Mars&Jupiter

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ヴァレーズの「アルカナ」を聴きながら横浜から星川まで歩く

2007-09-05 06:31:10 | 古典~現代音楽北アメリカ編
昨日は、横浜から星川まで歩きました。
途中聴いた音楽は、1883年生まれのヴァレーズの曲。
パリで生まれた彼をアメリカの作曲家として紹介するのは、
彼がアメリカで市民権を得て、アメリカ人として帰化したことと、
ヨーロッパにいた時期の作品は彼自身によって破棄され、
主要作品は、アメリカに移住してからしか残っていないこと、
そして、彼の作品はアメリカの前衛的な作曲家たちに
多大な影響を与えたことなどの理由による。

私がヴァレーズの作品に出会ったのは高校時代。
当時はズービン・メータの指揮するレコードが話題になっていた。
そこには、「アルカナ」、「積分」、「電離」の曲が入っていた。
僕はロバート・クラフトがコロンビア交響楽団を指揮する
2枚組の輸入盤のレコードをレコード屋で見つけて買った。
そこには、それ以外の作品で、「密度21.5」、「アンテグラル」、
「オクタンドル」、「ハイパープリズム」、「オフランド」、
「ポエム・エレクトロニク」、「砂漠」、「アルカナ」といった
主要作品が入っており、聴いて強い衝撃を受けた。

この中でも強い印象を受けた作品が「電離」と、
「ポエム・エレクトロニク」である。
「電離」は打楽器奏者だけによる音楽であり、
従来の音楽にある旋律とかメロディが存在しないこと、
まさにもはや音楽というより音響となっていること、
つまりは従来の音楽の常識が通用しない点で衝撃的だった。
「ポエム・エレクトロニク」は、電子音楽であり、
テープによって再現される音楽は、
音楽を伝える伝達者である演奏者が存在しない世界であり、
その意味で当時高校生であった私にとって衝撃的であった。

「アルカナ」は、1925年に作曲された作品で、
大編成のオーケストラによって演奏される作品である。
初演はストコフスキーの指揮によって1927年行われている。
「アルカナ」は神秘を意味するラテン語で、
錬金術師が見つけようとした自然界の秘密や秘薬の意味がある。
この曲は、そんなタイトルとは関係なく、
ストラヴィンスキーの「春の祭典」などを思わせる
不協和音と強烈で野性的なリズムが冒頭から鳴り響く。
そして、12人の奏者により35の打楽器が演奏される。
(この辺の奏者と打楽器の種類については、
CDの解説書によって微妙に数が違う)
とにかく、その打楽器が彼の作品の特徴であるし、
創り出される音楽はとてもアメリカ的であり、
映画「猿の惑星」にでも出てきそうな曲で、現代的である。
さすが、音の錬金術師ヴァレーズが見せる
アルカナ(神秘)の音の世界なのである。
コメント
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