昨夜は面白いコンサートを聴くことができました。
新百合ヶ丘、昭和音楽大学校舎内のユリホールにて、
古典四重奏団 Quartetto Classico
による演奏で、ベートーヴェンの《弦楽四重奏》をふたつ、
演奏の前には「短調の歴史」というレクチャーがありました。
これもまた面白かった。
「バロック」から「古典(クラシック)」、しかも
「三つ葉のウィーン古典派」=ハイドン、モーツァルトそして
ベートーヴェンの三人に至る流れ、それぞれの持ち味、変遷を経て
「ロマン派」へと移りゆく流れを体感することができたような、
それは面白いレクチャーでした。勉強になりました!!
ところで、このコンサートでは
この記事の表題・本題であるベートーヴェンの不朽の名作
《ピアノソナタ第23番 ヘ短調 op.57》
通称「熱情ソナタ」と呼ばれる曲の
兄弟作に出会うことができた
と、演奏を聴きながら思ったのです。
それは、プログラムの後半で演奏されました
《弦楽四重奏 第8番 ホ短調 op.59-2》
俗称「ラズモフスキー 第2番」
でした。
ベートーヴェンの作曲活動において、
●ピアノソナタ Klaviersonate
●弦楽四重奏 Streichquartett
●シンフォニー(交響曲) Symphonie
の三つのジャンルは、合わせて《三本柱」というふうに考えられ、
彼の生涯を通して、彼の作曲活動がこれら三つのジャンルを
行ったり来たりしていると見ることができましょうか。
もしかすると、乱暴な言い方をすれば、
《ピアノソナタ》で一度形作られたものを、今度は
《弦楽四重奏》として、そして(あるいは)
《交響曲》として、より大きな規模で再チャレンジする、
そんな行程がベートーヴェンにはあったのではないかと
考えることができるかもしれません。
そうなりますと、
《ピアノソナタ第23番 ヘ短調 op.57》と
《弦楽四重奏 第8番 ホ短調 op.59-2》
の両者に、少なからぬ共通点、さらには
両者を「兄弟作」と見ることも、あながち
おかしい事ではないのではないかと思うのです。
実は、
このコンサートの演奏会場に着いて、しかし演奏を聴く前から、
両者は兄弟作なのではないか?ということは
うすうす考え始めていたのでした。
まず、極単純な共通点ですが、
●どちらも「短調moll」の作品であること
しかも、《熱情ソナタ》は「ヘ短調f-moll」、
《ラズモフスキー2番》は「ホ短調e-moll」と、
微妙に半音ずれているだけというところが、
なんとも少々気にかかってしまうのです。
次に、手元にあるプログラムノートを見て思ったことは、
●両者作品の番号が近いこと、
《熱情ソナタ》は op.57
《ラズモフスキー第2番》は op.59-2
ざっとみて、両者がおそらくは近い時期に作曲されて
いただろうなということが想像されます。
実際、今、作曲年を調べてみたところ、やはり!!
《熱情ソナタ》は 1805年作曲
《ラズモフスキー第2番》は 1806年作曲
《熱情》を書き終わって《弦楽四重奏》へと移ったか、それとも
《熱情》を書きながら《弦楽四重奏》も同時進行で書かれていたか、
いずれにしても、両者の作品に少なからぬ密接な関係が
あったと想像されることは、不自然なことではないでしょう。
さらに、
●それぞれの楽章のテンポ構成が似ていること
《ラズモフスキー第2番》の楽章構成は、プログラムノートによると
I Allegro
II Molto Adagio
III Allegretto
IV Finale (Presto)
となっていました。それに対する《熱情ソナタ》は全部で
3楽章しかないのですが、
最初の楽章が「Allegro」
間にゆっくりめの楽章を挟んで、
最後が「Presto」
となるあたりが、どうも熱情と似ていなかっただろうか
と思われたのです。
さて、当の《熱情ソナタ》はといいますと
I Allegro assai
II Andante con moto
III Allegro ma non troppo – Presto
ん~~~・・・・遠からず近からず。
でも、全体としてみれば「急緩急」、
最後が共に「Presto」で終わる辺りに、
両者の近親性がみえてくるような
気がしてならなかったのです。
つづく
…………………………………………………………………
この記事に関するコメントやご連絡等ございましたら、
以下のアドレスまでメッセージをお送り下さい。
PianistSegawaGen@aol.com
…………………………………………………………………
新百合ヶ丘、昭和音楽大学校舎内のユリホールにて、
古典四重奏団 Quartetto Classico
による演奏で、ベートーヴェンの《弦楽四重奏》をふたつ、
演奏の前には「短調の歴史」というレクチャーがありました。
これもまた面白かった。
「バロック」から「古典(クラシック)」、しかも
「三つ葉のウィーン古典派」=ハイドン、モーツァルトそして
ベートーヴェンの三人に至る流れ、それぞれの持ち味、変遷を経て
「ロマン派」へと移りゆく流れを体感することができたような、
それは面白いレクチャーでした。勉強になりました!!
ところで、このコンサートでは
この記事の表題・本題であるベートーヴェンの不朽の名作
《ピアノソナタ第23番 ヘ短調 op.57》
通称「熱情ソナタ」と呼ばれる曲の
兄弟作に出会うことができた
と、演奏を聴きながら思ったのです。
それは、プログラムの後半で演奏されました
《弦楽四重奏 第8番 ホ短調 op.59-2》
俗称「ラズモフスキー 第2番」
でした。
ベートーヴェンの作曲活動において、
●ピアノソナタ Klaviersonate
●弦楽四重奏 Streichquartett
●シンフォニー(交響曲) Symphonie
の三つのジャンルは、合わせて《三本柱」というふうに考えられ、
彼の生涯を通して、彼の作曲活動がこれら三つのジャンルを
行ったり来たりしていると見ることができましょうか。
もしかすると、乱暴な言い方をすれば、
《ピアノソナタ》で一度形作られたものを、今度は
《弦楽四重奏》として、そして(あるいは)
《交響曲》として、より大きな規模で再チャレンジする、
そんな行程がベートーヴェンにはあったのではないかと
考えることができるかもしれません。
そうなりますと、
《ピアノソナタ第23番 ヘ短調 op.57》と
《弦楽四重奏 第8番 ホ短調 op.59-2》
の両者に、少なからぬ共通点、さらには
両者を「兄弟作」と見ることも、あながち
おかしい事ではないのではないかと思うのです。
実は、
このコンサートの演奏会場に着いて、しかし演奏を聴く前から、
両者は兄弟作なのではないか?ということは
うすうす考え始めていたのでした。
まず、極単純な共通点ですが、
●どちらも「短調moll」の作品であること
しかも、《熱情ソナタ》は「ヘ短調f-moll」、
《ラズモフスキー2番》は「ホ短調e-moll」と、
微妙に半音ずれているだけというところが、
なんとも少々気にかかってしまうのです。
次に、手元にあるプログラムノートを見て思ったことは、
●両者作品の番号が近いこと、
《熱情ソナタ》は op.57
《ラズモフスキー第2番》は op.59-2
ざっとみて、両者がおそらくは近い時期に作曲されて
いただろうなということが想像されます。
実際、今、作曲年を調べてみたところ、やはり!!
《熱情ソナタ》は 1805年作曲
《ラズモフスキー第2番》は 1806年作曲
《熱情》を書き終わって《弦楽四重奏》へと移ったか、それとも
《熱情》を書きながら《弦楽四重奏》も同時進行で書かれていたか、
いずれにしても、両者の作品に少なからぬ密接な関係が
あったと想像されることは、不自然なことではないでしょう。
さらに、
●それぞれの楽章のテンポ構成が似ていること
《ラズモフスキー第2番》の楽章構成は、プログラムノートによると
I Allegro
II Molto Adagio
III Allegretto
IV Finale (Presto)
となっていました。それに対する《熱情ソナタ》は全部で
3楽章しかないのですが、
最初の楽章が「Allegro」
間にゆっくりめの楽章を挟んで、
最後が「Presto」
となるあたりが、どうも熱情と似ていなかっただろうか
と思われたのです。
さて、当の《熱情ソナタ》はといいますと
I Allegro assai
II Andante con moto
III Allegro ma non troppo – Presto
ん~~~・・・・遠からず近からず。
でも、全体としてみれば「急緩急」、
最後が共に「Presto」で終わる辺りに、
両者の近親性がみえてくるような
気がしてならなかったのです。
つづく
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