先日の記事を書いて後、
F.リスト《ソナタh-moll》を弾いてみているのですが、
この充実度の高く興味深い音楽を突き詰めていきながら、
巡り巡ってついにはある他の作曲家達へとたどり着いて
しまった過程がなんだか面白く、
ひとつ、
そんな様子を書いてみようかと思いました。
その前に、
ピアノの詩人ショパン、巨匠リストの二人の対比的な性格を
端的に現している文章をひとつ添えさせていただきたいと思います。
「ショパン、大きな集会、喧騒な公の場所を、彼は好まなかった
・・・聴衆が彼にはただときおり共感するにすぎないのに反して、
力強く華麗な巨匠リストが彼のポロネーズを演奏すれば
爆発的な拍手喝采を博するのを、彼はただ
憂鬱げに見守っているよりどうしようもなかったのである」
愛読書、E.Fischer『音楽観想』より
◇◆◇◆
リスト《ソナタ》の展開部後半(解釈によってはIII楽章と
考える場合もあるらしい)のChoral(コラール)的な音楽が、
ショパンの最晩年の作《幻想ポロネーズop.61》を
思い出すに至ったと先日書きましたが、それを確認すべく、
ショパンの方も紐解いてみました。
リストのコラールは、Fis-Dur(嬰ヘ長調)
ショパンのコラールは、H-Dur(ロ長調)
ともに「♯系」の、明るさの多い調性を取っているようです。
このリストの「コラール」ですが、
音楽の構成上の位置からしても、なんとも
ショパンの《幻想ポロネーズ》のアイディアと
重なるような気がしてなりません。
言うなれば、共に「再現部の前あたり」で
神の祈りを彷彿とさせる音楽「コラール」が現れるあたりに
共通点を感じるような気がするのです。
作曲年からすれば、
ショパンの《幻想ポロネーズ》は1846年作曲、
(そして1849年にはショパンは死去しています)
リストの《ソナタ》は1853年、
というわけで、
年代的にも、リストがショパンに影響を受けていると見るのが
妥当であるかと思います。
◇◆◇◆
ところで、
リストの「コラール」Fis-Durという調性、ふとひらめいたのは、
ベートーヴェンの最大にして最難と言われる後期ソナタ
《ハンマークラヴィア》のIII楽章が頭をよぎりました。
とはいえ、これは「fis-moll(嬰へ短調)」
しかし、
この楽章の最後に待っているのは
この「Fis-Dur」の響きにつつまれた
生きる人間を静かに祝福する神の光を思わせるような・・・
もしかしてもしかしてリストは、このような調性感あって
この《ソナタ》の「コラール」に、このFis-Durを
持ってきたのかな?などと、想像を膨らませたりしたのでした。
(ちなみに、当のリスト本人、好んでこのベートーヴェンの難曲
《ピアノソナタ29番op.106“ハンマークラヴィア”》を
弾いていたとも伝えられています)
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F.リスト《ソナタh-moll》を弾いてみているのですが、
この充実度の高く興味深い音楽を突き詰めていきながら、
巡り巡ってついにはある他の作曲家達へとたどり着いて
しまった過程がなんだか面白く、
ひとつ、
そんな様子を書いてみようかと思いました。
その前に、
ピアノの詩人ショパン、巨匠リストの二人の対比的な性格を
端的に現している文章をひとつ添えさせていただきたいと思います。
「ショパン、大きな集会、喧騒な公の場所を、彼は好まなかった
・・・聴衆が彼にはただときおり共感するにすぎないのに反して、
力強く華麗な巨匠リストが彼のポロネーズを演奏すれば
爆発的な拍手喝采を博するのを、彼はただ
憂鬱げに見守っているよりどうしようもなかったのである」
愛読書、E.Fischer『音楽観想』より
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リスト《ソナタ》の展開部後半(解釈によってはIII楽章と
考える場合もあるらしい)のChoral(コラール)的な音楽が、
ショパンの最晩年の作《幻想ポロネーズop.61》を
思い出すに至ったと先日書きましたが、それを確認すべく、
ショパンの方も紐解いてみました。
リストのコラールは、Fis-Dur(嬰ヘ長調)
ショパンのコラールは、H-Dur(ロ長調)
ともに「♯系」の、明るさの多い調性を取っているようです。
このリストの「コラール」ですが、
音楽の構成上の位置からしても、なんとも
ショパンの《幻想ポロネーズ》のアイディアと
重なるような気がしてなりません。
言うなれば、共に「再現部の前あたり」で
神の祈りを彷彿とさせる音楽「コラール」が現れるあたりに
共通点を感じるような気がするのです。
作曲年からすれば、
ショパンの《幻想ポロネーズ》は1846年作曲、
(そして1849年にはショパンは死去しています)
リストの《ソナタ》は1853年、
というわけで、
年代的にも、リストがショパンに影響を受けていると見るのが
妥当であるかと思います。
◇◆◇◆
ところで、
リストの「コラール」Fis-Durという調性、ふとひらめいたのは、
ベートーヴェンの最大にして最難と言われる後期ソナタ
《ハンマークラヴィア》のIII楽章が頭をよぎりました。
とはいえ、これは「fis-moll(嬰へ短調)」
しかし、
この楽章の最後に待っているのは
この「Fis-Dur」の響きにつつまれた
生きる人間を静かに祝福する神の光を思わせるような・・・
もしかしてもしかしてリストは、このような調性感あって
この《ソナタ》の「コラール」に、このFis-Durを
持ってきたのかな?などと、想像を膨らませたりしたのでした。
(ちなみに、当のリスト本人、好んでこのベートーヴェンの難曲
《ピアノソナタ29番op.106“ハンマークラヴィア”》を
弾いていたとも伝えられています)
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