2016年7月5日(火)、一関市立渋民市民センター(伊藤 館長:大東町渋民字伊勢堂)主催の平成28年度室蓬カレッジの現代文学講座(全5回の3回目)が開催されました。今年度は「無頼派・山川修平の作品世界」と題して一関市川崎村薄衣(うすぎぬ)出身の作家・山川修平さん作品を取り上げていますが、第3回目の今回は小説「白磁の画家」の鑑賞でした。
今回は、山川修平(本名・千葉勝也)さんの実兄で川崎町在住の千葉富哉さん(昭和8年生まれ)にお越し頂いて話をお聞きしました。6月30日(木)に取り上げた小説「北上川」では、主人公の信一は長男で、弟がいるのですが、実際は修平さんは次男で長男は冨哉さんです。また、肺結核で信一が結核療養所に入院したのは高校に入る前で、3年後に生まれた後輩と一緒に高校生活を送りますが、実際は高校2年の時だったそうです。小説は実際のことを書いていると思っていましたが、幾つかの相違があるとのことでした。
小説「白磁の画家」の鑑賞では、先ず(9~25ページ)第一章 幼少年期(家族とその時代/母の死、そして太平洋戦争/世紀の渡航奇策)を講師の内田正好先生が朗読してくださいました。いつもの通り、淀みの無い明快な朗読で感心して聞きほれてしまいました。
(上)「呉炳学画集」のデッサンの項目に収録されている「鉄道員」(9頁)は兄の肖像でもある。鉄道員の制帽の似合う表情に、誠実さとやさしさが滲み出ている。
次に朗読されたのは「あとがき」(254~256頁)で、次にこの「白磁の画家」を執筆することになったいきさつが書かれた頁(246~251)、「呉炳学略年譜」、そして「まえがき」(6~7頁)の順でした。
(下)呉炳学(オ ビョンハク)画伯と著者の山川修平さん(2012年、呉炳学88歳大回顧展、2月7日~12日、豊橋市美術博物館。)
(下6つ)この本に収録されている呉炳学画伯の絵。
『白磁の画家』~芳醇にして強靭なる呉炳学の世界 山川修平著 三一書房発行 2,400円+税
本書は、在日朝鮮人画家・呉炳学(オ・ビョンハク)の足跡と、彼の絵画に対する情熱を伝える伝記小説である。
第一章(幼少年期):1924(大正13)年1月21日、大日本帝国(以下「日帝」)の植民地支配下にあった朝鮮半島北部・平安南道で生まれた。家業は半分自作、半分小作という農家であった。この地の冬は氷点下20℃、時には25℃になることすらあり、耕地は凍土と化す。農作物は雑穀(稗、粟、大豆)がほとんどであった。(以下省略)。
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