作曲家ラヴェルが自身の作品を弾いている、
そんな録音があることをご存知ですか?
作曲家自身の曲を、作曲家自身が演奏する、
非常に興味深いものです。
そんな残された録音のひとつ、
《亡き王女のためのパヴァーヌPavane pour une enfante defante》を
ラヴェル自身が演奏しているものがあります。
この録音から、
今の自分が思い描いているこの曲《Pavane》に至る
大きなインスピレーションを受けていたことをふと思い出し、
ひとつ記憶を頼りに書いてみようと思い立ちました。
このラヴェル自身の演奏、
すごい演奏です。
色々な意味ですごい。
まず、
ラヴェルはピアニストではないことが明らかでした。
音列がよたよたして、指がもつれているようでもあり、
普通には考えられない歪(ゆがみ)とも思える音量バランス、
時に伴奏が大きくてメロディーが聴こえなくなってしまう、
決して、
「上手な演奏」といえるシロモノではありません。
音楽大学受験だったら落ちるでしょう。
演奏会だったら怒りだす聴衆もいるかもしれません。
では、
ただの下手糞が演奏しているのか!?これは
あの芸術性高い素晴らしい音楽作品を書いた
ラヴェルその人の演奏ではないのか!?
よく耳を澄ませて聴いてみました。
メロディーの音のつながりが聴こえてきました。
「鍵盤をひとつずつ辿る打楽器ピアノ」でのメロディーには聴こえない、
美しい線が聴こえてきた気がしました。
そして、
なによりも自分がインスピレーションを受けたこと、
上にも書きましたが、
「異常なまでの音量バランス」
ここに、
この曲《亡き王女のためのパヴァーヌ》という題名まで付いた音楽の
意味を垣間見ることができたように思えたのです。
この曲の形式は単純明快、
「A-B-A-C-A」と考えてよいでしょう。
異常な音量バランスが現れたのは「B」の部分。
「A」部の中音域でのあの美しく有名なメロディーに続き、
ここ「B」では、高い上声部にメロディーが移ります。
このメロディーを、
ラヴェルはあまりに静かに、聴こえないくらいに弾いている、
しかし、じっと耳を済ませると確かに聴こえている、
・・・美しい・・・!!
楽譜を見てみますと「Tres lointainとても遠くから」との記載。
それに引き続き、我々を仰天させるのが
中声部における対旋律をラヴェルは
ほとんど「f フォルテ」と思える音量で出すのです!!
ここで思い出されるのは、
この対旋律は、前の「A」部でメロディーが歌われたのと同じ音域、
現実的なフォルテの音量、楽譜では、右手だけでも演奏可能な和音で
ありながら、敢えて「m.g.左手」で演奏されるよう記されています。
録音のラヴェルの演奏から聴こえてくる音楽、
この上声部と対旋律との異常なまでの対比、
さらには楽譜上の「Tres lointain」の指示・・・
あぁ!!!
ラヴェルのイメージが、しっかり音となって演奏されている!?
楽譜に書かれた異なるメロディーたちは、
ふたつの異なる別世界で奏でられる・歌われるメロディー!?
そう思われたのです。
まさに目からウロコが落ちる感覚、
こう聴こえてしまってからは、あとはファンタジーを膨らませるのみ。
ふたつの声が会話をしているのかもしれない。
ファンらジーは、聴く人・弾く人それぞれの心の中で
自由に思い描かれるでしょう。
音が、音楽が、《Pavane》というこの曲が
我々に我々自身の内なるファンタジーの世界を
提供してくれるのです。
このじいさん・・・やっぱり只者ではないと思い知らされた気分です。
↑最大の尊敬をこめて
僕は、この曲が好きです。
そんな録音があることをご存知ですか?
作曲家自身の曲を、作曲家自身が演奏する、
非常に興味深いものです。
そんな残された録音のひとつ、
《亡き王女のためのパヴァーヌPavane pour une enfante defante》を
ラヴェル自身が演奏しているものがあります。
この録音から、
今の自分が思い描いているこの曲《Pavane》に至る
大きなインスピレーションを受けていたことをふと思い出し、
ひとつ記憶を頼りに書いてみようと思い立ちました。
このラヴェル自身の演奏、
すごい演奏です。
色々な意味ですごい。
まず、
ラヴェルはピアニストではないことが明らかでした。
音列がよたよたして、指がもつれているようでもあり、
普通には考えられない歪(ゆがみ)とも思える音量バランス、
時に伴奏が大きくてメロディーが聴こえなくなってしまう、
決して、
「上手な演奏」といえるシロモノではありません。
音楽大学受験だったら落ちるでしょう。
演奏会だったら怒りだす聴衆もいるかもしれません。
では、
ただの下手糞が演奏しているのか!?これは
あの芸術性高い素晴らしい音楽作品を書いた
ラヴェルその人の演奏ではないのか!?
よく耳を澄ませて聴いてみました。
メロディーの音のつながりが聴こえてきました。
「鍵盤をひとつずつ辿る打楽器ピアノ」でのメロディーには聴こえない、
美しい線が聴こえてきた気がしました。
そして、
なによりも自分がインスピレーションを受けたこと、
上にも書きましたが、
「異常なまでの音量バランス」
ここに、
この曲《亡き王女のためのパヴァーヌ》という題名まで付いた音楽の
意味を垣間見ることができたように思えたのです。
この曲の形式は単純明快、
「A-B-A-C-A」と考えてよいでしょう。
異常な音量バランスが現れたのは「B」の部分。
「A」部の中音域でのあの美しく有名なメロディーに続き、
ここ「B」では、高い上声部にメロディーが移ります。
このメロディーを、
ラヴェルはあまりに静かに、聴こえないくらいに弾いている、
しかし、じっと耳を済ませると確かに聴こえている、
・・・美しい・・・!!
楽譜を見てみますと「Tres lointainとても遠くから」との記載。
それに引き続き、我々を仰天させるのが
中声部における対旋律をラヴェルは
ほとんど「f フォルテ」と思える音量で出すのです!!
ここで思い出されるのは、
この対旋律は、前の「A」部でメロディーが歌われたのと同じ音域、
現実的なフォルテの音量、楽譜では、右手だけでも演奏可能な和音で
ありながら、敢えて「m.g.左手」で演奏されるよう記されています。
録音のラヴェルの演奏から聴こえてくる音楽、
この上声部と対旋律との異常なまでの対比、
さらには楽譜上の「Tres lointain」の指示・・・
あぁ!!!
ラヴェルのイメージが、しっかり音となって演奏されている!?
楽譜に書かれた異なるメロディーたちは、
ふたつの異なる別世界で奏でられる・歌われるメロディー!?
そう思われたのです。
まさに目からウロコが落ちる感覚、
こう聴こえてしまってからは、あとはファンタジーを膨らませるのみ。
ふたつの声が会話をしているのかもしれない。
ファンらジーは、聴く人・弾く人それぞれの心の中で
自由に思い描かれるでしょう。
音が、音楽が、《Pavane》というこの曲が
我々に我々自身の内なるファンタジーの世界を
提供してくれるのです。
このじいさん・・・やっぱり只者ではないと思い知らされた気分です。
↑最大の尊敬をこめて
僕は、この曲が好きです。