ファッションショー:涙と笑顔のランウエー がん患者らファッションショー 大阪・北野病院 /大阪
2019年12月19日 (木)配信毎日新聞社
大阪市北区の北野病院で、がん患者らがモデルとなった「患者による患者のためのファッションショー」が開かれた。病院のがん患者サロン「ほっこり会」が主催するクリスマスパーティーのメインイベント。プロのモデル並みにかつらやメークを決めた9組11人がドレスや着物姿でランウエー(花道)を歩き、約80人が見守った。晴れやかな表情を見て、涙ぐむ家族や友人もいた。【山本真也】
ショーが開かれたのは今月9日。「がんになっても人生終わりじゃない。自分たちの輝く姿を見せて患者を元気づけよう」と昨年から始まった。病院スタッフと、メークや着付け、美容などの専門家のボランティア約40人が協力。会議室を使った昨年より規模を大きくし、入院患者も見下ろせる吹き抜けのホールで行った。
車椅子に乗って最初に登場した辻井千尋さん(57)。ティアラを載せ、ばら色のドレスに身を包んだ。53歳の時に乳がんが見つかり手術したが、2年前に再発。骨や脳に転移し、生きがいだった結婚式の司会の仕事ができなくなった。
だが最近、効果のある抗がん剤も見つかり、2人の娘の支えもあり、気持ちが前向きになった。
ランウエーで、友人たちから花束を受け取り、「人生は楽しまないともったいない。こんなにきれいにしてもらえ、やってよかった」と笑顔になった。
昨年に続いて出演した会社員の森博幸さん(55)は新郎役で花嫁2人をエスコートした。2年前に肺がんの手術を受け、治療は続いているが、月1回の「ほっこり会」では他の患者からの悩みの聞き役を務める。
昨年11月からがん患者のランニングチームに参加。仲間から刺激を受け、フルマラソンを完走した。「今は何事も挑戦し、失敗してもええやんという心境。去年より元気ですよ」と話した。
昨年に続き女装で盛り上げたのは公務員の男性(60)。おかっぱ頭に振り袖で、「京都慕情」に乗ってあでやかに踊った。昨春、悪性リンパ腫が発覚。「死」を意識し、これからは自分の思うままに生きたいと、夢だった女装をするようになった。今春から日本舞踊を習い始め、踊りに磨きをかけた。「喜んでもらうのが、がん仲間に支えてもらった私の恩返し。笑ってもらってうれしいです」と話した。
司会を務めたほっこり会患者代表の田井理恵子さん(45)は「体調が心配だったが、みんないい表情をしていた」と話し、ほっこり会を担当する田中敦子看護師は「しんどい時も知っているので、今日はうれしくて涙が出そうです」と話していた。
2019年12月19日 (木)配信毎日新聞社
大阪市北区の北野病院で、がん患者らがモデルとなった「患者による患者のためのファッションショー」が開かれた。病院のがん患者サロン「ほっこり会」が主催するクリスマスパーティーのメインイベント。プロのモデル並みにかつらやメークを決めた9組11人がドレスや着物姿でランウエー(花道)を歩き、約80人が見守った。晴れやかな表情を見て、涙ぐむ家族や友人もいた。【山本真也】
ショーが開かれたのは今月9日。「がんになっても人生終わりじゃない。自分たちの輝く姿を見せて患者を元気づけよう」と昨年から始まった。病院スタッフと、メークや着付け、美容などの専門家のボランティア約40人が協力。会議室を使った昨年より規模を大きくし、入院患者も見下ろせる吹き抜けのホールで行った。
車椅子に乗って最初に登場した辻井千尋さん(57)。ティアラを載せ、ばら色のドレスに身を包んだ。53歳の時に乳がんが見つかり手術したが、2年前に再発。骨や脳に転移し、生きがいだった結婚式の司会の仕事ができなくなった。
だが最近、効果のある抗がん剤も見つかり、2人の娘の支えもあり、気持ちが前向きになった。
ランウエーで、友人たちから花束を受け取り、「人生は楽しまないともったいない。こんなにきれいにしてもらえ、やってよかった」と笑顔になった。
昨年に続いて出演した会社員の森博幸さん(55)は新郎役で花嫁2人をエスコートした。2年前に肺がんの手術を受け、治療は続いているが、月1回の「ほっこり会」では他の患者からの悩みの聞き役を務める。
昨年11月からがん患者のランニングチームに参加。仲間から刺激を受け、フルマラソンを完走した。「今は何事も挑戦し、失敗してもええやんという心境。去年より元気ですよ」と話した。
昨年に続き女装で盛り上げたのは公務員の男性(60)。おかっぱ頭に振り袖で、「京都慕情」に乗ってあでやかに踊った。昨春、悪性リンパ腫が発覚。「死」を意識し、これからは自分の思うままに生きたいと、夢だった女装をするようになった。今春から日本舞踊を習い始め、踊りに磨きをかけた。「喜んでもらうのが、がん仲間に支えてもらった私の恩返し。笑ってもらってうれしいです」と話した。
司会を務めたほっこり会患者代表の田井理恵子さん(45)は「体調が心配だったが、みんないい表情をしていた」と話し、ほっこり会を担当する田中敦子看護師は「しんどい時も知っているので、今日はうれしくて涙が出そうです」と話していた。