余計な前置きかもしれませんが、
楽曲の解釈において、個人的なわがまま勝手な想像の世界に
落ち込まないよう、ベートーヴェンという大天才が書き残した
高い音楽性を誇る楽譜ととことんにらめっこしながら、
そこから湧き出る世界観を突き詰めてみようという姿勢
ではあるのですが、なにぶん、「私」という個人の域を
究極的には出ることができないというのが、
人間のサダメなのでしょうか。
「私見」ということを念頭にお読みいただければ幸いです。
―――――――――――――――――
さて、
ベートーヴェン《ピアノソナタ12番“葬送”》第1楽章の
「男女」の物語を、自分なりにひとつ、さらに推し進めてみまして、
この変奏曲形式の楽章に、どうやらひとつの関連性のある物語を
見ることが出来るのではないか、と考えるに至りました。
この第1楽章は、
「テーマ」「第1変奏」「第2変奏」「第3変奏(短調)」
「第4変奏(再び長調)」「第5変奏と短いCoda」から成ります。
注目されるのは、1楽章全体を通して、主要な旋律線が
二つを超えることはないのではないか、思われるのです。それはすなわち、
登場人物は二人を超えないということに結びつくか・・・・と。
●テーマ
簡単に言えば「AABA」という形式でできているといえましょう。
冒頭のメロディー(主題)が、
すでに二つの声部のユニゾンで歌われることは、
先日の日記に書いたとおりです。
●第1変奏
アルページオの音型で、低い音域と高い音域が交互に現れ、
あたかも二つの声部が会話しているように、聴こえなくもありません。
●第2変奏(左手のオクターブ)
左手のオクターブが、テーマのメロディーが刻み続けられる変奏です。
この左手オクターブの音域は、男声を思わせる音域とであり、
よって、男声が主となっている変奏と考えられます。
●第3変奏
低い音域から歌われ始めるmoll(短調)のメロディーは、
前の第2変奏と同様、男声が歌い始めているようでもあり、
続いて、上の声部が加わって、二つの声部がユニゾンとなり歌われます。
・・・二人が共に悲しみ、重々しく歌っているかのよう・・・
なにが悲しいのでしょう?
英雄が死んでしまうことを予想して(3楽章“葬送”)
悲しんでいるのかも・・・!?
●第4変奏
「pp」で、まるでひそひそと内緒のおしゃべりをするように、
下の声部から歌い、それに上の声部が答えます。
中間「B」の部分では、たくさんの「sf」によって内緒話の域を超えて、
つい気分が高まって、大声で話をしてしまいます、すると、
左手の下降音階が「decresc.」を伴って現れ、まるで
「お~~~っと、静かにしなきゃ・・・」
と言って、再び「pp」に戻るかのようです。
なにを内緒話しているのでしょう?
執り行われる葬送行進(3楽章)は、世を欺く手段であって、
男女は秘密裏に、二人きりで世間から逃げ出そうという(4楽章)
秘密の打ち合わせなのかも・・・・?
●第5変奏
楽章冒頭のテーマが、沢山の装飾音を伴って美しく歌われ、
次第に装飾は速度を増していきます。
★ちなみに
「速度を増していく装飾音」という手法は、この《ソナタ12番》から
およそ20年も後になって作曲されることになる
《ソナタ30番op.109》の終楽章(これも変奏曲!)に見られるものです。
ベートーヴェンは、時代を超えて、同じような手法を使ったと
見ることができるかもしれません。
あるいは、この《ソナタ12番》で使った手法を、
さらに《ソナタ30番》で洗練させ、そこにおいて
ついには天空へと羽ばたくに至ったとか!?
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=116706190&owner_id=3835718
(↑4月の日記「大空を飛ぶ《op.109 3楽章 Var.VI》」)
●短いコーダは、右手の歌が、左手の合いの手に付き添われて
楽章の終わりへと向かいます。
まるで、
モーツァルトのオペラ《魔笛》において、
主人公のパミーノが、僧官に連れられて試練へと向かっていく、
そんなシーンが思い浮かべられるかもしれません。
(事実、ベートーヴェンはモーツァルトの音楽をよく知り、
よく勉強しており、《魔笛》のいくつもの主題を、《変奏曲》として
自分の作品にしています)
僧官に連れられて、1楽章が幕を閉じた・・・・
となると、
つぎの2楽章《Scherzo(スケルツォ)》は、
いよいよ「試練のとき」と考えることができましょうか!?
……………………………………………………………
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楽曲の解釈において、個人的なわがまま勝手な想像の世界に
落ち込まないよう、ベートーヴェンという大天才が書き残した
高い音楽性を誇る楽譜ととことんにらめっこしながら、
そこから湧き出る世界観を突き詰めてみようという姿勢
ではあるのですが、なにぶん、「私」という個人の域を
究極的には出ることができないというのが、
人間のサダメなのでしょうか。
「私見」ということを念頭にお読みいただければ幸いです。
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さて、
ベートーヴェン《ピアノソナタ12番“葬送”》第1楽章の
「男女」の物語を、自分なりにひとつ、さらに推し進めてみまして、
この変奏曲形式の楽章に、どうやらひとつの関連性のある物語を
見ることが出来るのではないか、と考えるに至りました。
この第1楽章は、
「テーマ」「第1変奏」「第2変奏」「第3変奏(短調)」
「第4変奏(再び長調)」「第5変奏と短いCoda」から成ります。
注目されるのは、1楽章全体を通して、主要な旋律線が
二つを超えることはないのではないか、思われるのです。それはすなわち、
登場人物は二人を超えないということに結びつくか・・・・と。
●テーマ
簡単に言えば「AABA」という形式でできているといえましょう。
冒頭のメロディー(主題)が、
すでに二つの声部のユニゾンで歌われることは、
先日の日記に書いたとおりです。
●第1変奏
アルページオの音型で、低い音域と高い音域が交互に現れ、
あたかも二つの声部が会話しているように、聴こえなくもありません。
●第2変奏(左手のオクターブ)
左手のオクターブが、テーマのメロディーが刻み続けられる変奏です。
この左手オクターブの音域は、男声を思わせる音域とであり、
よって、男声が主となっている変奏と考えられます。
●第3変奏
低い音域から歌われ始めるmoll(短調)のメロディーは、
前の第2変奏と同様、男声が歌い始めているようでもあり、
続いて、上の声部が加わって、二つの声部がユニゾンとなり歌われます。
・・・二人が共に悲しみ、重々しく歌っているかのよう・・・
なにが悲しいのでしょう?
英雄が死んでしまうことを予想して(3楽章“葬送”)
悲しんでいるのかも・・・!?
●第4変奏
「pp」で、まるでひそひそと内緒のおしゃべりをするように、
下の声部から歌い、それに上の声部が答えます。
中間「B」の部分では、たくさんの「sf」によって内緒話の域を超えて、
つい気分が高まって、大声で話をしてしまいます、すると、
左手の下降音階が「decresc.」を伴って現れ、まるで
「お~~~っと、静かにしなきゃ・・・」
と言って、再び「pp」に戻るかのようです。
なにを内緒話しているのでしょう?
執り行われる葬送行進(3楽章)は、世を欺く手段であって、
男女は秘密裏に、二人きりで世間から逃げ出そうという(4楽章)
秘密の打ち合わせなのかも・・・・?
●第5変奏
楽章冒頭のテーマが、沢山の装飾音を伴って美しく歌われ、
次第に装飾は速度を増していきます。
★ちなみに
「速度を増していく装飾音」という手法は、この《ソナタ12番》から
およそ20年も後になって作曲されることになる
《ソナタ30番op.109》の終楽章(これも変奏曲!)に見られるものです。
ベートーヴェンは、時代を超えて、同じような手法を使ったと
見ることができるかもしれません。
あるいは、この《ソナタ12番》で使った手法を、
さらに《ソナタ30番》で洗練させ、そこにおいて
ついには天空へと羽ばたくに至ったとか!?
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(↑4月の日記「大空を飛ぶ《op.109 3楽章 Var.VI》」)
●短いコーダは、右手の歌が、左手の合いの手に付き添われて
楽章の終わりへと向かいます。
まるで、
モーツァルトのオペラ《魔笛》において、
主人公のパミーノが、僧官に連れられて試練へと向かっていく、
そんなシーンが思い浮かべられるかもしれません。
(事実、ベートーヴェンはモーツァルトの音楽をよく知り、
よく勉強しており、《魔笛》のいくつもの主題を、《変奏曲》として
自分の作品にしています)
僧官に連れられて、1楽章が幕を閉じた・・・・
となると、
つぎの2楽章《Scherzo(スケルツォ)》は、
いよいよ「試練のとき」と考えることができましょうか!?
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