
ロマン・ロラン著『ベートーヴェン研究』「諦念」より抜粋
作品101や《連作歌曲集》のなかでは、まだ存分に味わうことのできた
青春の香りは、長い乾燥した月々の数時間にすぎない。
心の泉は、束の間にしか流れず、停止する。
ベートーヴェンは沙漠の中にいみすてられているのを感ずる。
もはや霊感の活気づけることのない彼の孤独は、毒となる。
・・・・・・《Das Alleinsein ist wie Gift fuer dich......》
前年には芸術さえあれば自分一人で十分だと考えていたその彼が、
芸術は生命「より短い」という苦い事実を確認しなければならなくなる。
《Lang ist das Leben nur, kurz die Kunst......》
(長いのは生命であって、芸術は短い・・・・・・)
芸術家の唇から洩れるものとして、この上なく痛々しいこの告白によって、
1816年から8年にかけてのベートーヴェンの生活における深い苦しみを測るべきである。
「芸術が束の間の恩恵にすぎないこと」を、彼ほど残酷に思い知ったものがあろうか?
作品101や《連作歌曲集》のなかでは、まだ存分に味わうことのできた
青春の香りは、長い乾燥した月々の数時間にすぎない。
心の泉は、束の間にしか流れず、停止する。
ベートーヴェンは沙漠の中にいみすてられているのを感ずる。
もはや霊感の活気づけることのない彼の孤独は、毒となる。
・・・・・・《Das Alleinsein ist wie Gift fuer dich......》
前年には芸術さえあれば自分一人で十分だと考えていたその彼が、
芸術は生命「より短い」という苦い事実を確認しなければならなくなる。
《Lang ist das Leben nur, kurz die Kunst......》
(長いのは生命であって、芸術は短い・・・・・・)
芸術家の唇から洩れるものとして、この上なく痛々しいこの告白によって、
1816年から8年にかけてのベートーヴェンの生活における深い苦しみを測るべきである。
「芸術が束の間の恩恵にすぎないこと」を、彼ほど残酷に思い知ったものがあろうか?