音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆新年明けても《フニクリ・フニクラ》について考えています・・・「楽節」の問題

2009年01月07日 | 音楽(一般)
2009年、明けましておめでとうございます
今年が皆様にとって幸多く素晴らしい一年と
なりますようお祈りいたしております。



昨年の最後の記事は、
「鬼のパンツ」よろしくイタリア歌曲《フニクリ・フニクラ》で
締めたわけですが、実は年が明けても、この《フニクリ・フニクラ》に関する
考察がまだまだ続いてしまっているのです・・・

このブログ名「ひたすら音楽」よろしく、
昨年に引き続き今年もがんばってゆこうという
心意気と思っていただければ光栄です・・・。


さて、
そのさらなる研究の続編をご紹介させていただきますと、
前回の記事では、
替え歌の歌詞を変えたりして、
原曲《フニクリ・フニクラ》の正しい拍感を掴もうと試みました。

ところが、
勉強をその後続けていきますと、
それでもどうもしっくりこない・・・
拍感が正しくなってきても、
どうも変なところにアクセントが付いてしまう・・・
(だからこそ、替え歌の歌詞を変更してみるという
試案につながったわけなのですが・・・)


この曲のサビの部分(!?)=「前奏」として奏される部分の
拍感に関してはOKなのです。
歌詞に合わせて記してみますと、

「ゆっこう、ゆっこう、火っのやっまへ~~♪」
あるいは、替え歌の歌詞ですと・・・
「はっこう、はっこう、ぉに~のパ~ンツ~♪」
 (I)     (II)     (III)      (IV)

と、
それぞれの言葉の頭にアクセントが付いて、
(「おに」のみちょっとだけ例外で、
最初の「ぉ」は小さなアウフタクトといえましょう)
ぴったり4小節のすっきりとした楽節として
容易に捉えられましょう。


そして問題は、この歌曲の
歌手のごっっっきげんな始まりの長い音を
「どのような拍として捉えるか」
というところに甚だ見過ごせられない
大きな問題があるように思われるのです・・・。


歌詞に合わせて記してみますと、

●「赤~~~い火を吹くあの山へ~♪」
拍の頭を分かりやすくしてみますと、

●あ「か」~~「~」い火を「吹」くあの「や」まへ~♪

ということになり、4つの小節の頭が浮かびあがってきます。
問題は、
これを「I, II, III, IV」とするか、
それとも・・・・!?という所だったのです。

単純に歌の始まり「あか~~い」を(I)
としてしまうと、どうもその後の辻褄が合わなくなってきて、
どこかで微調整しなければならない事態に
陥ってしまうのです・・・

例えば上記の歌詞の直後の部分、
●「のぼろう~ のぼろう~」
にこのまま入ってしまうと、
●「休符(I)」のぼっろ「う(II)」~~「休符(III)」のぼっろ「う(IV)」~~

となってしまい、
強拍となる(I)と(III)のところには
空白が出来てしまうのです・・・


そこで発想の転換、
「アウフタクト」として始めの言葉を考え、
楽節の強弱を入れ替えてみると・・・

●「休符(アウフタクト)」のぼっろ
「う(I)」~~「休符(II)」のぼっろ「う(III)」~~「休符(IV)」

となり、
拍感と言葉の辻褄が合ってきたのです。
これを応用し、冒頭の歌詞に合わせてみると
このようになりました。


●あ「か(アウフタクト)」~~
「~(I)」い火を「吹(II)」くあの「や(III)」まへ~~「休符(IV)」、のぼっろ 
「う(I)」~~「休符(II)」、のぼっろ「う(III)」~~「休符(IV)」

こうしてみると、すっきりと拍感と歌詞が
一致してくるのではないでしょうか!?


ところがまだ一つ問題が残ってしまい、それは、
こうした全(VIII)小節からなる楽節を終えて、
再び「そこ~~は地獄の釜の中~~♪」とメロディーが戻る際に、
最初の長い音符を、どのように捉えるのか・・・

おそらくは、やはり
「アウフタクト」として捉えることで、
●そ「こ」(アウフタクト)~~
「~(I)」はじっご「く(II)」の釜「の(III)」中~
と続くことができるのではないでしょうか。

ゆえにこのアウフタクトは
●(V)と言えるか、あるいは
●(I)が二回続くとなるかの
どちらかと言えましょう。


このような現象を推理してみますと、
もしかすると作曲の原初に立ち帰ってみるならば、
この冒頭の音は元々は伸ばす音ではなく、
●あ「か(I)」い火を「吹(II)」くあの「や(III)」まへ~「(IV)」
という単純な形だったのかもしれないということまで
見えてくるような気がするのです・・・

しかし作曲者Denzaは、これではいまいち味気ない・・・と考えたのか、
冒頭の音を「なが~~く」一小節分のばしてみたのでは!?
という作曲の過程があったのかもしれません・・・

(このアウフタクトに関して、これを「問題」という
少々ネガティブな言葉で上記してしまいましたが、
これはアウフタクトの持つ「魅力」であると言ったほうが
より良いようにも思われます)


そして、
肝心のこの曲《フニクリ・フニクラ》の盛り上がりへの移行を見てみますと、
●な「が(アウフタクト)」~~
「~(I)」れるっけ「む(II)」りはっま「ね(III)」くよ~、「休符(IV)」みんっな
「を(I)」~~「休符(II)」、みんっな「を(III)」~~「休符(IV)」
「ゆ(I)」っこう、「ゆ(II)」っこう、「火(III)」の山「へ(IV)」~
「ゆ(I)」っこう、「ゆ(II)」っこう、「火(III)」の山「へ(IV)」、フニック
「リ(I)」、フニック「ラ(II)」、フニック「リ(III)」、フニック「ラ(IV)」~~!!
「だ(I)」れもっ呼「ぶ(II)」、フニック「リ(III)」、フニック「ラ(IV)」

となり、
全ての辻褄が合うのではないでしょうか!?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

すっかり長くなってしまいましたが
今回このように色々と考えてみましたことは、
音楽における
「楽節(Periode)の問題」を表す
重要な例といってよいのではないでしょうか。

正しい楽節を把握し、
その音楽の持つ望ましい推進力を獲得することは、
音楽をする上での重要な一部分であると
新年早々、色々と考えてみたのでした。


よって、少々残念なことに、
前回の試みによる替え歌の歌詞の変更
●お「に(I)」~~「~(II)」のはく「パ(III)」ンツは「い(IV)」いぞ~~
というものは、
楽節を間違って捉えてしまった末の
試行錯誤の「誤った」結果となってしまいました・・・
(しかし、このような試行錯誤あっての今回の結論にたどりついた故に、
前回の記事は削除せず残しておきたく思います。)

また、今回の検証の結果、
替え歌の歌詞は、そのままでも大丈夫だということが分かりました。
●お「に(アウフタクト)」~~
「~(I)」のパン「ツ(II)」はいい「パ(III)」ンツ~「休符(IV)」、つよっい
「ぞ(I)」~「休符(II)」、つよっい「ぞ(III)」~~「休符(IV)」

として問題なく歌うこともできるようです。


しかし、これでは耳に馴染んだ替え歌《鬼のパンツ》とは
違うものとなってしまいます・・・

●お「に(I)」~の「パ(II)」~ンツ~は「い(III)」~いパ~ン「ツ(IV)」~、つ
「よ(I)」~いぞ~~「休符(II)」、つ「よ(III)」~いぞ~~「休符(IV)」

と歌われているのですから・・・


しかし、替え歌の原曲との違いを是正して
日本全国に広めよう・・・なぞということは必要なく、
替え歌はそのまま歌って素直に楽しむことが大事と
思っていますことを、どうぞご了承ください。

肝心なのは、
替え歌《鬼のパンツ》は原曲《フニクリ・フニクラ》とは
異なった楽節で歌われていることを知った上で、
両者をごちゃごちゃにしないよう、
大いに注意すべきだと分かればよいのではないかと思います。
(現にそれで自分は混乱してしまったのですから・・・)


やれやれ・・・本当にすっかり長くなってしまいましたが、
これを書き上げたことにより、昨年末から続いていた
《フニクリ・フニクラ》もとい《鬼のパンツ》の呪縛(!?)から
ようやく開放されるような気がします・・・



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