遅まきながら、
◆2007年、あけましておめでとうございます◆
今年も、ひたすら音楽に精進すべく、そして
皆様と交流を結ぶことができますことを心から願い、
そしてお付き合いいただけたら嬉しく、
よろしく、お願い申し上げます!!
◇◆◇◆
手始めにさっそく、
音楽を志す者にとっての(あるいは
物事を突き詰めようとする全ての人々にとっての)
大いなる指標ともなり、励みもとなるであろう文章を見つけましたので、
それをご紹介することで、今年の抱負も兼ねてみようかと思います。
これはドイツの文豪ゲーテGoetheの言葉を
同じくドイツの文豪トーマス・マンThomas Mannが
トーマス・マン著『ゲーテとトルストイ』という本において
書いているものです。
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「・・・・・人間の形姿は、
単にその表面を観察しただけでは理解できない。
美しい、分かちえない全体として生き生きと波打ちながら
私たちの眼の前に動いているものを、
本当に観察し模倣しようと思うのならば、
その内部を赤裸にし、それぞれの部分を区分けし、
それらの結合に注意し、さまざまな差異を知り、
その作用と反作用とに通じ、隠されたもの、安定したもの、
現象の基礎になっているものを心に刻みつけなければならない。」
これはすべてゲーテの言葉なのですが、それが
真理を言い当てていることを誰が疑いましょうか。
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いきなりのこうした抜粋では、
一体何が何だか判らないかもしれませんね・・・そこで
この文章をひとつ、作者に少々ご免して、
音楽を専門とする者の目から
ほんのちょっと文字をいじって当てはめてさせていただきます。
すると、自分としては「なるほど納得」の事実が
浮かび上がってきたような気がしたのです。
たった一言、冒頭の
「・・・・・人間の形姿は」を
「・・・・・音楽の形姿は」と変えてみても、
ぴったりと真理に適っていると思われるのです。
ついでに4行目、
「私たちの目の前に動いているもの」を
「私たちの目の前に動いている音楽」と変えてみると
なお、分かり易いかもしれないのですが・・・
ある音楽を追求する者が
「本当に観察し模倣しようと思うのならば」
すなわち、ひとつの楽曲をとことん探求し演奏しようと思うのならば、
「その表面だけを観察しただけでは理解できない」そうです。
「内部を赤裸にし」「部分を区切り」「結合し」などなど
あらゆる試行錯誤をもって、これを勉強するという姿勢が
このゲーテの言葉から垣間見られるようではないでしょうか。
ドイツでは、
曲を練習するという「Ueben(ユーベン)」という言葉の他に
曲を「Arbeiten(アルバイテン)」するという言葉が
よく使われるようです。
「Arbeiten」とは、日本語訳では
「仕事」「勉強」あるいは「作業」となりましょうか。
上記のマンの抜粋したゲーテの言葉は、
この「Arbeiten」の仕方と解釈することも
不可能ではないのではないかと思ったのです。
ところで
肝心の音楽における「Arbeiten」の具体的内容は、
限りなく多岐に渡るものでしょう。
技術的なもの、知識によるもの、感性を研ぎ澄ませるもの、
音楽の細かな部分部分から全体像まで、
その全てが「Arbeiten」というわけで・・・
いやはや、
やることは尽きないというわけですね。しかし、
それが人生か、それは
あらゆる仕事においてもきっと同じ、
終わることのない連鎖は我々の周囲を取り巻いており、
それは気が滅入りそうになるようでもあり、
あるいは終わりがないことは、常にやることがある、
それは嬉しいことでもあるのかもしれません。
世の中の表と裏、「表裏一体」という言葉が思い出されます、
すなわちさらには
「色即是空 空即是色」と・・・
話がすごい方向へいってしまいました。
今年も、精進・Arbeitenしていきたく思います!!
↑写真は、ドイツの元旦朝8時半の初日の出です。
お寝坊したのですが、幸運にも雲の向こうから現れる初日を
拝むことができました。8時半の初日って・・・(苦笑)