Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

花咲かさない爺さんの念

2021-03-20 | 生活
春へと楽しみにしていることがある。まだ室内に置いてある鉢に蕾を見つけたのは三週間程前、そして今開花しかかっている。どうしても咲かしてやりたいと思う。誕生日祝いに沢山の花を咲いた鉢を貰ったのは13年前の事だった。その時以降花を咲かしていなかった。原因は明らかだった。

その年に日本へと飛んだ。水遣りの事もあるので近所の街中一番の嫌われ者の爺さんにそれを預けた。そして帰って来て受け取りに行くと、家政婦の婆さんが先を全て摘まんでしまったので、今後咲くかどうか分からないと言われた。

要するに水遣りと花が落ちるのを面倒で切って仕舞ったのだと分かった。穿った見方をすれば水をあまりやらないでいいように、掃除の余った水でと成長を止められていたかもしれない。

毎年の様に要らぬ枝葉を落としたりして努力をしていた。成長が良くて明らかに何か変化を感じたと誌も何度もあった。特に問題になったのは虫が寄って歯がべとべとと密を垂らしたことで、今冬はなぜかその密が他所の鉢へと移っていた。

先端が蕾だと分かった時は狂喜した。そしてその嫌われ爺さんが昨年初夏に亡くなっていたことと無関係には考えられない。街中の全ての事に口出しをして邪魔をしでかすことを生き甲斐としていた爺さんである。背後には「ハイルヒットラー」と買い物の度に言わされたと語ったように、半ユダヤ系の生い立ちゆえの反社会性があったと考えられた。

昨年もコロナ禍で市役所に駆け込んでの活動が出来なくなった事から亡くなったと確信していたが、こうしてようやく蕾から開花しかけて、漸く爺さんが本当に亡くなったとの思いを強くした。まさか念で花を咲かせなかったとは、とんでもない爺さんだった。

先日西部ドイツ放送局でルールピアノフェスティヴァルの録音が流されていた。先日亡くなったレオン・フライシャーがミンゲット四重奏団と合わせたものだ。コルンゴールトの曲が聴きたくて録音した。先ず四重奏団がこんなに下手だったかなと思った。一度ハイデルベルクで聴いたかもしれないが、印象以上に下手だった。レパートリーとして練れていないのに尽きる。フライシャーのピアノは想定内だったが、アンコールなどもそれなりに良かった。

昨日の訃報記事からマーラーの交響曲を流した。当時LP乍素晴らしい音が入っているなと思って改めて聴くと、音響的にも通常のプレーヤーでは限界だと感じた。またフィラデルフィアの管弦楽団の演奏も現在の演奏能力からすると大分下である。特に弦楽器が下手である。当時はまだオーマンディー指揮の頃なのでそんなに難しい表現は求められていなかったのかもしれない。同じシリーズでシカゴの交響楽団も振っているがこちらは流石にショルティ時代の巧さは間違いない。



参照:
あまり記憶に残らない指揮 2021-03-19 | マスメディア批評
最後までの憎まれもの 2020-07-10 | 雑感

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