ショパン《練習曲op.10-12“革命”》
ピアノ独奏曲の中の超有名曲のひとつと言って
間違いはないでしょう。
子供の頃から私の憧れた曲でもあり、
情熱的で身を焦がれんばかりのこの音楽を、
それはそれは長い年月弾いてきました。
そして、
しばらく以前から、この《革命》とショパン自身の書き残した
「シュトゥットガルトにおける手記」が、
文章の内容的にも、音楽的にも、重なるところが非常に多いと知ることが出来ました。
それは、
「痛ましい、心に突き刺さるような」
すさまじく強いインパクトのある言葉達です…
ロシア軍にワルシャワが占領されたのは、
1831年9月8日とのこと。
その時ショパンは既に故郷ワルシャワを出発したあとで、
この知らせを受けたのは一人ウィーンを離れパリへ向かう移動途中のドイツ・シュトゥットガルトにて、そこでこの手記は書かれたのだそうです。
―――――――――――――――――――――――――
(前略)・・・これまでのところ、敵がわが家まで来ていることを知らずに書いていた。郊外は破壊され―――焼かれてしまった。ヤシュ!君はどこにいるのだ。ヴィルヘルムはきっと城壁の上で討ち死にしたのだろう。マルセルはとらわれの身だろう!好漢ソヴィンスキは、やつら悪党どもの手におちたか!おお、神よ、汝はおわすや。神はおわすも、復習せず!神よ、あなたはこのロシア人どもの犯罪をあきるほどごらんになったのではないでしょうか―――それとも―――それともあなた自身がロシア人なのですか?哀れな、親切な父上!あなたはきっと飢えていられる、そして母上にパンも買っておやりになれない。姉妹たち、欲情に乱れ狂うロシアの野郎どもの餌食にされたのかも知れぬ。パスケヴィッツ―――このモヒレブからきたやくざもの―――がヨーロッパ第一の王国の宮殿の主人におさまる!ロシア人が世界に君臨する。おお、父上、これがあなたの老年に待ちもうけた喜びとは!哀れな、悩めるやさしいママ、あなたの娘の骨がロシア人の足もとにふみにじられるのを見るためにのみ、またあなたが奴隷にされるためにのみ生きながらえられたことになるのですか。おお、ポウオンスキの墓地(妹エミリアの葬られているところ)よ!彼女の墓は守られたろうか。やつらはその上を踏み荒らした。―――幾千の屍がつみ上げられている。街は焼き払われた!おお、どうしてぼくはたった一人のロシア人も切り殺すことができなかったのか。おお、ティトゥス、ティトゥス!・・・(略)・・・それなのにぼくはここにいる―――無為、腕ぐみして、ただ、ため息をもらし、悲しみをピアノに向かってはき出すばかりで、気も狂わんばかりだ―――これ以上ぼくに何ができるのだ。おお、神さま、神さま!この地球をうち震わせ、この世代を地のなかにのみ込んで下さい!
―――――――――――――――――――――――――
燃えさかるワルシャワの街・・・
踏み荒らされる妹の墓の上・・・
城壁に倒れる友人・・・
神をすら敵と呼び放つまでの荒れ狂う怒り・・・
家族、友人の名を呼ぶ孤独なショパンの叫び・・・
こうした情景の全てが、この《革命》に注ぎ込まれているとしたら
この知らせを受けたのは一人ウィーンを離れパリへ向かう移動途中のドイツ・シュトゥットガルトにて、そこでこの手記は書かれたのだそうです。
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(前略)・・・これまでのところ、敵がわが家まで来ていることを知らずに書いていた。郊外は破壊され―――焼かれてしまった。ヤシュ!君はどこにいるのだ。ヴィルヘルムはきっと城壁の上で討ち死にしたのだろう。マルセルはとらわれの身だろう!好漢ソヴィンスキは、やつら悪党どもの手におちたか!おお、神よ、汝はおわすや。神はおわすも、復習せず!神よ、あなたはこのロシア人どもの犯罪をあきるほどごらんになったのではないでしょうか―――それとも―――それともあなた自身がロシア人なのですか?哀れな、親切な父上!あなたはきっと飢えていられる、そして母上にパンも買っておやりになれない。姉妹たち、欲情に乱れ狂うロシアの野郎どもの餌食にされたのかも知れぬ。パスケヴィッツ―――このモヒレブからきたやくざもの―――がヨーロッパ第一の王国の宮殿の主人におさまる!ロシア人が世界に君臨する。おお、父上、これがあなたの老年に待ちもうけた喜びとは!哀れな、悩めるやさしいママ、あなたの娘の骨がロシア人の足もとにふみにじられるのを見るためにのみ、またあなたが奴隷にされるためにのみ生きながらえられたことになるのですか。おお、ポウオンスキの墓地(妹エミリアの葬られているところ)よ!彼女の墓は守られたろうか。やつらはその上を踏み荒らした。―――幾千の屍がつみ上げられている。街は焼き払われた!おお、どうしてぼくはたった一人のロシア人も切り殺すことができなかったのか。おお、ティトゥス、ティトゥス!・・・(略)・・・それなのにぼくはここにいる―――無為、腕ぐみして、ただ、ため息をもらし、悲しみをピアノに向かってはき出すばかりで、気も狂わんばかりだ―――これ以上ぼくに何ができるのだ。おお、神さま、神さま!この地球をうち震わせ、この世代を地のなかにのみ込んで下さい!
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燃えさかるワルシャワの街・・・
踏み荒らされる妹の墓の上・・・
城壁に倒れる友人・・・
神をすら敵と呼び放つまでの荒れ狂う怒り・・・
家族、友人の名を呼ぶ孤独なショパンの叫び・・・
こうした情景の全てが、この《革命》に注ぎ込まれているとしたら