショウやゴイサギなどがいることが多く、今までも卵や雛が襲われた例がある。
今回も、抱卵中にアオダイショウが何度も現れたし、ゴイサギやアオサギが巣の真上に止まっていたりしてはらはらした。
親も巣の周りで警戒姿勢を取っていることがよくあった。

それでも、何とか無事に5つの卵から5羽の雛が無事に生まれた。

5羽の雛を確認 6月8日 


泳ぎだす5羽の雛 6月14日


人通りの多い橋の両側を行ったり来たりするかわいい雛たちは、多くの来園者の目に留まり、微笑ましい給餌の様子もすぐそばで見られたが、やはり雛たちの大きさの差もはっきりわかる。



来園者たちも、一番小さい雛がなかなか餌にありつけない様子に心配していた。

6月20日の巣の上の雛


巣の傍はその後もアオダイショウが現れたりするせいか、あまり休憩場所としても使われていないようで、この日は1羽の雛が親からもらった大きなザリガニを食べあぐねてしばらく座っていたが、その後巣は補修もあまりされなかった。
一家はボート置き場のどこかを塒にしているように思えた。

親は雛を3羽と2羽にわけて受け持ち、橋の両側に分かれていることも多かったが、3羽グループの中に入っていた末っ子はやはりいつの間にか姿が見えなくなった。

6月21日の雛。末っ子と他の雛との大きさの違いがよくわかる。


しかし、4羽は一応無事に成長したのではないかと思う。

Dペアの場合

弁天池で巣作りをするDペア 5月20日


今年のかいぼりの大きな特徴の一つは、前回行わなかった弁天池も行ったことだ。
そのため、今までカイツブリが営巣してこなかった弁天池でも営巣してくれれば、かいぼりの成果もよりはっきりする。

Dペアは初め弁天池の別の場所で作ろうとしたようだが、水位の変化で巣が浮いてしまい、うまく作れなかった。そこで橋のたもとに作ろうとしているのが上の写真。でも、2羽の気持ちが一致しなかったようで、しばらくまた別の場所を探していた。
けれど弁天池には、巣を作るよい場所がなかなか見当たらないようで、結局またこの橋のたもとに営巣することにしたようだ。

抱卵するDペア 5月30日


しかし、このペアの5つの卵は結局みなカラスに食べられてしまったらしい。(私は見ていなかったが)

このペアは、それでも繁殖諦めることはなく、あちこちで巣を作ろうと試行錯誤した末、最後に作ったのがこれ。

6月23日の巣と卵


そろそろ雛が孵る頃だと思って行ってみると、巣があるべきところになく、岸のすぐそばに浮かんでいる。親が一生懸命補修しようとしていたが、いったい何が起こったのだろうか。風で流されてしまったのだろうか。

7月10日の様子


支えもない巣は翌日には完全に沈んでいた。
巣から離れたところに親が1羽浮いていた。
双眼鏡でよく見ると、ちょっと背中が盛り上がっているように見える。
1羽の雛がどうやら背中に乗っているようだ。

7月11日




巣が完全に沈没する前に、かろうじて間に合って1羽が孵ったのだろう。

7月23日の親子


その後、親はあちこちに臨時の休憩場所を作ってなんとか授かった雛を大事に育てていた。
ところが、8月7日、雛が1羽でいるのを見たのを最後に、雛の姿は見たらなくなってしまった。
ずっと後で聞いた話では、水生物園の池に雛が迷い込んでしまい、親の給餌が受けられず、死んでしまったのではないかということだった。

Eぺアの場合

巣作りをするEペア 6月21日


Eペアが巣を作っている場所は、ボート池。ここはいかにもカイツブリが巣を作りたくなるような樹の枝が水面に垂れているのだが、いかんせん、ボートがすぐ近くまで近寄って来るので、安定しない。
過去にも何度が巣作りしたペアがいたのだが、失敗することが多かった。
そして、今回も。卵が数個生まれて抱卵中の巣にボートの舳が突っ込んで、巣は完全に壊され、卵は沈んでしまった。



ペアは諦めきれずにその近くに再度営巣、抱卵したが、その巣も理由は分からないが流されて結局このペアは繁殖できずに終わってしまった。

後半は悲劇的な終わり方になってしまったが、それでも今年は22羽の雛が孵り、そのうち14羽は無事に育ったと思われるので、やはり繁殖率は上がったと言っていいだろう。

私は別にカイツブリの研究をするために観察してきたわけではなく、カイツブリがかわいいし、見ていると好奇心がわいてきていっそう観察したくなっただけだが、それでも自然といろいろなことに気づかされる。

1番子の方がよく育つのは、やはり一番繁殖に適した時期(気温、餌の量、天敵の活動量など)に始めるからだろう。そして、早く一番よい場所をなわばりにできたペアがうまく子育てできる場合が多いのだろう。
2番子をつくる時期にはその条件が少し悪くなり、また1番子への見切りがペアの中でうまくできない時もあったりして、成功率が下がるような気がする。

今、池には成鳥の他、Aペア、Bペア、Cペアの1番子の雛が1羽ぐらいずつ見られる。どういう雛が残るのだろう。他の雛はどこへ行ったのだろうか。疑問が尽きない。

Aペアの雛と思われる子

Bペアの雛と思われる子

Cペアの雛と思われる子


また来年はどうなるのだろうか。






かいぼり27と池の鳥 カイツブリ編③

2016年09月17日 | カイツブリ類
Bペアの2番子

新しい巣 7月6日


Bペアは、1番子を育てた巣は使わず、少し離れた場所に新しい巣を作った。
最初の巣は、1番子が使っていたからか、それとも別の理由があるのかはわからない。

7月28日には4羽の雛が確認できた。




7月29日には5羽。上の子は餌をもらいに泳ぎ出る。餌はトンボだった。その様子を見る残りの4羽


次の子が飛びこんだら、お母さんが潜ってしまった。


そして、7月30日には6羽目が生まれる


Bペアは、結局1番子も6羽(生き残ったのは5羽だが)、2番子も6羽孵らせたことになる。
カイツブリだらけになりそうだ。

ところが、次の日の7月31日に事件が起きた。
お昼前にのこのこ観察に出かけると、巣はもぬけの殻。
もう巣から連れ出したのかと近くを探すと、池の向こう岸に何人か集まっていて、どうやらカイツブリ一家がいるらしい。
私の近くにいたご婦人が、なんでもヘビに襲われたようだと言っていた。
あわてて、雛の数を数えようとしたが、親もなんだかパニクッテいるようだし、背中に乗っている雛や池に浮かんでいる雛が右往左往していて確かめられない。

そこへカルガモの一団が現れる。
ボートに乗ってカイツブリ一家を写真に撮っていた人が、カルガモの一団をなにやら追い払っている様子。

そして、あとで向こう岸にいらした知人に様子を尋ねると、もしかしたら、カルガモがカイツブリの雛を食べてしまったかもしれないということだった。

騒ぎを見るのに精いっぱいで写真はほとんど撮っていないが、こんな写真が写っていた。



ちびの雛がおぼれる寸前。なんとか上の子の背中に乗ろうとしていた。でもカルガモ集団が去った後、雛の姿はなくなっていた。

その後カイツブリ一家の姿が見えなくなったが、帰りにまた見に寄ってみると、3羽の雛が戻っていた。


親が戻ってきて3羽を背に乗せると、暗くなるまで巣には戻らず、池にそのまま浮かんでいた。



8月2日、雛はやっぱり3羽。父親と思われるカイツブリが、巣の傍に行って、なにやら調べているような様子。そして、一声鳴くと、3羽を連れた母親は巣に向かった。「もう安全だよ。」と伝えたのだろうか。



巣に戻った3羽

残りの3羽は、ヘビに襲われたのか、カルガモに食べられたのか、それとも溺れてしまったのか、いなくなってしまったことは確かだった。

やれやれ、とりあえず3羽は生きていてくれたと思っていたのだが、私がその3羽を最後に確認したのは8月3日。



そのあと、日をあけて行ってみると、雛はたった1羽になってしまっていた。

8月24日の雛


9月10日の雛


9月11日の雛 もう少しでひとり立ちだろうか。


というわけで、Bペアの2番子の子育ても残念な結果に終わってしまった。
巣が安全でないと、雛も安全には育たない。そして、2番子の時期は、ヘビや他の生き物の活動も活発になり、危険も増えるということなのだろうか。

C・D・Eペアの話に続く






かいぼり27と池の鳥 カイツブリ編②

2016年09月15日 | カイツブリ類
Bペアの場合

4月30日の様子


Bペアが営巣した場所は、ボート池の池尻。
ここは前回のかいぼりのあと営巣場所に選ばれるようになったところで、今年で3回目である。
ボート池はボートの往来によって営巣がうまくいかないことが多いのだが、この場所はボートが入れないようになっている。
カイツブリはちゃんとそういうことがわかっていてここを選ぶのだろうか。
そして、この同じ場所で巣作りをしたカップルは、2年前のカップルと同じカップルなのだろうか。
個体識別ができないのが残念だ。

卵はなんと6個産み、6個とも孵って雛になった。

5月22日の様子



6羽目が確認された5月28日


6羽もの雛が無事に孵るのを見たのは、初めてだった。
ところが、次に日に行ってみると、雛は5羽になってしまっていた。

29日の様子 ザリガニを与えているが、雛は5羽しかいない。


何が起きたのだろうか。
見ていた人に聞いてみると、1羽の雛がおぼれていたのを、気が付いた人が保護したそうだ。
しかし、あとで確かめると、残念ながら死んでしまったらしい。

以前、私も雛がおぼれるのを見たことがあるが、その時は詳しい方に聞くと、カイツブリは生まれたときから泳げるので、溺れるはずはないという話だった。
その雛がおぼれたのかどうかは結局わからないが、今回の例で、やはり溺れることはあるのだとわかった。

それはなぜだろうか。

カイツブリは卵をほぼ毎日一つずつ産み、初めの一つを産んだときから温めはじめる。
だから、雛もほぼ毎日1羽ずつ孵る。
6羽もいれば、最初の1羽と最後に孵った1羽とは6日間の成長の差ができる。

また、カイツブリの親は、最後の卵が孵るまでは交代で巣にいるので、最初に生まれた雛は、巣に留まりながら親から給餌を受けて成長できる。
しかし、最後の卵が孵ると、両親とも巣を離れ、餌を捕りに行く。
最初に生まれた子は、既に体力もつき、泳ぎも上手になってきているので、その親について巣を離れたり、餌を捕ってきた親に早く近づき、先に餌を取ってしまう。

生まれたばかりの雛も、つられて泳ぎ出たりするが、体力もまだ十分でなくついていけない。それどころか、巣の上に上がるのもままならないこともある。
こんな具合に末っ子が生き抜くのはなかなか厳しい。6番目の末っ子も、巣から離れて巣にもどれなくなり力尽きたのだろうか。

一家はやがて、ボートが行き交う池の方へ揃って出かけるようになった。
かなり遠くまで雛を引き連れて出かけるが、必ず元の巣に帰ってくる。
5番目の子もときどき遅れそうになって心配したが、結局無事に大きく成長できた。


遠出は始まる。6月3日の様子 左の子はこの中の末っ子で、小さいのがわかる。


疲れると親の背中に乗る。雛は最低自力で巣に這い上がることと、親の背中に乗ることができないと生きていけない。



巣からあふれそう。6月11日の様子


6月21日の様子


このファイミリーの様子は、一番よく観察し、面白いシーンもあったのに、あまり写真は撮っていなかったのが悔やまれる。(他のファイミリーを撮っていたので)

途中から、ペアは雛を3羽と2羽に分担してお出かけするようになった。

ある日、夕方先に帰ってきた母親(たぶん)は、自分が連れていた雛を巣にあげて、いかにも父親と雛たちのかえりを待つように巣から少し離れていた。
ときどき、呼ぶように鳴き声をあげる。
1羽の雛が巣から下りてしまうと、「もどりなさい。」というようにつっついて上がらせる。

それでも一向に帰ってこないので、待ちきれなくなってボートの方へ向かうと、やっと父親と残りの2羽が帰ってくる。
すると、せっかく巣に上がっていた雛たちも、結局お母さんの後を追って、そちらへ向かってしまった。

また、雛が、巣に上がるとき、近くの木の葉などをくわえて巣を補修するのも面白い。親がやっているのを見習ってのことだろうか。

こうして、5羽の雛はすくすく育ち、ある日のこと、その巣に卵が一つ。6月27日のこと


ついに2番子を育てる時期になったのだろうかと思ったのだが、親は一向に温める気配がなく、なんと巣の上に載っているのは雛たちだった。


でも雛たちはそのうち巣から離れていく。

結局、最後の子も巣を離れ、卵だけがまた残る。この子の翼は、前の写真のこの翼より大きくなっている。


これは、どういう意味なのだろう。まさか抱卵の練習をさせたわけではないだろうが。

しかし、間もなくして、やっと親たちは別の場所に新たな巣を作りはじめ、本格的に2番子の繁殖に取り組むことになり、雛たちは独立していった。

つづく

かいぼり27と池の鳥 カイツブリ編①

2016年09月14日 | カイツブリ類
前回のかいぼりのあと、かいぼりをするとカイツブリの繁殖成功率が高まることははっきり証明された。
それは、餌が増え、直接的な脅威になる生き物も減るからだと考えられている。

今年はどうだったろうか。
自分が観察したことと、他の方からの聞き取りを含めて、忘れないうちに(すでに忘れつつあるが)記録をまとめておきたい。

かいぼり27の特徴は、前回行わなかった弁天池もかいぼりしたこと、鯉などの大型魚も取り除いたことだ。

まずカイツブリは最盛時少なくとも5ペアが繁殖活動を行った。私が観察を始めて以来最多だ。
この5ペアを産卵の早かった順にA・B・C・D・Eペアと呼ぶことにする。

先ずAペアから。



Aペアは、水生動物園の水辺の小道岸に営巣した。
このあたりは、毎年カイツブリが営巣してきた場所で、早く来て縄張りを守ったものが獲得できる一等地なのだろう。
今年は、岸からはとても見にくい位置にあり、こんな写真しか撮れなかった。
5月15日、すでに少なくとも2羽の雛が孵っているのがなんとかわかる。

卵は4個確認され、4羽の雛が無事に孵った。

5月22日の雛たち









親たちは雛をあまり巣から遠くへ連れ出さず、巣の近くで餌を捕っては与えていたように思う。(私が観察した範囲では)

巣でお留守番する雛たち 5月25日


親が雛を背中に乗せて泳ぐ姿があまり見られず、残念がる観察者もいたほどだ。少し遠出するころには、既に雛もかなり泳げるようになっていたからだろうか。

少し遠出 6月2日


天敵のヘビやサギ類、カラスなどに襲われることもなく、親もゆったりと子育てができているようで、雛たちは4羽ともすくすくと育っていった。

また、あとでもっとはっきりわかったことだが、近くに安全な巣があることは雛の成長にとってとても大事なことのようだ。

雛たちは大きく育っても、わりと巣の近くで過ごしていた。生後1か月ぐらいの雛たち 6月14日




だんだんに一人で餌が捕れるようになってきた雛たちは、それでも親とつかず離れずで近くの池に留まっていたが、やがて親が2番子の繁殖に取り掛かり、1羽1羽と姿を消していった。

2番子の卵 7月10日。1番子を育てた巣と同じ場所。


親に追われる居残り巣立ち雛 7月14日




しかし、そろそろ2番子が孵る時期かと行ってみると、巣は空っぽで卵も雛も見当たらなかった。
あとで聞いたところでは、卵は孵らず、池に落ちて(落とされて?)浮いていたそうだ。
理由はわからないが、しばらく巣の周りにいた親は、やがて諦めて、まだ残っていた1番子の傍へ行った。
まるで自分の今年の子育ての成果を確認して繁殖を終わりにしたように見えた。

つづく。