音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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「芸術は束の間の恩恵にすぎない」1816年~のベートーヴェン

2016年01月26日 | ◆一言◆
ロマン・ロラン著『ベートーヴェン研究』「諦念」より抜粋


作品101や《連作歌曲集》のなかでは、まだ存分に味わうことのできた
青春の香りは、長い乾燥した月々の数時間にすぎない。
心の泉は、束の間にしか流れず、停止する。
ベートーヴェンは沙漠の中にいみすてられているのを感ずる。
もはや霊感の活気づけることのない彼の孤独は、毒となる。
・・・・・・《Das Alleinsein ist wie Gift fuer dich......》
前年には芸術さえあれば自分一人で十分だと考えていたその彼が、
芸術は生命「より短い」という苦い事実を確認しなければならなくなる。

《Lang ist das Leben nur, kurz die Kunst......》
(長いのは生命であって、芸術は短い・・・・・・)

芸術家の唇から洩れるものとして、この上なく痛々しいこの告白によって、
1816年から8年にかけてのベートーヴェンの生活における深い苦しみを測るべきである。
「芸術が束の間の恩恵にすぎないこと」を、彼ほど残酷に思い知ったものがあろうか?
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