音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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■モーツァルトは本当に痛切な音楽を書いた ~ 吉田秀和著『現代の演奏』より抜粋

2011年08月04日 | 吉田秀和
吉田秀和著 『現代の演奏』新潮社より抜粋


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そういう時、私には、モーツァルトでさえ、
すでに、あまりに近代で、精緻でありすぎて、当惑する。

H.ゲオン=小林秀雄流に、
〈走る悲しみ〉をそこにきくから、
といってもよい。

モーツァルトは、
本当に、
痛切な音楽を書いた。

悲しみといっても、
それは主観的な心の状態を越えた、
もっと存在論的なものである。

ふとしたことで、
どこかでハ短調のピアノ協奏曲の冒頭が響いてきたりすると、
私は、ベートーヴェンの悲愴な憂鬱より、
もっとはるかに鋭く、痛烈な〈悲しみ〉に
切りつけられるように感じる。

それに彼の〈悲しみ〉は、
極まりがなく、果てしがない。

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