音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆曲目解説 ―F.ショパン(1810-1849) 《ノクターン 17番 ロ長調 作品62-1》

2007年10月30日 | ショパン Frederic Chopin

「ピアノの詩人」と呼ばれるショパンの
《ノクターン(夜想曲)》というジャンルは、
この作曲家の詩人たる特性を
存分に発揮している音楽といえましょう。

作品番号のついたノクターンは全部で18曲あり、
今日演奏されます《第17番》は、
同じ作品番号62-2とともに書かれた彼の晩年の作品です。
音楽的な成熟もさることながら、晩年のショパンは
ジョルジュ・サンドとの関係の疲弊、
健康状態の悪化などから自らの迫り来る死をも意識し、
謙虚な落ち着きをもって人間的な悟りの境地に
足を踏み入れているような姿が、
この音楽を通して垣間見れるようです。

彼はこの曲を作曲中の頃、
友人のチェリストのO.フランショーム(ショパン最後の
作品番号の着いた作品《チェロソナタ 作品65》は
彼に捧げられている)に以下ような手紙を書いています。



~ 親愛なる友、仕事に全力をつくします。-しかしわたしはぼく
ねんじんですから-このままですと、新しい作品も鳥のさえずる
ような印象をもたらさないばかりか、こわれた陶器の値打ちもないで
しょう。わが運命には従わなければならないのです。手紙を下さい。
                  いつも変わらぬ愛をもって
                           F.Ch. ~


この《ノクターン 17番》は、鳥のさえずるような印象をきっと我々に
もたらしてくれることでしょう。(文:瀬川玄)




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