音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆「楽譜を正確に演奏」するということは「手段」?「目的」?

2008年01月22日 | 音楽(一般)
「楽譜を正確に演奏する」
「楽譜通りに弾く」ということが
クラシック音楽を勉強する上では
よく言われることだと思われます。


これは、
自分が師匠クラウス・シルデ先生から
みっちりしごかれものでもあります。


自分の勉強不足や注意不足で
楽譜の指示を見落としていると、すかさず
「Nein(違う)~~~~~!!!!!」
と怒声が浴びせられたものでした(苦笑)


それにしても、
「楽譜通り」「正確に演奏する」
というこの言葉について、ふと
深く考えてみたくなったのでした。


師匠のレッスンを思い返してみても、
「楽譜を正確に演奏」するといっても、それは
子爵定規に楽譜を「盲従」しているわけでは
決してないことを追記する必要があります。


「正確に」
という言葉、気を付けてみる必要がありましょうか。
「ただ単に正確に弾く」ならば、それは「盲従」といえましょう。


時に楽譜を批判する姿勢を忘れてはならない。
音楽的に有り得ない、他の版では違うことが書いてあった、
などなど、手元の楽譜を吟味する批判精神を持つことは、
大人としての成熟した人間として・音楽家として・芸術家として
大いに心したほうが良い態度でしょう。


では、「楽譜を正確に演奏」する必要はどこにあるのか?


その基盤は、
彼らクラシック音楽の作曲家達の多くは
彼らの高い音楽性を「楽譜に書き込もう」と努力を払った
人達であることです。


いつも思うことですが、やっぱり彼らはすごい人達。
現に、何百年もの時を越えて、今日を生きる我々が
彼らの音楽に心を奪われ感動するという事実が、
彼らの凄さを証明してくれているでしょう。


彼らはすごい音楽家たちだった。
彼らの書き残してくれた楽譜、
大いに吟味し、「正確に」勉強してみたいものです。


「楽譜を正確に」追ってみる。すると、
きっとそこからは、彼ら大音楽家の魅力的な音楽が
かもし出されてくると信じられるからこそ、
我々は「楽譜を正確に」演奏しようと
心掛けてよいのではないでしょうか?


きっとこういうことなのかもしれません。


●「楽譜を正確に演奏」することは「目的」ではないのです。
それを「目的」としてしまうならば、それは
楽譜に対する批判精神の欠如と
結びつく危険性が大いにあるのではないでしょうか。
ただ闇雲に「楽譜通りでない!」と怒るような指導法は、納得がいきません。


●「楽譜を正確に演奏」することは「手段」である
と考えるならば、
五線譜に散りばめられた黒丸・白丸やら・棒線やら曲線やら・
様々な言語で指示の書き込まれたあのケッタイな書物が、
人々の心揺るがす魔法のような「音楽」
という奇跡が達成されるための
大いなる道標(みちしるべ)となるのならば、
いよいよ「楽譜を正確に演奏する」理由が
浮き上がってくるように思えるのです。


さてさて、
今日も大いに楽譜に向き合って、
音楽を追求してゆきたいものです!!


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