妻に手紙「これしかない」 元官僚トップ、事件前に
2019年12月11日 (水)配信共同通信社
「これしか他に方法がないと思います」。大事にしていた長男を自らの手で殺害した罪に問われた熊沢英昭(くまざわ・ひであき)被告(76)。11日に東京地裁で開かれた初公判では、事件直前の思い詰めた心境をつづった妻宛ての手紙が読み上げられた。官僚トップの事務次官にまでなった被告は、遠くを見るようなうつろな表情を浮かべていた。
刑務官に連れられて法廷に入ったスーツ姿の熊沢被告。眼鏡を掛け、席に着くとすぐにノートを広げた。前のページには綿密な書き込みがあったが、メモを取ることはせず、検察側が冒頭陳述で事件の経緯を詳細に読み上げる間は、時折ぎゅっと目をつむった。
検察側は、事件前に熊沢被告が妻に宛てて書いた手紙を朗読した。「これまで尽くしてくれてありがとう。感謝しています。これしか他に方法がないと思います。死に場所を探します。見つかったら散骨してください。英一郎も散骨してください」。原稿用紙1枚に書かれた手紙が、法廷のモニターに映し出された。
検察側によると、事件で使われた包丁は、熊沢被告が農林水産省勤務時に、治水事業の記念品として贈られたものだった。
検察官が包丁を見せ、事件に使ったものか尋ねると「間違いありません」と、か細い声で答えた。長男の遺体の状況が手元のモニターに示された際は、少し身を乗り出すようにのぞき込んだが、表情は変えなかった。
農水省勤務当時の部下は家庭内のトラブルも聞いたことがなかったというが、この日の冒頭陳述では検察、弁護側双方から長男との関係に悩んでいた様子が指摘された。
2019年12月11日 (水)配信共同通信社
「これしか他に方法がないと思います」。大事にしていた長男を自らの手で殺害した罪に問われた熊沢英昭(くまざわ・ひであき)被告(76)。11日に東京地裁で開かれた初公判では、事件直前の思い詰めた心境をつづった妻宛ての手紙が読み上げられた。官僚トップの事務次官にまでなった被告は、遠くを見るようなうつろな表情を浮かべていた。
刑務官に連れられて法廷に入ったスーツ姿の熊沢被告。眼鏡を掛け、席に着くとすぐにノートを広げた。前のページには綿密な書き込みがあったが、メモを取ることはせず、検察側が冒頭陳述で事件の経緯を詳細に読み上げる間は、時折ぎゅっと目をつむった。
検察側は、事件前に熊沢被告が妻に宛てて書いた手紙を朗読した。「これまで尽くしてくれてありがとう。感謝しています。これしか他に方法がないと思います。死に場所を探します。見つかったら散骨してください。英一郎も散骨してください」。原稿用紙1枚に書かれた手紙が、法廷のモニターに映し出された。
検察側によると、事件で使われた包丁は、熊沢被告が農林水産省勤務時に、治水事業の記念品として贈られたものだった。
検察官が包丁を見せ、事件に使ったものか尋ねると「間違いありません」と、か細い声で答えた。長男の遺体の状況が手元のモニターに示された際は、少し身を乗り出すようにのぞき込んだが、表情は変えなかった。
農水省勤務当時の部下は家庭内のトラブルも聞いたことがなかったというが、この日の冒頭陳述では検察、弁護側双方から長男との関係に悩んでいた様子が指摘された。