音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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(続き)◆《さくら横町》に魅せられて

2008年07月19日 | 中田喜直《さくら横丁》
前回の記事に続いて、
歌曲《さくら横町》の魅力を探ります。


この音楽の、
「偶数のみで進まない不安定な小節周期」も、
この音楽の不可思議な色気を醸し出す要因と
なっているのではないでしょうか。



●冒頭の前奏は【4小節】、
と、これは普通。4小節周期の
聞き馴染みある音楽が予想される前奏といえましょうか。



●「春の宵 さくらが咲く」
までが、歌詞の途中ではありますが、
ピアノの伴奏形を見ると、ここまでは基本的に
「イ短調a-mol」lの響きのうちにあることが分かります。
ここまでも【4小節】、するとこれもわりと普通、しかし、
この内の最後の小節においては、
最低音はオクターブ上がって、続く音楽の流れが予感されています。↓



●「と 花ばかり さくら横町」、
これが【7小節】というなんとも不規則な小節周期です。
(譜例の最後の小節は、すでに次の楽節の始まり)
あるいは、
【5小節】+【2小節】の小さな間奏
という風にも分けられなくもありません。

これまでの流れで、
【4小節で一まとまり】を期待している耳に、この
【5小節】というメロディーは、どこか「ふわ~~っ・・・」
と、他のところへ連れて行かれてしまうかのような、
どこか不思議な感を抱かせられます。


もしかすると、これは音楽における「字余り」
といえるのでしょうか。


俳句の世界では、
575という韻を離れるこの「字余り」の技法が、
時になんともいえない風情を醸し出すのと、
この音楽《さくら横町》の始まりは、
少し似ているのかもしれません。


日本の情緒を、多分に感じさせるこの音楽には
こんな工夫がされているのかもしれません。



(つづく)


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