音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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ベートーヴェン・ピアノソナタ全曲演奏を振り返ってみて

2006年08月11日 | Beethovenピアノソナタ全曲演奏
残り一回のコンサートを控えた
ソナタ全曲演奏会のツィクルスを思い返し、
今までの8回という、自分にとって今までにやったことのない
速いペースと膨大な量のコンサートをこなしてみたものの、
時が過ぎ去ってみると、なんとも途方に暮れた奇妙な気分でいました・・・
しかし、これではいかん、
せっかくの努力をもっと有意義なものにせねばと思い立ち、
ひとつまじめに気持ちの整理を心がけてみて、このツィクルスを
振り返ってみると、なにがしかの思うところがあるのでした。



このベートーヴェン・ピアノソナタ・ツィクルスを敢行するにあたり、
その過程と経過を思い返してみると、全ては、
この大作曲家ベートーヴェンのことを「良く知りあう」道であったのか
というひとつの結論にたどり着いたのでした。

もっと詳しく考えるならば、
ベートーヴェンの「凄さ」「面白さ」「深さ」「力強さ」「お茶目」
「女性観」「民主主義」「大自然」「神的なもの」などの色々な面を、
具体的な作品を通し、あるいは作品同士の相互関係を見比べること
によって、お互いをお互いに理解し、そして理解を深めることが
できたのではないかと思うのです。


「ベートーヴェンが凄い」というのはごく当たり前なことかもしれません。
しかし、「一人の人とより深く知り合う」という過程は、
一人の人間の人生において、大いに意味のあるところと思われます。

普段の生活においてなされるように、ある人を、より深く知るために
時間と努力を払うことは人間の行為として、大切な有意義なものと
考えられましょう。

ベートーヴェンのピアノソナタを学ぶということは、
歴史に「大音楽家」たる証明を裏づけられたベートーヴェンという人と
彼の「音楽」と向き合うことであります。

ベートーヴェンの凄さが「どう凄いか」を知り、その秘密を
紐解くことによって、その凄さをより大きく感じることができるように
なるかもしれないその過程は、人間として人生を歩む上で
ひとつの意味ある道であったとすることができるでしょうか。

ベートーヴェン・ピアノソナタ・ツィクルスを通して
自分は、以前に比べてさらに一歩進んで、ベートーヴェンの凄さを
よりよく知り、おもしろさを深めることができたのかもしれないという
ところにおいて、この半年の時間の意味を確かめたいところです。

つづく
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