今ふと、過去の録音を聴きながら思ったのですが、ベートーヴェン最後のピアノソナタ《op.111》を演奏している時、この曲が「何分」時間がかかるのか、意識が・・・無いようなのです。これは、この楽曲の持つ抜群の出来具合が、時間を忘れさせる程の力を持つから!?なぞと思いました
時間を忘れさせる音楽・・・すごいことだと、思いませんか?
高度に凝縮されたAllegro楽章・・・ベートーヴェン最後のピアノソナタのI楽章・・・聴きながら、そう、思われました
ベートーヴェン最後のピアノソナタは《32番》・・・その先にもう一つ書いた大曲の変奏曲は《33の変奏》・・・「33」という意味深な数字で、自身にとって大事なジャンルであるピアノ独奏部門を書き終えたこの人・・・自分の人生を設計しきって、それを実現してこの世を去った、あっぱれな人!?
私の記憶が正しければ、たしか音楽批評家の吉田秀和先生は、生前に御自身の全集24巻をまとめられたとか!? 生前に、自分の仕事をまとめる・・・これ、あっぱれな人生!?と、思ったことがあります。(全集をまとめた後に、また出版されてますけど(笑))
ベートーヴェンの最後の変奏曲《33の変奏op.120》が、作者自身が考える自分の大事な最後のピアノ作品、と私は解釈しました。《op.126》というピアノ作品があるのですが、これには《バガテル(他愛もない・バカげたもの)》という題名が作者自身によって付されています。すなわち
ベートーヴェン最後のピアノソナタ《32番op.111》、最後の変奏曲《33の変奏op.120》に対し、その他《op.119》《op.126》は「バガテル(どうでもいいもの)」と作者自身により軽んじられた題名・・・ベートーヴェンが《ソナタ》や《変奏曲》を重視していた心が読み取れる?
実は私はまだ、《op.119》《op.126》を勉強していませんでした・・・今こうして呟きながら、楽譜を開き、この曲の勉強をさっそく(笑)始めました。(楽器の音を出せる時間ではないので机上で!)
ベートーヴェンの後期の作《op.119》《op.126》は「バガテル(他愛もないもの)」と題されていますが・・・勉強したら、きっと「他愛もない」だなんて、作者以外は言うことが許されない(笑)高度なクラシック音楽なのでは!?と期待しつつ勉強を始めます