音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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つづき◆《ピアノソナタ“熱情”》の兄弟作を見付けた!?

2008年03月11日 | ベートーヴェン Beethoven
さて、実際にコンサートでの演奏が始まって、
この記事の本題、
《弦楽四重奏 ラズモフスキー第2番 ホ短調 op.59-2》と
《ピアノソナタ 第23番 ヘ短調 op.57》は兄弟作かどうかを
いよいよ実際の音として確かめることとなったのですが、
あらかじめ言い訳させていただきたいのですが、
手元には未だ《弦楽四重奏》の楽譜がないため、
全ては記憶でしかないことを一言添えさせてください・・・
もしも楽譜を見て、ここに書いたことがトンチンカンだったら、
即削除させていただくかもしれません・・・
そうならないことを願って。


さて、まず
●冒頭のテーマ、メロディーが
やっぱり《熱情》と同系統?と思いました。
大きくない音量で、秘密めいたようで、
長いメロディーが「ぱ~~~っと」現れるのではなく、
どことなくセンテンスの短い、ぶつ切りのようにすら聞こえる
不気味なモティーフに綴られた「第1テーマ」。

●I楽章の終わり方も、
静かに、しゅん・・・・と不気味に静まり返る終わり方。
これも、《熱情ソナタ》と、この《ラズモフスキー第2番》に
共通するところと思われました。
《熱情ソナタ》のI楽章の終わりは、特筆すべく、
「ppp」という、ベートーヴェンにとっては非常に珍しい
記譜がなされているのです。果たして、ベートーヴェン以前に
「ppp」を書いた作曲家がいたであろうか、今のところ思いつきません。
すくなくとも、モーツァルトやハイドンは、多分書いていないはずです。

ちなみに、ベートーヴェンのあとに続いたシューベルトは、
「fff」から「ppp」まで、幅広いダイナミクスを
楽譜に書き残しているはずです。年代と共に、
ダイナミクスの概念は広がってゆくのかもしれません!!
シェーンベルクやリヒャルト・シュトラウスなどになると・・・
「ppppp」とか出てきますし(笑) ダイナミクスの拡大、
これはこれで面白そうなテーマです。


●天国的な美しさの緩叙楽章
《熱情ソナタ》のII楽章「Andante con moto」は変奏曲形式、
天国的な重厚な美しさ(現世における天国的!?)を、
《ラズモフスキー第2番》のII楽章「Molto Adagio」にも
見えたような気がしたのです。こちらは、
前の楽章を引きずった「ホ短調e-moll」の響きのように始まると見せかけ、
実際は「ホ長調E-Dur」の音楽であることが
冒頭から数小節たって聴き手に伝わってくるところが、
ベートーヴェンの見事な心意気、感動的な音楽の流れのように
感じられたのでした。


そして、最後に「あ、やっぱり」と思わせる決定打がありました。
●終楽章、
曲の終盤になって、《ラズモフスキー第2番》も
音楽の終わりは、
それまでのテンポとはうって変わって、
いきなり速度を速め、疾風怒濤のごとく、
終わりへと突き進んだのです。(↑自分にとっては
今回初めて聴く《ラズモフスキー》につき、「も」と敢えて強調
したいのです)


《熱情ソナタ》の最後の「Coda」は圧巻です・・・
以前、このソナタのことを、


まるで「ビッグバン」のよう


と表現したことがあります。
http://blog.goo.ne.jp/pianist-gensegawa/e/64e42488dac65b6579ea57c9b4638302
その気持ちは今でも変わりありませんが、
この音楽が何世紀にも亙って人々を魅了し続ける魅力は
この「Coda」も大きな役割を演じているとも
いえるかもしれません。それくらい、すごい、Codaなのです。


そして、
《ラズモフスキー第2番》の最後にも、
これと同じようなものを感じた・・・


長々と詮索し、書き連ねてまいりましたが、
ある一人の作曲家の作品において、
一つの作品が、別の作品と似ている、
共通性を担っている、
などと相互比較してみることは、
当初の課題である作品をより深く吟味でき、
納得して演奏することのできる
とても有意義な勉強であると思うのです。

時にそれは作曲家間を越えて、
前後する作曲家同士(主に、後世の作曲家が、
その前の偉人を踏襲し、さらに発展してゆくという道)の
それぞれの作品が似通っている・同じような理念・信念が
音楽からお互いに垣間見られることによって、
さらに理解と共感の深みを増すのではないだろうか、
なぞと思ったりするのですが、
今回のコンサート、
「古典四重奏団 Quartetto Classico」の演奏会では
自分的には、そのような大きな収穫があったと
すっかり自己満足してしまったのでした。

ここで書くのも変かもしれませんが、
演奏者の皆様に、御礼申し上げます!!



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