日々

穏やかな日々を

認知症と生きるには ある女性との出会い

2017年04月27日 16時55分10秒 | 仕事
コラム
認知症と生きるには
ある女性との出会い
アピタル・松本一生
2017年4月13日06時00分

 みなさん初めまして。大阪の下町で認知症を専門に診療をしている松本一生と申します。このたび、アピタルでコラムを書かせていただくことになりました。私の出身は精神科ですから、おそらく精神医学を学んできた者の目線で認知症という病気をとらえているのだと思いますが、この病気は医学としての診断や治療のみならず、生活に重点を置いたサポートが必要であると思っています。
 私が認知症の診療を始めたのがおよそ25年前です。四半世紀前に自分の強い意志をもって「認知症専門の開業医を目指す」と決意したのなら素晴らしいのですが、実はそうではありません。私の両親が66年前に開設した診療所を、父が急逝したために急いで大学院から戻って継いだというのが本当の理由です。
 父が歯科医師として、母が内科・眼科医として地域の人々に支えられてきた診療所の院長・理事長であった父は、ある日の夜間診療を終えて夕食を済ませたあと、ほんの数分、「気分が悪い」とだけ言い残して心筋梗塞で亡くなりました。内科医の母に看取られて本望だったかもしれませんが、慌てたのは私です。父の後を継ぐべく歯科医師になり、その後にもう一度医師を目指して医科大学を終え、大学院に入ったところでの出来事です。考える暇もなく診療所を継ぎ、考えるゆとりもなく、自分が診ることができる「認知症」を主とした精神科を始めることになりました。
 当時は認知症について今よりもっと根強い誤解がありました。「うちの家系には認知症などという忌まわしい病気になる者はいない」という誤解、「認知症なんか になるなんて、本人が怠けているからだ」などと、今考えるととんでもない根性論のような病気へのイメージがありました。いや、そもそも「病気である」というしっかりとした認識さえなかった時代であったと思います。
 そのような時代に、認知症は病気であり、完治することはないけれど症状を少しでも軽くして、その人が本来持っている命、生きる力を少しでも伸ばそう、と考えた精神医学の先達がいました。決して多くはありません。認知症の医療は私が精神科医になったころでもまだ主流ではなく、少数派だったからです。でも、そのような先輩たちを見習いながら、自分も町中で懸命に生きる認知症の人と、その人を支える家族と共に人生を過ごすことに決めました。このコラムと同じ「認知症と生きるには」をテーマにした私の医師としての人生の始まりです。
  開業医として、また一方では診療所からほど近い母校で大学院生をつづけて2年ほどたったころ、その人はやってきました。田中優子さん(仮名)です。初診の手続きを終えたカルテが手元に届き、見るとずいぶん遠くから来院したことがわかり驚きました。大阪府の南のほうの市から、わざわざ北東部の下町にある当院まで来ていましたから。なかなか本音を出さない人でしたが、何度か来院するうちに少しずつ本音を語りだしました。
 70歳を少し過ぎた彼女は「先生は精神科医ですよね。精神科医なら私の秘密は守ってくれますね」と言い出しました。精神科医に限らず医師なら誰もみな患者さんとして来院した人の秘密を守ります。この守秘こそ最も大切なことであると告げると、少しほっとした表情で次のような言葉が出るようになりました 。
  「私の家は祖父母も両親も教師で、兄や私も当然のように教師になる道を選び、その地域の学校で教えてきました。私も中学校の教頭まで勤めて定年になりましたが、その後も地域社会の役に立ちたいと願って、その地区のボランティア会の会長としてこの10年を務めてきました。
 そんな私が自分の間違いの多さに気づいたのが3年ほど前です。今どこで仲間が活動しているか、わかっているはずだったのに何度も間違えるようになってしまいました。はじめは『気のせいかな』、『疲れているからだろう』などと思って深く考えないようにしていましたが、配置した仲間を3回繰り返して間違え、その人から『いい加減な配置をするのはやめてほしい』とクレームが入った時に、はっきりと自分でも気が付きました。
 ところがそのことを周囲の仲間に話しても取り合ってくれません。『田中会長ほどの人がそんなミスをするはずがありません』と言われ、周囲の仲間は言いました。『あなたがボケなら、私たちは大ボケよ』、その場にいた全員が爆笑しました。きっと私のことを気遣ってみんなは笑ってくれているのだ、などと自分だけが被害感情を持っていたのかもしれません。でも、その時の私はとてつもない『寄る辺なさ』を感じました。身の置き所のない、不安といったものでした」
  この田中さんの告白を聞いたとき、私はまだ認知症の人にこれほどの悩みやこころのつらさがあるということを理解できていませんでした。彼女と出会い、その後8年にわたり診察を続けたことが、認知症の(こころの)専門医としていまある私の姿勢をつくることになったのです 。
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血糖値、高すぎも低すぎも認知症のリスク大

2017年04月27日 16時51分48秒 | 仕事
血糖値、高すぎも低すぎも認知症のリスク大
アピタル・岩岡秀明
2017年4月20日06時00分

 認知症も糖尿病の重要な合併症の一つです。
 2015年に厚生労働省が発表した全国の認知症の患者数は、2012年の時点で約462万人。65歳以上の高齢者は約7人に1人が認知症でした。
 日本は高齢化が進んでいますが、このまま高齢化が進むと2025年には認知症患者数が700万人前後となり、65歳以上の高齢者は約5人に1人が認知症を発症する推計になっています。
よくわかる糖尿病の話 はここから
糖尿病とがんの密接な関係
1)  認知症の原因となる疾患
 認知症の原因となる疾患は多数ありますが、代表的な疾患は以下の4つです。
(1)アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)
  日本人の認知症の約60%を占めているのがアルツハイマー病です。
(2)脳血管性認知症(血管性認知症)
  脳血管疾患の有無、認知症の症状と脳血管障害発症の時間的
  関連性により診断されます。
(3)レビー小体型認知症
  アルツハイマー病とパーキンソン病の2つの特徴がある疾患です。
(4)前頭側頭型認知症(ピック病)
  記憶障害よりも性格・行動面が変化します。
 これら4つの疾患で、日本人の認知症の約80%を占めています。
 これらのうち、糖尿病に関連しているのがアルツハイマー病と血管性認知症です。
2)  糖尿病で認知症が多い理由
 九州大学が中心となって行っている久山町研究という研究があります。
 福岡県糟屋郡にある人口約8600人程度の久山町住人の方ほぼ全員の健康管理を追跡し研究しています。元々は脳卒中の実態解明と予防が目的で始まった久山町研究ですが、現在では生活習慣病全体の実態解明と予防を目的として続けられています。
 この研究データによると、高齢者の糖尿病患者では合併症として認知症を発症している方が多く、更に糖尿病ではない高齢者に比べアルツハイマー病や血管性認知症の発症リスクが2~4倍に上昇しているということが分かりました。
  インスリン抵抗性(インスリンの働きが悪くなること)、血糖コントロールの不良(高血糖、低血糖、血糖変動)、動脈硬化の危険因子(高血圧、脂質異常症、喫煙)が、糖尿病における認知症の進行を加速させます。
  また、高血糖だけでなく、重症の低血糖も認知症発症のリスクとなります。
 重症低血糖とは、第三者の介助を必要とする低血糖のことです。
 平均年齢65歳の16000人余りを対象としたアメリカでの研究(2009年)では、1度も重症低血糖を起こしたことのない患者の認知症発症危険率を1とした場合、1年間に1回重症低血糖を起こした患者の認知症発症危険率は1.26倍、2回は1.80倍、3回以上は1.94倍という結果でした。
 したがって、高齢者の2型糖尿病では低血糖を起こす危険性がある薬剤(SU=スルフォニル尿素薬と、グリニド薬)やインスリン注射はなるべく避けたいところです。
 3)  認知症を早期に発見する
 認知症を早期に発見するためには、同居しているご家族が「老化によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違いに注目することも重要です。
 この違いを表に示します。
 また、糖尿病患者の認知症を早期に発見するためには、1)手段的ADL(Activity of Daily Life=生活活動度)の障害(交通機関に乗っての外出、買い物、調理、金銭管理など)、2)セルフケアの障害(服薬管理、インスリン注射など)、3)心理状態の変化(無気力、無関心、うつなど)、に注目することが重要です。
 したがって、認知症の早期発見には同居するご家族の協力が重要になります。
4)  認知症の治療
 認知症を合併した糖尿病患者の治療では、運動療法、栄養サポート(バランスのよい食事で、十分なビタミンB群や抗酸化ビタミンをとること)、心理サポート、治療の単純化(インスリン療法からの離脱または頻回のインスリン注射から1日1回注射への変更等)など包括的な治療が重要です。
 以上から、認知症を合併した糖尿病患者の診療では、かかりつけ医と共に各分野の専門医(糖尿病専門医、認知症専門医、精神科専門医)、看護師、薬剤師、管理栄養士、ケアマネジャー、ソーシャルワーカーなど多職種の連携と共に、ご家族の協力も重要となります。
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昔の赤ちゃんはハチミツを食べても大丈夫だった?

2017年04月27日 16時45分47秒 | 医療情報
昔の赤ちゃんはハチミツを食べても大丈夫だった?
アピタル・酒井健司
2017年4月24日06時00分

 ハチミツにはボツリヌス芽胞が含まれていることがあり、1歳未満の乳児に与えてはいけません。日本では1987年に1歳未満の乳児にハチミツを与えないよう通達が出ています。それまではハチミツの危険性は知られておらず、保健師の指導によってハチミツを与えられていた乳児ボツリヌス症の事例も報告されています。
なぜ乳児にハチミツを与えてはいけないのか
ハチミツ食べて乳児死亡、乳児ボツリヌス症って?
内科医・酒井健司の医心電信
 ご年配の方の中には「昔は赤ちゃんにハチミツを与えていたけどなんともなかった。どうして今はだめなのか」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。赤ちゃんにハチミツを与えても大丈夫だったという育児体験は本当なのでしょう。でも、昔の赤ちゃんの抵抗力が強かったり、ハチミツの質が良かったりしたわけではありません。
 ハチミツを食べた赤ちゃんが必ず病気になるとは限りません。ハチミツにボツリヌス菌が入っていなかったり、入っていても菌が腸管に定着したりしなければ、乳児ボツリヌス症を発症しません。運の悪い赤ちゃんが病気になったり、亡くなったりするのです。数人の育児経験だけで「赤ちゃんにハチミツを与えても大丈夫」と考えるのは危ないです。
 「そうだとしても、昔は乳児ボツリヌス症なんて一人もいなかった」と思われるかもしれません。確かに、日本では1986年より以前には乳児ボツリヌス症の報告はありません。ただ、「報告がない」ということと「乳児ボツリヌス症の患児がいなかった」ということは違います。診断に至らなかっただけで、昔から乳児ボツリヌス症の発症例も死亡例も存在した、と私は思います。
 昔は乳児が亡くなることは珍しいことではありませんでした。肺炎や腸管感染症で何千人もの赤ちゃんが亡くなっていました。死亡に至らない重症例はもっとたくさんあったでしょう。普通の感染症にかかった、たくさんの病気の子どもの中に乳児ボツリヌス症が混じっていても、なかなかわかりません。医療や衛生状態が改善され、先天異常のない赤ちゃんが亡くなることがほとんどなくなったからこそ、乳児ボツリヌス症という病気があることに気づき、問題だと認識されるようになったのです。
 「昔は赤ちゃんにハチミツを与えても大丈夫だった」というのは不正確です。「昔は他の理由で赤ちゃんがたくさん亡くなっていたからハチミツの危険性がわからなかった」というのが正確なところでしょう。

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この世の毒の一つ

2017年04月27日 00時19分57秒 | タバコ
病人を増やさないためにも
タバコ対策禁煙を勧めよう
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高齢者のポリファーマシー解消に向け一歩

2017年04月27日 00時18分57秒 | 行政
高齢者のポリファーマシー解消に向け一歩
2017年4月26日 (水)配信薬局新聞

高齢者のポリファーマシー解消に向け一歩 厚労省「高齢者医薬品適正使用検討会」初会合
 厚生労働省は「高齢者医薬品適正使用検討会」の初会合を開催し、高齢者における服薬等の安全対策に着手した。夏頃までに中間取りまとめを提示し、その後も継続的な検討を重ねたうえで最終的な取りまとめを作成する方針にある。
 高齢者の多くは複数の医薬品を服用している一方、コンプライアンスが必ずしも守られているとは言えない状況にあるなど、在宅現場における重複投薬・多剤併用が社会問題として顕在化している。今後も加速する高齢社会における薬物療法の安全性確保に向け、大きなミッションを与えられた検討会だ。
 初会合に際して挨拶した医薬・生活衛生局の武田俊彦局長は、「世界に先駆けてポリファーマシーに関する取組みを実施する必要性は高い」と検討会設置の背景を強調。専門家による検討を重ねることで「既に示されているガイドラインや研究結果を踏まえ、今後の高齢者医療に対する指針と医療関係者の連携基準になれば」との期待を寄せ、必要に応じてワーキンググループの設置も含めた幅広い議論を行うことを打ち出した。
 座長には、慶応義塾大学総合政策学部の印南一路教授を選出。初回会合ということもあり、検討課題の確認と各委員による意見などが示された。
 議論に際して厚労省は、高齢者における医薬品安全対策の現状について解説した。高齢化の急速な進展により高齢者への薬物療法に伴う問題が顕在化してきており、背景には腎・肝機能の低下、体成分組成の変化による薬物動態の変化、合併症によるポリファーマシーの増加、それに伴う薬物間相互作用の発現といった高齢に伴う身体・状況の変化に加え、現状の医薬品の情報提供は単品単位で行われており、複数薬剤を包括した注意喚起が行われていないことを指摘。高齢患者による飲み忘れ、服薬管理能力の低下など、問題が解決されないまま、新たな問題が生じているような状態にあるという。
 既にポリファーマシー対策に取り組んでいる事例として、前神戸大学医学部附属病院薬剤部長の平井みどり氏は、ポリファーマシーは処方する医師、漫然と服薬する患者、社会背景などが主要因であると強調。そのうえで医師同士が他人(医師)の処方に踏み込めないことや、丁寧な対応を取ると医師の終業時間が大幅に延滞するなど医療者側に大きな負担が生じることを報告し、薬剤部と薬剤師が中心となって病院内における患者のポリファーマシーの解消に向けて動き出した同病院での取組み例について述べた。
 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン(GL)をまとめた東京大学大学院医学系研究科老年病学の秋下雅弘教授は、特に慎重な投与を要する薬物リストを作成した一方、一律に使用を遠ざける意向はないと言及。事前に備えることで薬物有害事象の回避や高齢者に対する過少医療を避けるための意味もあるとし、重要なのは医療関係者が意識を持ち、多職種連携を果たすことであると語った。
 今後の会合の議論では、高齢者の薬物動態等の情報、多剤服用の実態と副作用の関係、データベース研究といった「エビデンスの収集」、糖尿病や循環器(血栓、心疾患)認知症、不眠等の「対策が必要な領域」、多職種、多様な医療現場、専門領域以外も含めた対処に役立つ対策などの「ガイドライン」、多様な現場の状況を踏まえた多剤複合的な「安全性情報提供」、多職種連携の下での患者の状態に関する「情報収集、管理、共有及び処方の在り方」、「現場の安全性と適正使用の意識の向上」を主な論点として検討を重ねるほか、必要に応じてワーキンググループを設置する方向としている。
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受動喫煙対策 「強化」署名、反対>賛成32倍 毎日新聞世論調査とは賛否逆転

2017年04月27日 00時13分06秒 | タバコ
受動喫煙対策 「強化」署名、反対>賛成32倍 毎日新聞世論調査とは賛否逆転
その他 2017年4月26日 (水)配信毎日新聞社

 受動喫煙対策を強化する健康増進法の改正案に賛成する団体と反対する団体が25日、それぞれ実施していた署名活動の結果を公表した。賛成が3万6434人分、反対は116万7168人分と約32倍の大差が付いたが、規制の旗振り役の厚生労働省は「署名数の単純な比較はできない」と淡々と受け止めている。
 署名はいずれも書面とネットで1~2カ月間募集。賛成派の中心は肺がんの患者団体と日本禁煙学会で、事務局スタッフは「一人一人が呼び掛けてコツコツと集めた。受動喫煙対策を強化して、救える命を救いたい」と訴える。反対派には、JTなどのたばこ関連企業や飲食業の団体などが名を連ね、店も客も喫煙・分煙・禁煙の環境を自由に選べる仕組み作りを求めた。
 飲食店などを原則禁煙にすべきかどうかは、報道機関各社の世論調査でも賛否が割れており、毎日新聞の3月の調査では58%が原則禁煙の厚労省案を評価した。厚労省の正林督章・健康課長は「国民の健康を第一に考え、法案提出に努力する」と今国会での法改正を目指す姿勢を改めて示した。【山田泰蔵】
A


厚労省頑張って
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