一人の作曲家、しかもベートーヴェンという
西洋クラシック音楽のジャンルにおいて大きなキーパーソンとなる
この大作曲家の作品の一群を知り得た事は、この音楽のジャンルで
やっていこうとする人間にとって、何にも変え難い大きな糧と
なるのだと思います。
ベートーヴェンの音楽を知ることは、すなわち彼の後世に続く
シューベルト、シューマン、ブラームス、リストなど
(ここに挙げたロマン派の彼らは皆、ベートーヴェンに夢中になった
音楽家達と伝えられています)、そして上に挙げた名前のみに限らず
時代と地域を越えた広範囲に渡る、あらゆる後世の作曲家の音楽を
紐解く鍵と成りえるかもしれません。
と同時に、ベートーヴェンの前世の音楽との関わりを
紐解いてみるのも非常に興味深いものです。
直接の師であるハイドンを通じ、ベートーヴェンは実に多くの影響を
受けているようです。《弦楽四重奏》や《交響曲》といった
“パパ・ハイドン”の育てていったジャンルを、ベートーヴェンは踏襲し、
さらに昇華させていったと過程を見ることが出来ます。
ウィーン古典派・三つ葉のもう一人であるモーツァルトにおいては、
ベートーヴェン自身の「自分はモーツァルトの最大の賛美者であって、
また生涯、そうでい続けるであろう」という言葉が残されており、
ベートーヴェンの見ていた音楽家としてのモーツァルト像を追って
みることは、この両天才を相互に理解しあい、さらにその理解度を
高めることの出来る打って付けの機会といえそうです。
さらに時代をさかのぼって大J.S.バッハの音楽からも、
ベートーヴェン自身、多大な影響を受けていると自負しておりますし
(後期の作品にそれが顕著に現れているといいます)、
そのバッハの息子達であるC.Ph.E.バッハ、Christian バッハなどの
バロックからクラシックへと流れ行く中間の時期に当たる作曲家の
音楽も、我々の興味の対象として浮かび上がってきます。
勉強する対象は、さらに深まり、さらに広くなっていくのでしょう。
音楽家・演奏家の勉強に終わりはありません。あるわけはありません。
なぜなら、我々の勉強対象は、「音楽」というワンクッションを置いた
無限の興味と研究の対象と成りえる「人間」であるからなのでしょう。
人間を完全に把握することなぞは出来ません。
すなわち、音楽が人間の鏡であるのなら、そんな音楽を
把握しきるなぞということも、あり得ないのでしょう。
しかし、
突き詰める過程を経て深まる世界は、どこまでも深くなり、
それが「おもしろい」ところなのかと思うのでした。
(日本文化の誇りである「能」の世阿弥がいうところの
「おもしろ」が花であるという言葉が思い出されます)
今後ともベートーヴェンと面と向かい、
怖い顔のこのおじさんから、もっともっとおもしろい、
もっともっと深い、もっともっと感動する音楽を
生涯をかけて、向き合っていくことが、ひとつの
生き甲斐ある人生なのかと、自分に言い聞かせ、
次回のコンサートへと励んでいきたいところです。
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