音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆ベートーヴェン《ピアノソナタ第29番op.106“ハンマークラヴィア”》を弾くにあたって師匠の提言

2007年05月20日 | 《29番op.106》ハンマークラ
ベートーヴェンのピアノソナタ中、
最大にして最難の作品といえましょう
《ピアノソナタ29番op.106“ハンマークラヴィア”》

この曲を弾かずして、ベートーヴェンのピアノソナタ
全32曲の演奏は達成できないため、
ここが最大の難関となって、多くのピアニスト達の前に
立ちはだかると言って嘘ではないでしょう。

私事で恐縮ですが、
自分が昨年ベートーヴェン・ツィクルスに
挑むことができたきっかけは、
数年前、この《ハンマークラヴィア》を勉強し、
それをコンサートで演奏する機会を得られたことが
大きな起爆剤となったと言えます。
それは忘れもしない、2003年の12月16日でした。
「12月16日」は、ベートーヴェンの誕生日と伝えられています。
ちょっと、不思議な縁があったのかな・・・

というわけで、
《ハンマークラヴィア》の勉強なくして、
ベートーヴェン・ピアノソナタ全曲演奏会のプロジェクトは
企画すらされなかったと言っても過言ではないでしょう。
しかし、
《ハンマークラヴィア》の公開演奏にいたるまでには、
実に長い時間が・・・掛かっていました。


師匠クラウス・シルデ先生が、
自分のドイツ留学前(多分2001年くらい)に
日本でかけてくださったお言葉、



「Gen、《ハンマークラヴィア》を毎日6分づつ勉強しなさい」



毎日「6分」・・・・微妙な数字です。
しかし、ここに宿された意味はなんだったか。


毎日、少しづつでいいから、
この難曲を紐解いて見なさい、そして
長い年月をかけてこれを勉強し続けなさい、


そんな意味が籠められていたのでしょうか。

ふとこんなことを思い出しましたが、
忍者が屋根を飛び越えられるようになるのには、
まずは小さな「木」を毎日欠かさず飛び越えて、
その木の生長に伴って、いつの日かその木が
大木となったときに、その忍者はいつの間にか
屋根をも飛び越す力を身に付ける、
とか?


この約束を自分が守っていたかどうか、
・・・それについてはノーコメントです(爆)
しかし、
長い年月をかけて、この大曲の演奏に
なんとかこじつけたのは事実でした。


◇◆◇◆


20世紀中頃のドイツの巨匠E.Fischer曰く、
「この曲を弾きこなすことは生涯不可能である」
のようなことを言っていたと記憶しています。

これは事実と思えます。

この《ハンマークラヴィア》は
怪物と言えるのかもしれません・・・
初演を務めたピアノの名手チェルニーCzernyですら、
満足のいく演奏はできなかったと伝えられています・・・



じゃあ、なぜそんなモンスターに我々は挑むのか?


・・・もしかすると
この怪物に「命を懸けて」挑むことに、
この曲を演奏する意義があるのかもしれません。

そう思わないと・・・弾いていられない!?(自爆)

次にこの曲を自分が演奏するのは
果たしていつになることやら・・・
不安なような、楽しみなような、複雑な気分です。


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