音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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連載3《op.110》 「p」されど「p」にあらず!?

2006年09月07日 | 《31番op.110》
《op.110》I楽章のベートーヴェンによる冒頭の指示は、

「Moderato cantabile molto espressivo」とあります。
「中庸な速さで、歌って、とても感情を込めて」と訳せましょうか。


冒頭の4小節の
「p con amabile (sanft)」
というベートーヴェンの指示は、
四声で流れる和音(弦楽四重奏的と捉えることもできましょう)が
「静かに」「甘く」「柔らかく」
奏でられることを欲しています。しかし、楽譜の最上段に書かれた
「cantabile molto espressivo」という楽章全体を通しての指示と
照らし合わせてみると、
ドイツの伝統的な巨匠達の解釈では、
この音楽が「p」という静かな音量指定であるにも関わらず、
●ふくらみのある豊かな響きで奏でられることが多いようです。


「p」と書かれているからといって、
静かに、弱弱しく弾かれてはならないのだそうです。

ベートーヴェンの音楽にて、こうした「p」の解釈は、
実に頻繁に適応させることができそうです。
これは、
ベートーヴェンの音楽を理解し愉しむための「ポイント」
のひとつかもしれません。



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